ちょっと一言

(topics157)水素のダイエット効果についての論文発表(2017.8.23)
(topics156)腸内細菌の乳酸菌やビフィズス菌は、水素(H2)を作らない(2017.8.18)
(topics155)水素水は魚へも効果的(2017.7.29)
(topics154)論文発表10周年記念カンファレンス(2017.7.28)
(topics153)水素水は、野菜・果物の劣化を抑制する(2017.7.28)
(topics152)すでに公表された一般の方を対象として水素の効果(2017.4.19)
(topics151)すでに論文発表された水素の臨床試験結果(2017.4.19)
(topics149)「ここまでわかった水素水最新Q&A」(太田成男著)が出版されます。(2017.2.21)
(topics148)正統な科学では、正しい測定が大切(2017.2.3)
(topics147)ビールを「ただの水」と言いますか!?—水素水を「ただの水」という方々へ—–(2017.2.3)
(topics146)「データがある」のに「データがない?」:国民生活センター発表2016.12.15に関連して(その3)(2016.12.25)
(topics145)本物の水素水と水素が検出されない「水素水」:2016年12月15日の国民生活センター発表結果(その2)(2016.12.24)
(topics144)日本テレビの朝番組「スッキリ」のコメントについて(2016.12.21)
(topics143)水素水の効果は「水」ではなく「水素」:国民生活センター調査における、あきれた事業者の回答について(2016.12.20)
(topics137)大隅良典先生ノーベル賞受賞おめでとうございます:独創的研究の原点(2016.10.15)
(topics137)水素研究における独創性(2016.10.15)
(topics137)おならをがまんするのは健康に良くない!:水素と悪玉腸内細菌の関係(2016.10.13)
(topics136)ノーベル賞を2回受賞したライナス・ポーリング博士が提唱した抗酸化(2016.10.11)
(topics135)水素の効果は、パラダイムシフト(2016.10.10)
(topics134)水素水の国際的標準(ISO)認証へ向かって(2016.10.3)
(topics133)中国泰山大学 水素生物医学研究所の設立(2016.10.3)
(topics132)中国の水素医学生物学会への出席(2016.10.3)
(topics131)水素水の有効性の評価は実は悪くない:国立健康栄養研究所の評定を見て(2016.9.3)
(topics130)水素医学論文全体の数と質(2016.9.1)
(topics129)心肺停止の患者さんへの水素ガス吸引治療の研究論文が発表されました。(2016.9.1)
(topics128)臨床研究への参加者の数と信頼性(2016.9.1)
(topics127)水厚生労働省副大臣との面談:水素水は病気の予防に貢献すべし(2016.9.1)
(topics125)“水素発生入浴剤“の中には、やけどの原因となるものがあると、国民生活センターが注意呼びかけの裏情報(2016.7.27)
(topics124)水素ガスはOKでも、水素水はダメ?? 水素の有効濃度のお話(2016.7.19)
(topics123)国立健康栄養研究所の「『健康食品』の素材情報データベース」に取り上げられた「水素水」(2016.7.9)
(topics121)科学的真実と社会的運用法(2016.7.6)
(topics120)腸内細菌が発生する水素よりも水素水を飲む方が効果的(2016.6.20)
(topics119)動物実験では、プラセボ効果と確証バイアスはありません。(2016.6.20)
(topics118)食品が医薬品よりも効果効能があったら、どうなる?:食薬区分の話(2016.6.16)
(topics117)水素の安全性は決着済!(2016.6.16)
(topics116)風邪をひく前に風邪薬を飲む人はいない?:対症療法と原因治療(2016.6.16)
(topics115)「体験談による部分が多い」ではなく、「体験談の部分もある」(2016.6.7)
(topics114)正しい水素医学と水素産業の理解のために–あの産經新聞の記事には、明らかな誤認がある!-この記事は5/24産経ニュース
に掲載されたのでブログにも載せます
(2016.5.25)
(topics112)水道水にも水素がはいっている?(2016.5.20)
(topics111)活性水素水と水素水は別物です。(2016.5.20)
(topics108)炭酸ガスは胃から体に取り込まれないのに、水素は取り込まれるのは何故?(2016.4.30)
(topics107)生体内での水素の効果は「説明できない」という人へ(2016.4.30)
(topics106)生体内での水素の効果は「考えられない」という人へ(2016.4.30)
(topics105)「分子状水素が遺伝子発現を制御するメカニズムの解明」の論文第2弾発表(2016.4.30)
(topics104)世界一受けたい授業(3月5日)の私が関与していない内容への訂正掲載(2016.3.24)
(topics103)「効果がある」のに「効果がない?」(2016.3.12)
(topics102)(独)国民生活センターからの報道発表:正統的な水素水と非科学商品は無関係であり混同してはならない。(2016.3.12)
(topics100)米国における水素医学の大反響(2016.3.10)
(topics98)虚偽の宣伝に注意(2016.3.5)
(topics97)お詫びです(2016.3.3)
(topics95)米国を中心とした海外での様子(2016.2.24)
(topics94)インチキ商品に注意(2016.2.22)
(topics93)本格的な心肺停止患者への水素ガス吸引治験が始まります(2016.2.22)
(topics91)論文発表のお知らせ(2016.1.7)
(topics90)「元気の時間」(TBS系12月13日7:00〜7:30)の水素入浴:有害物に気をつけて(2015.12.14)
(topics88)Gottried Schatz先生への追悼(2015.10.22)
(topics83)卵子のもと移して若返り?米企業が赤ちゃん誕生と発表:水素水との関連は?(2015.5.12)
(topics81)最近のトピックス(2015.4.24)
(topics80)謹賀新年:水素医学の10年の節目(2015.1.7)
(topics78)認知症予防には、ダンスが一番(2014.12.18)
(topics72)お知らせ(2013.11.10)
(topics71)水素ダイエット(2013.5.1)
(topics67)韓国でもプチ断食(2013.4.8)
(topics65)溶液のppmと気体のppmの違い:週刊文春2月28日号(2013.2.25)
(topics62)2013年度の放送大学の講義の撮影が終わりました。(2013.1.28)
(topics57)週刊文春(11月8日発売)で、水素の紹介: 信頼できる学術研究(2012.11.7)
(topics56)このブログについての論点(2012.11.1)
(topics45)不妊治療と水素温浴(2012.5.15)
(topics43)がん治療の副作用を軽くする水素入浴(2012.5.8)
(topics42)卵子の老化への水素の効果(2012.5.8)
(topics40)分子状水素医学シンポジウム(2012.2.20)
(topics39)卵子の老化:不妊治療と水素浴(2012.2.20)
(topics34)迎春(2012.1.19)
(topics32)「ミトコンドリアのちから」増刷決定(2011.12.17)
(topics31)ビタミンCの過剰投与によるがん治療(2011.12.17)
(topics24)リスベラトロールは人間でも効果有り(2011.11.2)
(topics23)女性セブンで、水素美容が紹介されました(2011.11.2)
(topics22)ミトコンドリア研究:文化功労者に(黒岩常祥東大名誉教授(2011.9.23)
(topics09)放射線による遺伝子の傷はどのくらい?(2011.8.26)
(topics07)食品の放射性汚染の目安:暫定基準よりも自分なりの基準を持とう(2011.8.26)
(topics06)またも内部被曝の説明の悪さ(2011.8.18)
(topics05)水素の抗炎症作用:猫の引っ掻き傷(2011.8.17)
(topics02)セロトニントランスポーターの登録番号は、2.A.22.1.1(2011.8.15)
(topics02-2)酵素は食べたり飲んだりするものではありません!(2011.8.14)
(topics01)体が若くなる技術」のランキング100位以内(Amazon)(2011.8.14)

水素のダイエット効果についての論文発表(2017.8.23)

最近、水素のダイエット効果についての論文が発表された(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28560519)。
対象者は、平均年齢56歳、BMIは平均29(肥満度1に対応)のやや肥満のヨーロッパ人の女性10人。5人は水素を4週間摂取して2週間休みプラセボを4週間摂取。一方、別の5人はプラセボを4週間摂取して2週間休み、水素を4週間摂取したもの。この2つの群を比較する二重盲検のクロスオーバー臨床試験である。残念なことに水素摂取法については特許の関係か、詳細は明らかにされていない。
結果は、体脂肪率が水素によって1%減少し、二の腕周りが2.2%細くなった。また、血液中の中性脂肪が減少し、絶食時のインスリン量が低下していた。血液中の乳酸量も低下していたので、ミトコンドリアにおける脂質代謝が亢進していると考えられた。これらの結果は、被験者が全部で10人の少人数であるにもかかわらず、統計的に有意な差が認められたことは水素による大きな変化を示したことを意味する。
体重は、水素摂取によって平均1kg減少し、BMIが0.4低下し、ウエストヒップ率は、2%減少した。しかし、統計的に有意な差ではなかった。なお、以前の研究で、メタボ予備群において血液コレステロール濃度が統計的に有意に減少した臨床試験では、被験者は10週間水素水を摂取していた。ダイエット効果が十分に発揮されるには、4週間では短すぎるのかもしれない。

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腸内細菌の乳酸菌やビフィズス菌は、水素(H2)を作らない(2017.8.18)
最近、腸内細菌の役割が明らかにされ、乳酸菌やビフィズス菌(ビフィズス菌も乳酸菌の一つ)の健康効果が期待されている。また、一方、腸内細菌が水素(H2)を作るという話題もある。
じつは、全ての腸内細菌が水素を作り出す訳ではなく、乳酸菌やビフィズス菌は水素をつくりだすことはできない。つまり、腸内の乳酸菌やビフィズス菌を増やしたからといって、体内の水素濃度を高くできるわけでない。
水素を作り出す菌の種類は、Clostridium属、Eubacterium属、Clostridium属、Bacteroides属、Fusobacterium属などのいわゆる悪玉菌である。また、多くはないが日和見菌の大腸菌も水素をつくりだす。
Clostridium属には、ボツリヌス菌、破傷風菌、ウェルシュ菌、ガス壊疽菌など、病原性のある菌が含まれる。Fusobacterium属やBacteroides属の菌は歯周病の原因であり、また、局所的な皮膚潰瘍等の人間の病気に関わっている。Eubacterium属、は、細菌性膣炎の原因菌である。これらの菌が水素を作り出すと同時に有害な物資も放出している。
このような状況を考えると、腸内細菌が水素を作り出すことに手放しで歓迎する訳にはいかない。
一方、以前、あるテレビ番組で、「腸内の水素は悪影響を及ぼす」という話をされた学者の方がおいででしたが「悪玉菌は水素をつくる。だから、水素は身体に悪い」のではなく、「悪玉菌は身体に悪い。悪玉菌は水素をつくるので、水素を検出することによって悪玉菌の増加率がわかる」ということです。
それぞれの関係を正しく理解する事が大切です。

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水素水は魚へも効果的(2017.7.29)
今まで、水素(および水素水)の効果についての研究は、多くの動物と人間を対象に進められてきました。線虫、マウス、モルモット、ラット、イヌ、ブタ、ウマ、ヒトに対する多彩な効果が論文発表されてきました。
最近、魚へも水素水の効果があることが報告されました。
Impact of molecular hydrogen treatments on the innate immune activity and survival of zebrafish (Danio rerio) challenged with Aeromonas hydrophila. Hu Z, Wu B, Meng F, Zhou Z, Lu H, Zhao H. Fish Shellfish Immunol. 2017 Aug;67:554-560.(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28630014
使った魚は、ゼブラフィッシュ。この魚は5 cmくらいの大きさで遺伝子の解析がすすんでいるので、研究によく使われています。
わずか0.016 ppmの水素濃度の水の中で飼育すると、自然免疫力が高まり、細菌感染に対して耐性が獲得され、細菌に感染しても寿命が長くなるとのことです。
魚にも効果があることが示され、水素は広く高等生物に効果的であることが理解されます。

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論文発表10周年記念カンファレンス(2017.7.28)
水素医学は、私たちが2007年にNature Medicineに論文を発表したことから本格的に始まったのは自他共に認めることです。
この10年間に学術論文は500報にもおよびます。水素の体内への摂取法としては、水素水の飲用、水素点滴液の注入、水素ガスの吸入、水素点眼、水素入浴、水素化粧品と多彩な方法が使われています。動物実験だけでなく、例外的に速いスピードで多くの臨床試験がなされているのが、特徴だと言えます。水素ガスの吸入治療は、2016年11月に厚生労働省の先進医療Bに承認され、医療ガスへの承認に向かって実際の治療に使われています。発表当時の予想をはるかに上回る効果が確認されています。
このNature Medicine論文発表10周年を記念して、国際的カンファレンスが今年(2017年)の9月15日に開催されることになりました。日本、中国、韓国、台湾、米国、ドイツ、スロバキア、ハンガリーから研究者が参加し、研究成果を発表し合います。また、産業界からも多くの方が参加されます。このカンファレンスによって、いっそう国際的な交流が活発になることが期待されます。
日本発の研究分野なのですが、日本ではなく中国の広州で開催されることになりました。一般的なことですが、中国(地方)政府要人も参加されるとのこと。科学には国境がないので、どこで開催してもさしつかえないのですが、少し残念な日本の状況です。

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水素水は、野菜・果物の劣化を抑制する(2017.7.28)
最近は、水素は、動物だけでなく、野菜や穀物への効果も次々報告されています。
本日(2017年7月28日)の日刊工業新聞で、興味深い報道がありました。
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00431875
大阪府立大学大学院生命環境科学研究科の和田光生講師らが、野菜や果物を水素水に浸けることで低温障害が抑制されることを発見したという報道です。
同グループはバナナやナスを水素水に浸漬した後に自然乾燥し、冷蔵保存し、これを純水に浸漬したものと比較したとのこと。その結果、水素水に浸漬した果肉は、軟化が抑制されたほか、変色やくぼみなども少なく、品質劣化が抑えられたとの結果が認められました。
今後、野菜や果物の品質を維持することで、農家の出荷、物流、流通店舗での管理などで、様々な貢献をすると期待されます。
野菜や果物に対しても水素水に効果があるということは、高等生物一般に効果があると考えるのが自然でしょう。

なお、なかなか時間がとれなくて、このブログは休業状態でしたが、再開することにします。

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すでに公表された一般の方を対象として水素の効果(2017.4.19)
水素水の市販の商品としては、「病気の治療」のためではなく、一般の消費者に対して、水素はどのような効果があるのか?という問題が取り上げられるようになってきました。
そこで、一般の消費者にとって、水素水の効果が「あるのか」「ないのか」を明確にするために、ここでは、一般の方に対する水素水の効果のデータを紹介し、簡単に内容を捕捉します。このように、病気の治療だけでなく、日常の生活改善や予防効果があることが推測されます。

(1) 水素水を飲むことによってスポーツマンの運動後に乳酸の上昇が抑制され、筋肉疲労が低下していた(筑波大学のスポーツ科学の論文)。
(2) 水素入浴によって、運動後の筋肉痛が軽減した(早稲田大学のスポーツ科学の論文)
(3) 水素水を飲むことによって、日常的な疲労が改善した(大阪市立大学と理化学研究所のデータ)
(4) 水素水を飲むことによって、脂質代謝異常の傾向がある人の悪玉コレステロールが低下した(中国の山東大学の論文)。これは動脈硬化の抑制につながることを示唆します。
(5) 水素水をボランティアが飲むことによって、血流依存性血管拡張反応が上昇した(血流の増加)。これも動脈硬化の抑制につながることを示唆します(福岡県原土井病院の論文)。
(6) 6人の糖尿病発症前状態が改善した(統計的解析はおこなわれていませんが、6人全員が改善したという結果です)(京都府立医科大学の論文)
(7) 水素水を飲用することによって歯周病が改善した(岡山大学の論文)(歯周病は一般的になっていますので、一般の人に含めました)。

健康ということに関しては、40歳〜50歳の年齢に達すると、常にどこも完全に正常という人を見つけるのが難しいくらいでしょう。病気以外でもストレス、運動や疲労などの負荷がかかった場合は、「異常がある時」になると思います。また、二日酔いの時は、異常がある時になると思います。1年365日全て健康という状態は理想的ですが、現実には難しいと思います。
健康と病気の境界は、くっきりと分かれているのではなく、連続的なものですから、「健康な人への効果」にこだわる必要はないと、私は思っています。

詳しくは、以下の拙著をご覧下さい(宣伝でスミマセン)。
「ここまでわかった水素水:最新Q&A:(続)水素水とサビない身体」:(小学館)太田成男著

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すでに論文発表された水素の臨床試験結果(2017.4.19)
最近、水素(または水素水)に関して「効果がない」と強調する人が見受けられるようになりました。水素の効果に関する研究は着実に進められて、様々な方面から、かなりの研究成果がすでに発表されています。
以前(2016.3.10)にも、水素の臨床試験の結果を報告していますが、あらためて最新報告をさせていただきます。DBと記載されているのは、二重盲検テストの結果です。

(1) 虚血再灌流関係(急性疾患)
脳虚血(腹腔注射)(人数38)
心肺停止蘇生 (水素ガス)(人数5人:統計解析なし)
(2) 炎症抑制関係
炎症性またはミトコンドリア性筋症(水素水)(人数31)DBを含む
関節リウマチ(水素水)(人数20)
関節リウマチ(関節注射)(人数24)DB
歯周病(水素水)(人数13人)DB
運動後の筋肉痛(水素入浴)(人数20人)DB
(3) 脳神経変性病関係
パーキンソン病(水素水)(人数17)DB
(4) メタボおよび代謝関連
2型糖尿病と境界型糖尿病(水素水)(人数30)DBを含む
メタボリックシンドローム(水素水)(人数20)
脂質代謝異常(水素水)(人数20)
脂質代謝異常(水素水)(人数68)DB
静脈血流改善(水素水)(人数34)DB
運動による乳酸血症(水素水)(人数52)DB
筋肉疲労と血液乳酸(水素水)(人数10)DB
(5) その他
慢性腎不全(血液透析)(人数29)
間質性膀胱炎(水素水)(人数30)DB(自覚症状のみの効果)
放射線治療の副作用軽減(水素水)(人数49)DBらしい
圧力皮膚潰瘍(床ずれ)(水素水)(人数22)
紫外線による皮膚障害(水素ガス)(人数28)
慢性B型肝炎(水素水)(人数60)DB (酸化ストレス軽減効果のみ)
運動による筋障害(サプリメント)(人数36)(統計的有意差なし)
シワ、肌のつやなど(水素入浴)(人数6人)(統計解析なし)

詳しくは、以下の拙著をご覧下さい(宣伝でスミマセン)。
「ここまでわかった水素水:最新Q&A:(続)水素水とサビない身体」:(小学館)太田成男著

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「ここまでわかった水素水最新Q&A」(太田成男著)が出版されます。(2017.2.21)
最近、水素水に対しての否定的な意見が見られます。
様々な疑問や否定的な意見の中には、科学の知識がないために生じたものもありますし、なにがなんでもアンチ水素水という立場の人もいます。
しかし、まじめに考えて「水素水に効果があるとは、どういうことだろう」と率直に疑問を感じる人も多いのです。
この本では、「水素水の疑問にすべて答えます」というスタンスで執筆しました。
水素水に対しては、是非この本を読んで事実に基づいて議論してほしいものです。
また、この本が、水素水を理解するというだけでなく、超高齢社会の問題点を考える契機になっていただければ幸甚です。

本体1,200円 小学館(2017/03/01発売予定)
https://www.shogakukan.co.jp/books/volume/45459
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784093885218

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正統な科学では、正しい測定が大切(2017.2.3)
2016年12月15日に国民生活センターが公表したデータについて、複数の企業からクレームがあったことが、公表されました(2017年1月20日)。水素水は、正統な科学に基づく製品のはずですから、水素濃度の測定は決定的に大切です。もしも、間違った値を公の機関が公表したのでしたら、問題は大きいと思います。
科学は、白黒がつくのが特徴ですので、是非白黒つけて、どちらの言い分が正しいのか、決着をつけてほしいものです。ただし、12月24日に私のブログでもすでに明記したように、国民生活センターの測定方法は、デンマーク製の水素電極とガスクロマトグラフィーを併用したもので、私たちが研究に用いている装置と方法は基本的に同じです。
このデンマーク製の水素電極は1式で100万円を超えますが、私に相談にきた会社には、この測定装置を購入するように勧めています。「100万円以上もする装置はとても高価なので買えない」という会社には、「水素事業はやめたほうがいいですね」と助言しています(なお、この水素電極の会社からはリベートはいただいていませんので、念のため)。
また、水素水測定装置といいながら、「溶液中の酸化還元電位(ORP)を検知し、溶存水素濃度として換算」している装置では、正確な水素濃度を測定できないときがあるので、注意が必要です。基本的に原理がまちがった測定機器では正しい濃度結果を得られないときがあるのは当然です。
なお、容器いりの水素水では、10社製品中商品表記と同じ水素濃度のものは、3社製品で、上位から株式会社メロディアン、株式会社KIYORAきくち、株式会社伊藤園でしたが、この3社は、国民生活センターが使用した測定装置と同じものを使用しています。ちゃんとした会社は、ちゃんと水素濃度も測定しています。

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ビールを「ただの水」と言いますか!?—水素水を「ただの水」という方々へ—–(2017.2.3)
のどが渇いたときのビールはおいしい。のどが渇いたとき、ビールを水分補給のために飲むことは普通です。でも、ビールを「ただの水」とは言いません。つまり、水分補給のためにビールを飲んだからといって、「ただの水」でないことは明らかです。
ウーロン茶や麦茶を水分補給のために飲んだからといって、「ただの水」とは言いません。
2016年12月15日に国民生活センターが発表した水素水関連事業社に対するアンケート調査では、15社(3社は無回答)中、11社が水素水の効果として、「水分補給」と回答したということでした。
それをもって、「水素水『やっぱりただの水』 国民生活センター調査の唖然」と、水素水を「ただの水」呼ばわりする方々が出てきました。水分補給を目的とするからといって、「ただの水」というのは、論理的にまちがっているのは、すぐわかることだと思います。
ビールを水分補給のために飲むからといって、「ただの水」ではない。
水素水を水分補給のために飲むからといって、「ただの水」ではない。
どうも、今回のアンケートは、公正なアンケートではなかったような印象を私も持つようになりましたが、事業者側が水素水の効果を「水分補給」と回答してはダメでしょう。
もちろん、水素が全くはいっていないのは、「水素水」ではなく、「ただの水」です。水素が高濃度にとけている水が、水素水です。

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「データがある」のに「データがない?」:国民生活センター発表2016.12.15に関連して(その3)(2016.12.25)
国民生活センターの発表資料では、冒頭に、国立健康・栄養研究所の「健康食品の安全性・有効性情報」に記載された「ヒトに対する有効性については信頼できる十分なデータが見当たらない。」を引用しています。これが、水素水にはあたかも有効性を示すデータがないかのような誤解を誘導してしまったように感じます。
「国立健康・栄養研究所」の「ヒトに対する有効性については信頼できる十分なデータが見当たらない。」の記載については、わざわざ「注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。」と注意書きをしています。もちろん、「保証できないものを保証できない」と明記しているのは正直で好感がもてるし、テレビや雑誌のインタビューでは「まだ、わからないということです」と何度か明確に応えているので、これも正しい対応だと思います。
「信頼できる十分な」となると何をもって「信頼できる」のか、何をもって「十分な」なのか、基準をはっきりさせないことには、誤解が一人歩きしてしまいます。また、「データがない」ではなく、「データが見当たらない」としているところが、興味深いところです。少なくとも、ちゃんと研究をして統計解析をして有意であるというデータを示している研究に対して「信頼できない」とか「十分でない」という場合には、公的機関であるからには、誤解がないように配慮しなくてならないと思います。
水素水の商品としては、「病気の治療」のためではなく、一般の消費者に対してどうなのか という問題を取り上げる人がいるようです。
そこで、一般の消費者にとって、水素水の効果が「あるのか」「ないのか」を明確にするために、ここでは、健康な人に対する水素水の効果のデータを紹介します。発表論文名と発表場所は末尾に記載しました。
(1) 水素水を飲むことによってスポーツマンの運動後に乳酸の上昇が抑制され、筋肉疲労が低下していた(筑波大学のスポーツ科学の論文)。
(2) 水素入浴によって、運動後の筋肉痛が軽減した(早稲田大学のスポーツ科学の論文)
(3) 水素水を飲むことによって、脂質代謝異常の境界領域の人のコレステロールが低下した(中国の山東大学の論文)。これは動脈硬化に抑制につながることを示唆する。
(4) 水素水をボランティアが飲むことによって、血流依存性血管拡張反応が上昇した。これは動脈硬化の抑制につながることを示唆する(福岡県原土井病院のデータ)。
(5) 水素水を飲むことによって、日常的な疲労の程度が改善した(大阪市立大学と理化学研究所のデータ)。
(6) 6人の糖尿病発症前状態が改善した(統計的解析はおこなわれていない)(京都府立医科大学のデータ)
(7)(歯周病の人は健康な人に含めないかもしれませんが)、水素水を飲用することによって歯周病が改善した(岡山大学のデータ)。
以上のデータは、脂質代謝異常や歯周病の予防効果につながる改善を示唆するものであり、兆円オーダーの医療費の削減に大いに貢献することが期待されます。
なお、認知症発症前の軽度認知障害への水素水の飲用効果についても、論文を投稿中で、今後、次から次へと重要な論文が発表されるでしょう。
「有効性を示すデータがある」にもかかわらず、「保証できない」と断り書きをしている「信頼できる十分な有効データが見当たらない」というだけの情報を公の機関が発信するのは、いかがなものでしょうか?マスコミを含め各方面の関係者に、冷静な判断をすることを求めたいと思います。
文献
(1) Med Gas Res. 2012; 2: 12. Effects of drinking hydrogen-rich water on muscle fatigue caused by acute exercise in elite athletes.
(2) Jpn J Phys Fitness Sports Med, 2016; 65(3): 297-305. Effects of hydrogen bathing on exercise-induced oxidative stress and delayed-onset muscle soreness (https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/65/3/65_297/_pdf)
(3) J Clin Endocrinol Metabol, 2015; 100: 2724-2733. Hydrogen Activates ATP-Binding Cassette Transporter A1-Dependent Efflux ex Vivo and Improves High- Density Lipoprotein Function in Patients with Hypercholesterolemia: A Double-Blinded, Randomized, and Placebo- Controlled Trial.
(4) Vasc Health Risk Manag. 2014; 10: 591-597. Consumption of water containing over 3.5 mg of dissolved hydrogen could improve vascular endothelial function.
(5)https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/pdfs/press_150522.pdf#search=%27大阪市立大学+水素+疲労%27 (論文投稿中)
(6) Nutr Res. 2008; 28:137-143. Supplementation of hydrogen-rich water improves lipid and glucose metabolism in patients with type 2 diabetes or impaired glucose tolerance.
(7) Antioxidants. 2015; 4: 513-522. Drinking Hydrogen-Rich Water Has Additive Effects on Non-Surgical Periodontal Treatment of Improving Periodontitis.

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本物の水素水と水素が検出されない「水素水」:2016年12月15日の国民生活センター発表結果(その2)(2016.12.24)
2016年12月15日に国民生活センターが記者会見し、水素水に関する調査結果を発表しました。今年になって3度目の発表ですので、水素水に関する関心の高さを物語っています。
その調査結果発表について、私からもコメントをだして欲しいとの要望があったので、何度かにわけて、私の見解を述べたいと思います(その2)。
国民生活センターが19社の水素水製品について、水素濃度を測定しました。
この測定方法は、デンマーク製の水素電極とガスクロマトグラフィーを併用したもので、私たちが用いている方法と同じ信頼できる方法です。
結果は、容器いりの水素水では、10社製品中商品表記と同じ水素濃度のものは、3社製品で、上位から株式会社メロディアン、株式会社KIYORAきくち、株式会社伊藤園でした。
なお、今回測定された商品会社のなかで、私が理事長を務める日本分子状水素医学生物学会の賛助会員は、この3社だけでした。

奥長良川名水株式会社と株式会社日田天領水 のペットボトル入りの自称「水素水」は、水素が全く検出されなかった結果でした。これは以前から私のブログの表紙に注意を促しているものです。
つまり、ちゃんとした高濃度の水素水もあれば、水素の検出されない自称「水素水」もあるということです。

ちなみに、週刊文春が12社の容器入り水素水、10社の水素水生成商品の製品の水素濃度を調べて報道しています(2016年8月3日号)。民間の1週刊誌が調べたよりも国民生活センターの調査数が少ないのですから、公の機関としてもっと多くの商品を調べて欲しいものです。国民の要望は、水素水関連商品の中で、どの商品にはちゃんと水素が含まれているのかを明確にして欲しいということだと思います。

注:国民生活センターの発表では、水素水の定義はないと書かれており、水素濃度が適切であるかどうかの判断はされていません。したがって、水素濃度に関するコメントは別の基準によるものですので、関係部分は削除しました。

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日本テレビの朝番組「スッキリ」のコメントについて(2016.12.21)
2016年12月20日に水素水関連についての取材があり、21日の朝に放映されました。テレビでは、取材コメント全てが放映されるわけではないことは承知して取材をうけています。全体としては、よい番組だっだと思っていますが、以下の2点について、削除された私のコメントについて感想を述べます。
(1)水素医学関連論文の英文論文が600報発表されていることのコメントと同時に人を対象とする研究論文が25報発表されていることを話しました。しかし、人を対象とした研究論文があるというコメントが削除され、あたかも、水素水については動物実験しかないように誤認される内容となってしまいました。このコメントの削除は、「人に対しての効果はわからない」という結論に意図的に誘導するものと感じられました。
(2)水素が体内で効果を発揮するメカニズムについては、水素が活性酸素を除去するだけではないとの話をしましたが、ここも削除されました。この点は、むずかしい話なので、削除されるのはしかたがないとは思いますが、私があまりに単純に考えているわけではないことを表明しておきます。

その他の番組内のコメントについて、
(1)心肺停止後の水素ガス吸入効果に対して、「動物実験では」と限定してコメンテイターがコメントしていましたが、人を対象とした論文もすでに発表されている事をお知らせします。
(2)コメンテイターが、プラセボ効果の可能性について言及していましたが、動物実験ではプラセボ効果はありません。この分野では動物実験の基礎研究がしっかりおこなわれているので、動物でみられた効果が人でも再現された場合は、プラセボ効果と考えない方がよいと思っています。根拠なくプラセボ効果というのは、個人的には基礎研究をないがしろにするものだと感じました。
(3)人の健康効果について確定するには10-30年の研究が必要だという話は、よかったと思います。

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水素水の効果は「水」ではなく「水素」:国民生活センター調査における、あきれた事業者の回答について(2016.12.20)
2016年12月15日に国民生活センターが記者会見し、水素水に関する調査結果を発表しました。今年になって3度目の発表ですので、水素水に関する関心の高さを物語っています。
その調査結果発表について、私からもコメントをだして欲しいとの要望があったので、何度かにわけて、私の見解を述べたいと思います。

(その1)
まず、一番、驚いたというか、あきれたというのは、事業者へのアンケート調査結果です。飲用により期待できる効果を尋ねたところ、15社(3社は無回答)中、11社が「水分補給」と回答したということでした。この「水分補給」と本当に回答したのか、誘導尋問にひっかかったのか、詳細と真偽は わかりかねますが、もし本当だとすれば、あきれた話です(国民生活センターが作為したとは思ってはいませんが、あまりにあきれた話なので・・・)。
水素水は、水素を溶かした水です。砂糖を溶かした水は砂糖水、砂糖水が甘いのは水が甘くなったからではなく、溶けた砂糖が甘いのです。水素水は、水素を溶かした水のはずであって、「ただの水」ではないはずです(もちろん、水素がはいっていない「自称水素水」はただの水です)。もしも、水分補給目的というなら、普通の水を飲めばいいだけですから、事業者がそう回答したとすれば馬鹿にした話です。
おそらく、法律的な問題から「水素水の効果効能は現在標榜できない」ので、水分補給と回答したのだとは思います。しかし、水分補給などと馬鹿げた話をするのではなく、ちゃんと「水素水は分子状水素が入った水です。分子状水素の摂取を目的としています。分子状水素の効果効能は標榜できないため、『期待できる効果』については現段階では回答できません」と回答すればいいのに、というのが、私の意見です。
自社製品の宣伝に法律上の規制から効果効能を標榜してはならないのは、理解できます。しかし、このような公のアンケートに答える場合には、効果効能を標榜することにはならないのではないかと私は思います。法律的・行政的な問題については、私は専門外ですので、専門家の見解を教えていただけると幸甚です。
事業者が、「水素水は水分補給目的」とか「ただの水」ということが、水素水の混乱をひきおこしている原因のひとつだと私は思っています。

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大隅良典先生、ノーベル賞受賞おめでとうございます:独創的研究の原点(2016.10.15)
大隅先生はノーベル賞受賞時に、「誰もやっていないことをやろう。」と思い、現在の研究テーマを設定したとおっしゃっていました。
水素研究における独創性」では、私が「生化学若い研究者の会」の事務局長を務めたことがあること、それが現在の独創的な研究につながったことを話しました。大隅先生も、「生化学若い研究者の会」のOBメンバーで、独創性・オリジナリティーについて、何度も話をされています。
30年くらい前、大隅先生が、ちょうど現在のオートファジーの研究をはじめたころに、長野県の蓼科高原で開催した「生化学若い研究者の会の夏の学校」のパネルディスカッション「独創性、オリジナリティとは何か」で講演されたことを思い出します。その他のパネリストは、郷通子さん(元お茶の水大学学長)と山本雅さん(元東大教授)で、このお二人は、すでに著名な研究業績を挙げておられました。特に、山本さんは、「がん」を専門にしていましたので、競争の激しい分野でしたから、「競争の激しい分野であるからこそ、他の人にない独創性が必要なのだ。」とお話されていました。郷先生は、カーリーヘアにしたら、周りが違って見えて、新しい発想ができたと話されました。大隅先生は、他の二人に比べれば、新しいテーマを始めようとしていたころで、まだ論文も出ていない状況でした。しかし、「大切なのは、人のやらないことをやろうという精神ではないか、流行を追わない精神が大切」とお話しになられたのを記憶しています。
2008年の生化学会大会期間中に開催された、「生化学若い研究者の会創立50周年記念シンポジウム」では、大隅先生は、生化学若い研究者の会は、大変な財産だった、と最初にお話しになりました。めちゃくちゃ自発的な会で、修士1年から博士課程修了まで皆勤なさったとのことです。分子生物学の興隆期で、それほど権威が見えない、自由な雰囲気の時代だった、交流の実が見える時代だった、貧しいが夢のある時代だった、と振り返られました(日経バイオテクhttps://bio.nikkeibp.co.jp/article/bc/0020/0141/)。
2010年に、夏の学校50回記念の夏の学校にOBとしてシンポジウムに招かれて、私も後輩に向かって話をしたのですが、その時のテーマもやはり「情報過多な時代のオリジナルな研究とは?」でした。「当時と現在での研究の進め方がどのように変わってきたか?日本発の研究を如何に創成していくか?国際的研究者になるには?」などが議論のテーマでした。
このような空論みたいな議論が何になるのだろう?役に立つのだろうか?と思った事もありますが、若いときの議論が実際の研究の際、特に苦しいと思えたときには、生きてくるものなのでしょう。
今年の3月に大隅先生とお会いしたときに、「水素研究はどうなってる?」「大化けしそうだね。」と励ましの言葉をいただき、「わかる人には、ちゃんとわかる。」と心強い思いをしました。
大隅萬里子夫人には、私の先生である吉田賢右先生の奥様の妹さんということもあってか、お世話になりました。35年くらい前、私が前橋に住んでいた頃、当時夜遅くまで一緒に飲んでいて、終電に間に合わなくなってしまったことがあります。そのときは、真夜中に自宅へ連れていっていただいて、泊めていただきました。現在も、学生や若い研究者を自宅に泊めておられると聞いています。

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水素研究における独創性(2016.10.15)
どうして、私が水素を研究するという発想ができたのだろうか?
どうして、私が研究をはじめた時点で水素の将来についても見通せたのだろうか?
たまたま偶然、私が水素の研究をおこなうことになったのでしょうか?
私の研究者への道、研究者として歩んだ道をふりかえってみると、偶然ではなく、水素の研究にいたる必然性があったのだと思います。
私は、研究生活を送るようになってから、2つの目標、指針を掲げてきました。
独創的研究と実用化できる研究の2つです。
ここでは、独創性について話をしましょう。
私が独創性にこだわるには理由があります。
私の研究歴で私の研究に対する姿勢で決定的な影響をうけたことがあります。
それは、大学院生のときに「生化学若い研究者の会」の事務局長を務めた経験があることです。
生化学若い研究者の会は、1953前に設立された自主的な会です。当時は、知識も設備もなく指導者もいない状況で、若い研究者たちが、なんとかしなくては!と思い立って設立したそうで、この若い研究者の会の主要OBメンバーには研究者として超一流、一流の人があふれています。先輩には、今年ノーベル賞を受賞した大隅良典先生もいらっしゃいます。
生命科学(生化学・分子生物学・バイオテクノロジーなど)の分野に興味を持つ大学院生を中心に構成され、全国各地でシンポジウムやセミナーなどの活動を行い、若い研究者のネットワーク作りを進めています。合宿スタイルの「生命科学夏の学校」が主なイベントです。自主的なボランティア活動ですのに、脈々と63年も続いています。
かれこれ38年前の話になりますが、私が大学院博士課程のときに、関東支部に事務局長の役回りがまわってきて、否応無しに私が引き受けることになってしまました。大学院時代は、すべての時間を研究につぎ込まなくてはならないのに、そんな余分な仕事をかかえこむことは、ある意味では「割の合わない」仕事でした。
若い研究者の会では、若い研究者の待遇改善についても議論しましたが、若いだけあって、いろいろ議論をしていました。皆、よい研究をしたいのです。よい研究をするために、研究者の道を選ぼうとしているのです。お金が欲しければ、他の職業につけばいいですし、時間が欲しければ他の職業につけばいい。
金と時間がないわりに自由というわけでもなく、厳しい世界です。
創造的な研究、独創的な研究を行うにはどうしたらいいか、よく議論していました。
経験のない若い学生が議論をするので、堂々めぐりばかりです。
ほかの人と違うことをすれば、独創的なのか?
どうしたら、独創性が培われるのか?
このように、何年も何度も、独創性とは何か、独創的な研究をするには、どうしたらいいか、このような議論ばかりしていたものですから、この会で事務局長を務めた者として後輩に対して恥ずかしいことはできません。独創性のかけらもない仕事だけはしたくないという思いはいつでも持つようになりました。
独創性のある研究に挑むのは、結構、勇気のいることです。他の人と違うことを言うことになれば非難も集まる、時には無視される。それだけに、その独創性から逃げる人と、それでも大切にする人が出てくるわけです。往々にして、人から文句を言われるのが怖いからと、多くの人がやっている研究をやりたがる傾向があります。特に日本人は。
独創的な研究をするには、(1)独創性を常に求め続ける。(2)独創的な研究に遭遇する機会があったら逃げない。のふたつです。これが私の信念のようなものです。

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おならをがまんするのは健康に良くない!:水素と悪玉腸内細菌の関係(2016.10.13)
「某大学教授や某国立研究所の『水素は水素水よりもおならに多く含まれている』の指摘に、おならを我慢する人や、おならを吸おうとする人が続出」という話題があるそうです。冗談かと思って無視していたら、本当に水素の効果を信じておならをがまんする人がいると聞いてビックリしています。
おならをがまんすると健康にいいどころか、とても非常に悪いのです。
一部の腸内細菌が水素を発生するのは本当です。しかし、腸内細菌すべてが水素を発生するわけではなく、善玉菌のビフィズス菌や乳酸菌は水素を発生しません。主に水素を発生するのは、悪玉菌の代表のウェルシュ菌と大腸菌です。この悪玉菌が腐敗によって作り出す物質が、おならの臭い原因です。単に臭いだけなら笑ってすませばいいのですが(人が居たらごめんなさいですね)、発がん物質を含む有毒物質が多く含まれています。我慢する事でその有毒物質は体に吸収され、全身を巡ります。さらに、悪玉菌が発生する有毒物質は便秘を促し、便秘は悪玉菌の増加という悪循環をもたらします。
ただし、悪玉菌が発生する有毒物質が健康に悪いのであって、悪玉菌の発生する水素が悪さをするわけではありません。あるテレビ番組で、「悪玉菌は健康に悪い=悪玉菌は水素を発生する=だから、水素は健康に悪い」ということを話していた人もいましたが、これも完全な誤解です。
「腸内細菌が発生する水素よりも水素水を飲む方が効果的」http://shigeo-ohta.com/topics120/)も合わせてお読みください。
おならをしたくなったら、トイレに駆け込んで下さい。

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ノーベル賞を2回受賞したライナス・ポーリング博士が提唱した抗酸化(2016.10.11)
2013年の中国海南島で開催された国際学会で、ある中国女性から声をかけられ最前席の隣の席に座るように促された。彼女は、ライナス・ポーリング博士(1901年-1994年)の孫と結婚したとのことで、義理の祖父ライナス・ポーリング博士について興味深い自慢話を聞くことができた。
ノーベル賞を2回受賞した人は歴史上4名いる。しかし、別分野で2回ノーベル賞を受賞したのは、ライナス・ポーリング博士だけである。1954年に「化学結合」の概念を提出した業績で、ノーベル化学賞を受賞した。さらに、地上核実験に対する反対運動をおこし、1962年にノーベル平和賞を受賞している。翌年の1963年に部分的核実験禁止条約が締結され、これ以降は大気中の核実験は事実上禁止され、閉鎖された地下核実験のみが行われている。北朝鮮でさえ、大気中核実験ではなく地下核実験を行っている。現在の世界が放射能まみれにならなかったのは、ポーリング博士たちの運動によるものである。
学問では、量子力学を物質のなりたちに適用し、量子化学・化学結合の概念をうちたてた。さらに、分子生物学の勃興に重要な役割をはたし、コラーゲンなどのタンパク質の立体構造を決定した。さらに、遺伝子病の原因を遺伝子解析によって明らかにし、鎌形赤血球の原因遺伝子を決定した。さらに、人間の健康に対して、分子矯正医学の概念を提出した。さらに、当時電気自動車の開発にも取り組んだ。このように、「さらに」「さらに」「さらに」「さらに」と連続して紹介するほど、驚くほど多様な方面に業績を残した人であり、人類の幸福を願った人である。これらの業績によって、英国の科学誌New Scientistでは、歴史上の偉大な科学者100名の一人として認められている。20世紀では、相対性理論のアインシュタイン博士と2人だけが選ばれているくらい偉大な研究者であり社会人であった。
ポーリング博士が最後に取り組んだ課題は、人類の健康である。健康にとって活性酸素が諸悪の根源であるので、その活性酸素を消去する抗酸化物質を大量に摂取することを推奨したのである。ポーリング博士は、ビタミンCの大量摂取を推奨した。ノーベル賞受賞者が推奨したので、多くの製薬会社では強力な還元剤の開発が進められた。しかし、抗酸化物質は還元力が強ければ強いほど副作用が強くなるようになる。抗酸化物質の大量摂取については、ポーリング博士は間違っていたのだ。活性酸素には必要な活性酸素と生体を破壊する活性酸素があることを知らなかったため、必要な活性酸素も消去しようと考えてしまったのである。分子状水素のような適度の還元力を持ち、必要な活性酸素は選択的に消去しないことが重要であるという考えには及ばなかったようである。
もしも、ポーリング博士がビタミンCではなく、分子状水素の還元力に気がついていれば、3回目のノーベル生理学・医学賞も受賞したかもしれない。
ポーリング博士の意思はScience brings people togetherを目標とするNobel-Pauling Biotech Symposiumに引き継がれている。The goal is to build a bridge between academia, government and industry, and to mix good business with exciting science globally.ここでも、基礎科学の重要性を説いている。
ちなみに、ポーリング博士が亡くなった1994年に私は日本医科大の教授として迎えられた。

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水素の効果は、パラダイムシフト(2016.10.10)
分子状水素(H2)の高等生物に対する多様な効果は、まさしく一種のパラダイムシフト(paradigm shift)と言える。2007年に私たちが論文を発表するまでは、分子状水素は高等生物に対しては何ら効果がないというのが常識であった。そのため、9年を経た現在も「水素には何ら効果がないはずだ。あり得ない。」という過去の常識にとらわれてしまう人がいるのは、そんなに不思議なことではない。
「パラダイムシフトとは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することをいう。パラダイムシフトの例として、まず旧パラダイム(例:天動説)が支配的な時代は、多くの人(科学者)がその前提の下に問題解決(研究)を行い、一定の成果を上げるが、その前提では解決できない例外的な問題(惑星の動きがおかしい)が登場する。このような問題が累積すると、異端とされる考え方の中に問題解決のために有効なものが現れ、解決事例が増えていくことになる。そしてある時期に、新パラダイム(地動説)を拠り所にする人(科学者)の数が増えて、それを前提にした問題解決(研究)が多く行われるようになる。(ウィキペディアより引用)」
基礎科学の発展を振り返ってみても、パラダイムシフトがおきた例は多くはない。そして、パラダイムシフトにより過去の常識が完全に否定された時でも、なかなか新しい常識を受け入れられない人が多かったのも歴史的事実である。

私が大学1年生だった1971年3月に「科学革命の構造」というパラダイムシフトを主題とする1冊の書籍が出版された。科学史家のトーマス・クーン博士が執筆した本を科学史研究家の中山茂東大助教授(当時)が翻訳されたものである。どのようにパラダイムシフトが起きるのか、その常識の変換に人々はどのように対応したのか、などが興味深く書かれていた。4月からは、中山先生が主催された科学史のゼミに参加したので、中山先生から直接教えをうけることができ、その教えは今も鮮明に覚えている。そして、当時自分がパラダイムシフトを起こすような研究に携わることができたらすばらしいだろうと思ったことを思い出す。歴史に学び、現在の研究に生かす。大学の教養課程で学んだことが、現在の専門の研究の進め方に生きている。

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水素水の国際的標準(ISO)認証へ向かって(2016.10.3)
先日、中国の山東省の泰安市で行われた第三回中国水素医学生物学会の期間中、私も含め日本・中国・韓国・米国の研究者5名が中心となって水素水の国際的標準化へ向かって、International Hydrogen Standards Association (IHSA)を設立しました。ここで、世界で唯一の水素水の標準を決め、国際的な認証を得ようとするものです。中国・韓国でも水素水に関しては怪しい商品が出回ってきているので、ちゃんとした製品を国際的に標準化する必要が生じてきたからです。科学に国境はありません。
世界の製品の標準でもっとも権威と信頼がある認証は、国際標準化機構(International Organization for Standardization、略称 ISO)によるものです。ISOは、国際的な標準である国際規格を策定するための非政府組織で、スイスのジュネーヴに本部を置きます。ISOでは、ほぼ2万ある規格は、工業製品や技術から、食品安全、農業、医療までの全ての分野をカバーしています。
そこで、IHSAで水素水の標準を決め、ISOに認証していただくように働きかけます。幸いなことに5人の中心メンバーの中には、ISO認証に深く関与した経験をもつ科学者もいるので心強いかぎりです。こうすれば、ちゃんとした水素水には、ISOのマークがつくことになり、消費者も商品の選定に困ることはなくなるはずです。

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中国泰山大学 水素生物医学研究所の設立(2016.10.3)
昨年、中国の山東省泰山大学には、水素医学の研究所が設置されました。産学官の共同設立です。所長の泰教授(Qin教授)は、昨年も日本に招待し、親交を深めてきました。
この研究所では、基礎医学と臨床試験が精力的におこなわれており、これからは臨床試験に力を注ぎ、1万人を対象とした水素水の臨床試験を計画しているとのことです。中国パワーには圧倒されます。
表敬訪問では大歓迎をうけ、大学としても水素医学には大きな期待を寄せているとのことで、これから、水素医学の世界の中心となっていく予感がしました。

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中国の水素医学生物学会への出席(2016.10.3)
9月25日に中国の山東省泰安市で、第三回目の水素医学生物学会が開催され、招待講演をしてきました。約300名の参加で、活発な雰囲気でした。参加者の国別では、日本・韓国・米国・マレーシアです。中国を訪れる度に、中国の研究レベルの向上には驚かされます。若い研究者も着実に育っています。論文数ではとっくに中国に抜かれており、「質では日本は負けないぞ」といっても、やせ我慢をしているような気がしてしまいます。
山東省教育庁と泰安市政府が主力単位(主催という意味か?)ということで、政府が学会へも積極的にバックアップしているようです。科学には国境がないので、水素医学の創始者として高く評価され、学問が発展するのはたいへんうれしいのですが、日本の状況を考えると、少しだけ悲しくなった中国の学会参加でした。
なお、11月には韓国での水素医学のシンポジウムが開催される予定で、出席してきます。

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水素水の有効性の評価は実は悪くない:国立健康栄養研究所の評定を見て(2016.9.3)
以前、国立健康栄養研究所の有効性データベースについて、私見を述べました。(topics123)国立健康栄養研究所の「『健康食品』の素材情報データベース」に取り上げられた「水素水」(2016.7.9)では、水素水について「信頼できる十分なデータが見当たらない。」というのは、このデータベースでの常套句ですので、特に水素水に関してだけデータがないというわけではありません。と記しました。
他の成分について注意深く読むと、常套句についても、評価の善し悪しによって、少しずつ書き方が違っていますので、整理してみます。
医薬品として承認されているタウリンでは、「タウリン摂取によりうっ血性心不全および肝炎に対して一部で有効性が示唆されているが、その他の有効性については十分な情報が見当たらない。」のように「有効性が示唆」と掲載させています。
カテキンやDHAのように特保として承認されているものは「関与成分とした特定保健用食品が許可されている。」と掲載されています。
医薬品でも特保でもない成分については、よく見ると少しずつ書き方を変えています。それを、私流にランク付けしてみます。
Aランク:ヒトでの有効性については、信頼できる十分なデータが見当たらない。
Bランク:ヒトでの有効性については、信頼できるデータが十分で(は)ない。または、十分にはない。
Cランク:ヒトでの有効性については、信頼できるデータが(は)見当たらない。
Dランク:ヒトでの有効性については、十分な情報が見当たらない。
Eランク:ヒトでの有効性については、情報は見当たらない。
具体的に見れば、例えば、スッポンは、Eランク;トマトは、Dランク;N—アセチルグルコサミンは、Cランク;クルクミン(カレーの成分)、シジミ、黒酢、ラクトフェリンは、Bランクです。それらに比べると、水素水はAランクです。さらに、「現時点における水素水のヒトにおける有効性や安全性の検討は、ほとんどが疾病を有する患者を対象に実施された予備的研究であり、それらの研究結果が市販の多様な水素水の製品を摂取した時の有効性を示す根拠になるとはいえない。」と書き加えられていますから、Aランク+αとも読み取れます。
私は、スッポン、シジミ、トマトなどは、健康に良いと思っていますので、それらと比べると水素水は有効と評価されているのが現段階です。
水素水について「信頼できる十分なデータが見当たらない。」を「信頼できるデータが見当たらない。」や「データがない。」と間違ってはいけません。
また、「現段階では」という但し書きを加えないといけない段階ですので、将来的には、「○○には有効」や「○○に関しては特定保健用食品が許可されている」としていかなくてはならないと考えています。

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水素医学論文全体の数と質(2016.9.1)
水素医学関連の論文は多くなってきて、だんだん正確に把握するのが難しくなっていますが、原著論文は500をゆうに超えたと思われます。
論文の質は一概にいうのが難しいのですが、どれだけ影響を与えたかという指標として引用数があげられます。私がNature Medicineに発表した論文の引用数は、現在613 (Scopusによる)です。新しい分野を切り開いた論文としては9年間で613は例外的に極めて多い引用数でノーベル賞クラスと言われます。
水素医学の論文の全体の平均の質の指標は、発表された学術誌のImpact Factorで表すことができます。大雑把に言えば、学術誌全体の2年間の引用数を発表論文数で割った数値です。中部大学の市原教授によると水素医学の最初の320報のImpact Factor平均は3.5だそうです。
Impact Factor平均が3.5と言われても専門外の方はピンと来ないと思いますので日本で発行されている学術誌と比較してみます。日本で発行されている英文雑誌のうちImpact Factorが算定されているのは、246誌で、上から8番目はCANCER SCIENCEでImpact Factor は3.896 、上から9番目はSCIENCE AND TECHNOLOGY OF ADVANCED MATERIALSで Impact Factorは 3.433。Impact Factor3.5は、日本で発行されている英文学術誌で、Impact Factorがついている雑誌の上位3−4%にあたるということになります。ちなみに全世界の20万誌のうち、Impact Factorがでているのは11698誌で、5%にしかすぎません(http://the.nacos.com/pdf/impactfactor.pdf 参照)。この数字をあてはめると、水素医学論文の平均は、日本の学術誌の上位0.15-0.2%ということになります。
私自身、この平均Impact Factor3.5を聞いて、この多さに正直驚いたくらいですから、かなり質の高い信頼性のある英文論文が多数出されていると言えます。

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心肺停止の患者さんへの水素ガス吸引治療の研究論文が発表されました。(2016.9.1)
もう1ヶ月になりましたが、5人の心肺停止患者さんへ水素ガスを吸引させた結果の論文が発表されました。論文の題名は、Feasibility and Safety of Hydrogen Gas Inhalation for Post-Cardiac Arrest Syndrome: First-in-Human Pilot Study(心肺停止患者の蘇生時に水素ガスの吸入させる治療の実現可能性と安全性:人を対象にした最初の予備的研究)。私も共著者のひとりですが、慶応義塾大学が中心となった研究です。
この研究では、5人中4人が90日後で「意識は清明、普通の生活ができ、労働が可能である。」という結果がでました。一般には、心肺停止後は命を取り留めても大部分の方は社会復帰が難しいので驚くべき結果です。救急医療においては、命を護るだけでなく、普通の生活ができるようにと社会復帰を目指します。
この論文では、論文の題目にもあるように、実際にこの手順で患者さんへ水素ガス吸引治療が可能なのか、また安全であるかを調べることが目的なので、水素ガスの効果があったことは結論していません。この研究では心肺停止患者さんへの最初の水素ガス治療なので、患者さんの選択の段階でバイアスがかかった可能性があるからです。
2月20日の13時のNHKニュースで、本格的な水素ガス吸引治療研究が始まるニュースが流れたように、全国12の医療機関で心肺停止患者への水素ガス治療がはじまっています(本格的な心肺停止患者への水素ガス吸引治験が始まります 参照)。
実際に水素が治療に使われるようになるには、手順を確かめ、安全性を確認しながら一歩一歩着実に進んでいくことが大切なのです。

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臨床研究への参加者の数と信頼性(2016.9.1)
最近の水素水の臨床研究の結果に対して、「参加者が数十人のごく小規模で信頼性が著しく低い試験結果でしかありません」と論評する人たちがいます。専門家が審査して学術論文として発表された結果に対して「著しく信頼性が低い」などというのもたいへん失礼な話だとは思いますが、本来は、信頼性は参加者の人数よりも、研究のデザインによるものですが、あまりに専門的になりすぎるので、ここでは参加者の数と信頼性の関係にしぼって話をしたいと思います。
臨床試験では、対象者ひとりひとりの体質も生活も違いますので、全員が同じ結果になるとは限りません。遺伝的純系の動物でも一匹一匹に個性があります。同じ水素水を同じだけ飲んでも同じ結果がでるとは限らないのです。そこで、その違いを考慮したうえで、その結果はどのくらい確かなのか、つまり偶然ではないかを判断することになります。一般に95%の確率で確かだという場合には、統計的に意味のある結果だと判断することが多いのです。統計的にP値(probability value)が0.05以下になると一般的には統計的に有意と言います。95%の確かさ(P=0.05)という場合には、効果がなくても5%の確率で偶然に効果があるかのような結果が生じることがあるという意味です。
あまり効果がない場合は少人数を調べてもP値は小さくならないので、多くの人を対象にして統計的な計算をしなくてはなりません。逆に、効果が顕著である場合には、臨床研究への参加者が少なくても、P値は小さくなります。人数が少なくても、統計的に有意な結果がでた場合は、その効果が顕著であることを意味します。
では、どのくらいの人数を必要とするのでしょうか?特に最初の研究(パイロット研究)では、多くの方を対象としても無駄になることもあるので、実際に効果がある場合にP値が0.05より小さくなる最小限の人数を計算します。例えば、パーキンソン病に対する水素水の効果の研究では、UPDRS scores で効果ありとP値が0.05よりも小さくなるためには、最小限の人数は8人と計算され、途中でひとり脱落することを考えて9人を対象としています(We calculated that the enrollment of a minimum of 8 participants would be required to detect a 5% difference in the change of UPDRS scores between the 2 groups, with a standard deviation of the mean difference of 3.5% at a 2-sided α level of 0.05 and 80%. Assuming 1 dropout, a total of 9 patients was required.)。最小限での人数を対象とした水素水の研究でP<0.05となったということは、水素水には顕著な結果があることを意味します。ただし、数%の確率で、実は効果がなかったということもありうるので、今度はもっと多くの人数を対象として研究に移行することになります。

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厚生労働省副大臣との面談:水素水は病気の予防に貢献すべし(2016.9.1)
先日(7月27日)、厚生労働省にて、水素水の将来について、副大臣からご意見を頂戴する機会に恵まれました。益々、水素の治療効果や予防効果が明確になっており、その利用にあたっての法律的な問題や現制度との整合性などもクリアにしておかなければならないと考えたからでした。副大臣は、お忙しい中、あらかじめ水素水についてよく調べておられ、資料も準備されており、ご意見は非常に明確でした。
まず、水素水は健康食品として、病気の予防に貢献すべきという意見でした。むしろ、効果効能を標榜できる医薬品にしてしまうと健康保険財政を圧迫することになりかねないので、せっかく作った機能性表示制度を利用すべき、というお考えでした。これからは、政府としても病気の予防に力を注がなくてはならないとの考えで、水素ガスは救急医療の医薬品、水素水は慢性疾患予防のための機能性表示食品という私の考えと一致するもので、非常に心強く感じました。
また、現在、副大臣のライフワークとして、健康・医療の町づくりにとりくんでいるので、このような公の取り組みの中に入り込むことによって、水素水の権威づけをしたらどうかとの具体的な提案もしていただきました。
現在進められている健康医療モデル都市には、東京にある健康・栄養研究所の移転も含まれているそうで、先日、私も健康・栄養研究所へ行ってきたことを話しました。「国立研究所も、あれが駄目、これが駄目というネガティブ思考ではなく、これがいい、あれがいいというポジティブ思考で、企業の後押しをするくらいの事をやってほしい。研究所も意識改革をしないと生き残れない。」との意見をいただきました。これも全くの同感です。
水素水が社会にどのように貢献したらよいかが明確になった一日でした。お忙しいところ、時間をとっていただきありがとうございました。
(注:機能性表示は特定の疾病の予防を表示するものではありませんが、結果的に病気の予防に貢献するという意味で使っています。)

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“水素発生入浴剤“の中には、やけどの原因となるものがあると、国民生活センターが注意呼びかけの裏情報(2016.7.27)
最近、水素に関する話題が多くなっています。国民生活センターは、7月21日に水素入浴剤による“やけど”の可能性についての記者会見をして、TBSなどでも放映されました。
このパック型水素発生剤は、粉末状の入浴剤とは異なり、アルミニム粉と酸化カルシウムの混合物が袋に入っています。そして、袋ごとお風呂につけると、水と反応して水素を発生しますが、同時に多量の熱を発生します。というよりも、その原材料は発熱剤として開発された経緯があります。高級レストランやテーマパークなどでも食品の保温によく使用されています。登山のときのお湯を沸かすのにも使われています。この素材は、お弁当をあたためるのに使う酸化カルシウムよりも多量の熱を発生します。そのため、やけどをしてしまうほどの熱を発生するのです。
そのときに、副産物として水素ガスを発生するので、水素入浴剤に使ったという経過です。しかし、その水素ガスは99%で、純度としては高くありません。清涼飲料水である水素水の原料となる水素は、99.95%〜99.99999%の純度の水素ガスが使われています。99.99999%の最高純度の水素ガスを使っているのは、出雲神社の水系をつかって製造販売されているメディソル社の水素水「縁(えにし)」と「結(ゆい)」です(二つ合わせて縁結び)。
くり返しますが、粉末状の水素入浴剤とは別の物で、今回の発表では、水素入浴剤全部が悪いような十把一絡のような議論はしていません。やけどの危険性のある製品を他の製品と混同しないように、きちんと区別しています。この点は評価できると思います。
もうひとつの懸念は、パック型入浴剤では、多くの水素ガスを発生しすぎることです。こんなに大量の水素ガスを発生させても、水には溶けないで風呂のお湯の外にでてしまうだけです。お風呂のなかで洗面器などに水素ガスを貯めて火をつけて遊ぶようなことがないかと心配です。水素ガスは4%以上になると爆発しますので、水素は多ければ多いほどよいというわけではありません。
ついでにと言っては語弊があるかもしれませんが、4年ほど前に、この製品(パック型入浴剤)が販売されたときに、ある研究会の休憩時間に参加者とコーヒーを飲みながら懇談する機会があり「そのパック型水素発生は、かなり高温になるのでやけどに注意する必要がある。私はお薦めしません。」という旨の話をしたことがあります。すると、それを録音しておいて「営業妨害だ。私は、あの手の人と知り合いが多いので、身辺には十分ご注意を!」という脅迫状まがいのメールを製造元の会社社長が送ってきました。困ったものです。この製品を販売している全部の会社というわけではありませんが、??と思われる会社が混じっています。
なお、TBSテレビでやけどの危険性のあるパック型水素発生剤を販売している会社のひとつは、分子状水素医学生物学会(太田成男理事長)の賛助会員となっていました。当会の賛助会員は1年制で、様子を見ながら1年毎の更新を認める方法となっています。が、今年の5月には諸般の事情で賛助会員の延長を認めませんでしたので、現在は賛助会員ではありません。また、私の写真と名前を宣伝に使っている会社がありますが、無断使用で私とは関係ありません。
水素化マグネシウムは化粧品素材としても承認されており、適正な量の水素を発生し発熱もしないので入浴化粧料として安全です。ちゃんとした製品と、そうでない製品を見分けながら、水素の効果を実感していただきたいと思います。

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水素ガスはOKでも、水素水はダメ?? 水素の有効濃度のお話(2016.7.19)
水素水をめぐる議論に、「水素ガスの吸引効果は理解できるが、水素水の飲用効果はありえない」という意見があります。「水素ガスを吸うなら大量の水素を摂取できるが、水素水からは微量の水素しか摂取できないはずだ」というのが理由のようです。
こういう議論では、単なる印象ではなく、実測や計算が大切です。
吸引させた時の水素ガスの有効濃度は1%(volume/volume)以上であることが動物実験でわかっています。最近の臨床試験では、1.3%、2%、3%(volume/volume)の濃度の水素ガスを吸引させており、動物実験の結果とよく一致しています。水素の飽和濃度が800μMなので、そのときの体内濃度は、10〜24μMとなるはずです。別の単位で表すと0.02〜0.048 ppm(weight/weight) (1リットルあたり20μg〜48μg)です。
では、水素水を飲んだときの体内濃度はどうなるでしょう?これは、人体実験をするわけにはいかないので、ラットを使います。15mL/kgの飽和水素水を飲ませた場合の結果を見てみます。これは、体重40kgの人に600mLの水素水を飲ませた量に対応しますので、極端に多く飲ませた訳ではありません。測定結果では、水素濃度は肝臓で20μMに達することは実測されています。別の単位で表すと0.040 ppm(weight/weight) (1リットルあたり40μg)です。この濃度は、2%の水素ガスを吸わせたときの水素濃度とほぼ一致します。
Molecular hydrogen improves obesity and diabetes by inducing hepatic FGF21 and stimulating energy metabolism in db/db mice. Obesity (Silver Spring). 2011;19:1396-1403.のFigure 1
つまり、水素ガスを吸わせた時と、水素水を飲んだときでは、臓器へ到達する水素濃度はあまり違わないのです。
「腸内細菌が発生する水素よりも水素水を飲む方が効果的」http://shigeo-ohta.com/topics120/
に説明しましたように、水素の効果は、水素の摂取量ではなくで、水素濃度の変化が重要です。
つまり、水素水の水素でも十分効果を発揮できるはずだということになります。もちろん、水素ガスの吸引と水素水の飲用による体内動態は全く同じだという訳ではありませんが、基本的には同じように考えてよいのではないかと思っています。

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国立健康栄養研究所の「『健康食品』の素材情報データベース」に取り上げられた「水素水」(2016.7.9)
最近、国立健康栄養研究所の「健康食品」の素材情報データベースに水素水がとりあげられ、マスコミでも紹介されました。私のところにも一般の方々から質問がよせられていますので、このブログにも私の見解を記しておきます。
じつは、6月29日に国立健康栄養研究所を訪れ、いろいろな話を聞いてきました。所長を含め4名の担当者が2時間ほど特別待遇で親切に対応していただきました。まず、感謝したいと思います。
このデータベースでは、まず、水素水の定義をしています。「水素水とは、水素分子(水素ガス)の濃度を高めた水である。」とし、「水素水の調製法としては、(1)加圧下で水素ガスを水に充填する方法、(2)マグネシウムと水、あるいはアルミニウムと酸化カルシウムと水の化学反応により水素分子を発生させて溶存する水素分子濃度を高める方法、(3)水の電気分解により陰極側に発生した水素分子が豊富な水を利用する方法がある。電気分解により調製された水は、還元水素水、アルカリイオン水、電解水素水などと呼称されることがある。」としています。今まで、公的機関で、水素水の定義をしたところがなかったので、これからは、この定義を使う事になると思います。この点については評価し、御礼を申し上げてきました。
有効性については、「ヒトでの有効性について信頼できる十分なデータが見当たらない。現時点における水素水のヒトにおける有効性や安全性の検討は、ほとんどが疾病を有する患者を対象に実施された予備的研究であり、それらの研究結果が市販の多様な水素水の製品を摂取した時の有効性を示す根拠になるとはいえない。」と書かれています。「信頼できる十分なデータが見当たらない。」というのは、このデータベースでの常套句ですので、特に水素水に関してだけデータがないというわけではありません。すでに信頼できる十分なデータがあるなら、研究する必要はないわけですから、納得できる表現です。
しかし、一部マスコミでは「信頼できる十分なデータが見当たらない。」を「信頼できるデータが見当たらない。」「データが見当たらない。」として紹介しているところもあります。この点は大いなる誤解をあたえますので、この点を指摘すると、このデータをマスコミが使う事を許諾したかどうかは「答えない」との慎重な姿勢でした。一部マスコミのように、この内容を正確に伝えないで、意図的に水素水の悪口を言うだけの目的に利用される危険性がありますが、マスコミに正確に伝えてくれというのは、無理なことだとあきらめているとのことでした。「マスコミとは太田先生が喧嘩してください、当研究所は関与しません」とのことでした。
安全性についての、「信頼できる十分な情報が見当たらない。」としていましたので、安全性に関するデータをいくつか指摘してきました。しかし、「そのデータは水素であって水素水ではない」とのこと。「水が安全で、水素も安全で、お互いに反応しないのだから、水素水も安全だと言ってもよいのではないか?」(太田)との問いには、「水は安全だとしても、一般の方はせいぜい2リットルくらいしか水は飲まない。しかし、水素水が健康にいいと思うと、4リットルも5リットルも飲もうとする人がでてくる。多くの被験者で水素水4リットルを何日も飲んで安全だというデータがない限り、安全だとは言えない。」との答えでした。1日4リットル飲ませる臨床試験については、倫理審査委員会で承認されることはないでしょうから、そのような試験はできません。
また、水の安全性については、「水素水の製造工場では、食品工場として保健所が立ち入り、水の安全性を担保しているのだから、水素水の水自体の安全性については担保してもよいのではないか?」(太田)の問いには、「日本で流通している水素水を製造している工場を100%リストアップして所轄の保健所を100%リストアップして、そのすべての保健所から、使っている水は安全だと言うリポートをいただければ納得します。」という答えで、「もし、ひとつでも保健所の目をすり抜けて、安全でない水を使っている工場が一つでもあれば、水素水に使っている水も安全とは言えない。」という立場でした。もちろん、この要求に答えるのは不可能です。安全だと言い切るのは、不可能ということです。
なお、水素水を1日1.5リットル〜2リットル飲んで、体調不良の訴えがあった件については、「マグネシウムスティックにより水素を発生させた水素水」と限定して正確に記載してあります。
「有効性についても、データが揃いつつあるので、データがそろえば、今後は、有効性・効果・効能について記載するのか?」の問い(太田)には、「有効だという何らかの記載をすると、悪徳業者は、それを利用するだろう。悪徳業者を利して、消費者に不利益がでるようなことはできない。現状では、悪徳業者がいるので、水素水についての有効性については書けない状態だと認識している。」とのことでした。
基本的な姿勢としては、「この素材情報エータベースは、消費者が有害な物質を摂取して健康被害が起きないように、また、効果がないものに妄信的に頼って通常の治療ができなくなることを防ぐことを目的としているので、医学情報とは違うスタンスで作っている。」とのことで、それはそれで、納得できる説明でした。
一部だけの文言だけでなく、全体を見渡して、この情報を正確に利用することをさらに啓発していただきたいと思いました。

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科学的真実と社会的運用法(2016.7.6)
科学的真実は、人間社会の都合で変えることはできない。例えば、地球の自転速度を人間社会の都合で変えることはできない。しかし、社会的運用によって時刻を変えることは可能である。米国のように一つの国でも地域毎に時刻をかえることもできるし、ヨーロッパのように夏時間と冬時間を設定する事も可能である。
最近の水素水に関する議論では、科学的真実と社会的運用法を区別して議論せずに、混乱が生じているところがあるので、整理してみよう。
科学的真実に関しては、水素ガスの吸引および水素水飲用によるモデル実験動物に対する効果は、多方面から立証され、水素の多機能性効果は、動かす事ができない科学的真実の領域に達している。メカニズムについては、基本的な部分は解明されてはいるが、すべてが解明されたとは思わない。しかし、メカニズムに不明の部分が残されているからといって、効果自体を否定する事はできない。
科学的真実は不変であるので、社会的な理由によって、あるときは正統的な科学になり、あるときはニセ科学になるということはありえないし、社会的な要請によって、科学的真実が変えられたり、歪められることがあってはならない。
社会的に応用するときは、人間を対象とする研究成果が必要である。基礎医学の研究者である私は、人間を対象とする研究は真実の探求というよりは実用化(応用)へのステップとして捉えている(異論はあるかもしれませんが・・・)。
次に、この科学的真実を社会へ応用する場合には、科学的真実を基盤として、同時に社会的運用法のルールを守らなくてはならない。
少なくとも我が国の法律(薬機法)では、商品の販売者が効果効能を標榜して販売するためには、医薬品として公に承認されることが必要である。医薬品として承認されるためには、その手順が決められているので、いくら効果効能がある場合でも、その手順を踏まなくては、医薬品として承認されず、販売者が効果効能を標榜することはできない。逆に、医薬品として承認される手順まで至っていない、または経済的理由によってその手順を踏めないからといって、科学的真実の効果効能自体が否定されるわけではない。同時に、第三者が科学的真実について議論するのは自由である。また、第三者の女優さんが自分の体験を話すのは法律的には問題ない。
健康食品(特定保険用食品や機能性表示食品)の場合も、同様である。水素ガスや水素水が健康な人(疾病に罹患していない人)に対して効果があるという研究結果があるからといって、販売者が手順を踏まずに効果効能を示唆して販売してはならない。また、その手順がないからといって、科学的真実を否定することはできない。
水素は、既存食品添加物として承認されており、承認した当事の厚生労働省局長の言によれば、「水素水は食品として販売することには何ら問題はない」。
現段階は、水素ガスと水素水は、医薬品としても健康食品としても公に承認されていないので、水素商品の販売者が効果効能を標榜する、または示唆して販売することはできない。
私が水素の効果を肯定するのは科学的真実の議論であり、販売者は水素の効果を標榜して販売してはならないというのは、社会的運用のルールを遵守すべきであるという当たり前のことである。
近い将来には、水素ガスと水素ガス発生器は、医薬品と医療器具として承認され治療に貢献する、水素水は機能性表示食品として、疾病のリスク軽減に貢献する、という道筋が望ましいのではないかと考えている。

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腸内細菌が発生する水素よりも水素水を飲む方が効果的(2016.6.20)
水素水を飲む効果について、様々な観点から議論がされています。その中で、水素水として摂取できる水素の量よりも、腸内細菌が発生する水素量の方が多いのだから、水素水を飲んでも効果は期待できないのではないかという疑問が出されています。もちろん、水素医学の研究を始めたときから着目した問題点であり、水素医学の研究者は、この点についても検討を重ねています。

まず、水素水を飲むと水素は胃に入ります。胃からはグレリンというホルモンが分泌され、脳神経保護に働くことが知られています。水素水を飲むと、胃の水素濃度が高くなり、胃からグレリンが分泌されることが発見されました。このグレリンは血流にのって脳へ到達し、脳を護るということになります。この場合は、腸内細菌から発生される水素はあまり関係ないと考えられます。
この研究は、千葉大学・九州大学の共同研究で、Nature出版社から論文が発表され、九州大学からプレスリリースされています。このプレスリリースでは、「腸管内での細菌由来の産生を増大させても効果がないというこれまでの報告にも矛盾しない結果が得られました」と述べられています。
http://www.phar.kyushu-u.ac.jp/bbs/view1.php?S_Publ_Year=&word=&page=&B_Code=184
http://www.nature.com/srep/2013/131120/srep03273/full/srep03273.html

もう一つの重要な研究は名古屋大学で行われました。論文のタイトルは、「 Drinking hydrogen water and intermittent hydrogen gas exposure, but not lactulose or continuous hydrogen gas exposure, prevent 6-hydorxydopamine-induced Parkinson’s disease in rats」(水素水の飲用と断続した水素ガスの吸入はラットのパーキンソン病を抑制するが、lactuloseや継続した水素ガスの吸入では効果がない)です。
lactuloseは、私たちの消化酵素では分解できない糖で、分解されずに大腸へ到達しますので、腸内細菌の「餌」になります。そのため、lactuloseを飲むと腸内細菌が増殖し、この腸内細菌が水素を発生させます。この研究では、ラットだけでなく、28人の健常人と37人のパーキンソン病患者に対する水素水と腸内細菌の水素も調べています。
この研究では、体内の全体の水素量よりも、水素濃度の変化が大切だと結論しています。そのため、水素水の飲用は腸内細菌から発生する水素よりも効果的なのです。

また、腸内細菌を遺伝子操作で水素をつくれないようにして、腸内細菌から発生させる水素と飲用した水素の効果を調べた研究があります。腸内細菌から発せられる水素は炎症を抑制する効果が確かにありました。しかし、水素水を飲ませた方が、炎症を抑制する効果は強かったのです。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X09011619
このように腸内細菌が発生する水素にも効果がありますが、水素水を飲んだ方が効果的である事が証明されているのです。

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動物実験では、プラセボ効果と確証バイアスはありません。(2016.6.20)
水素水の効果は、「気のせい」ではないかという議論があります。人間は、「よいものだ」と思うと何でもないものでは、実際に効果がでてくることがあり、病気も治ってしまうことさえあるのです。「水素水がいいですよ」と言われて飲んでみると、水素が全く入っていなくても気のせいでよくなることもあり得るのです。プラセボは、偽薬のことです。また、自分だけでなく多くの人がいいと言うと、互いによいと確信してしまうこともあります。
プラセボ効果や確証バイアスではないことを示すには、二重盲検試験を行います。二重盲検は、患者さんも医師も家族も、本物の水素水か、水素がはいっていない水かを知らないようにして効果を調べるのです。水素水の臨床試験では、二重盲検試験はまだ半数くらいですが、着実に進んでいます。
水素医学に関する臨床論文の発表:こんなに進んでいる臨床試験」をご覧下さい。
ところで、プラセボ効果や確証バイアス効果ではないことを証明するのに動物実験があります。一般には、動物実験から二重盲検でない臨床試験、二重盲検試験へと進むのですが、逆の事もあります。
最近の抗加齢医学会では、おもしろい研究発表がありました。
高血圧の患者さんの何人かから「水素水を飲んでいると血圧が下がった」と医師が言われたそうです。「気のせいではないか?」「プラセボ効果ではないか?」と思ったのですが、何人も言うので「では、動物実験で調べてみよう」と、高血圧マウスを作り出し、水素ガスを吸わせたというのです。すると、確かに高血圧マウスの血圧が下がったのです。この動物実験から「高血圧の患者さんの血圧が水素水で下がったのは、プラセボ効果ではない」と結論しました。
動物には「気のせい」ということがないので、確実な結果が出せるのです。一般に、プラセボ効果や確証バイアスが問題になるのは、動物実験などの基礎実験がなく、ただ単に「食べてみよう、飲ませてみよう」という研究なのです。水素医学の研究は、しっかりした基礎研究を基盤にして臨床試験にはいっています。水素の効果については、プラセボ効果や確証バイアスのことは、あまり問題にする必要はないと、基礎研究者の立場からは思っています。

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食品が医薬品よりも効果効能があったら、どうなる?:食薬区分の話(2016.6.16)
現在の日本のシステムでは、病人と健康人に区分されています。健康人というよりも、正確には、「疾病に羅患していない人」(機能性表示における定義)です。そうすると、疲労困憊の人も健康な人ですし、ストレスを抱えた人も、便秘がちの人も健康な人ですし、肌荒れの人も健康な人となります。また、二日酔いでは健康な状態とは言えないけれど、健康人です。また、糖尿病予備軍(境界型糖尿病)や軽度認知障害(軽度認知症)、メタボ(メタボリック症候群)、高血圧前状態の人は、健康な人に分類されたり、病人として医師が対応したりします。
病気の人に対しては医師が、効果効能が明確に認められた医薬品を使って治療することになります。一方、健康人の不調に対しては個人の判断で食品、運動や休息で対応することになります。最近は、特保(特定保健用食品)や機能性表示食品という分類ができてきて、効果効能は言えないけれど、それなりの示唆することが言えることになりました。これを薬食区分といいます。この区分では、食品は医薬品よりも効果効能がないことが前提となっています。現在の水素(H2)の位置づけは、医薬品でも健康食品でもなく食品の範疇です。
しかし、現在までの動物実験の結果や臨床試験のパイロット研究、私が知っている未発表の研究結果から判断すると、水素は、水素ガス、水素水、水素点滴液は、従来の医薬品よりも効果効能が顕著であると思わざるをえないのです。
薬食区分では、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質」という区分もあります。しかし、同時に「一般人の間に存在する医薬品及び食品に対する概念を崩壊させ、医薬品の正しい使用が損われ、ひいては、医薬品に対する不信感を生じさせる」という懸念も表明されています。
某新聞社のonlineニュースには、「太田氏は『健康食品としての水素水』の議論に『病人の治療に有効』という主張を持ち込むという誤りを犯した。」と私を非難する記事がでています。私はこのようなことを主張しているわけではないと思っていますが、非常に興味深い内容です。というのは、食品である水素水が病人の治療に有効という科学的なエビデンスが未発表データではすでに手元にありますし、さらに出てくるだろうと予測しているからです。
ついでに言えば、効果効能がいくら顕著であっても医薬品として認可されるわけではありません。製薬会社が巨額の費用を負担して申請しない限り医薬品(保険薬)として認可される訳ではないのです。水素は独占できないのですから、製薬会社が医薬品として開発する見込みはほとんどありません。
水素という食品の範疇のものが、病人の治療に有効であるということが科学的に証明されたとき、つまり現在の区分や前提を覆したとき、どのようなことが生じるか早めに対応を考えなければならないな、と真剣に考えているこの頃です。

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水素の安全性は決着済!(2016.6.16)
水素(H2)の安全性については、1995年に厚生労働省が、水素を安全な既存食品添加物として承認しています。当時は192番でしたが、現在は168番です。つまり、20年間で、一度承認された192品目で24品目が安全性の問題で脱落していますが、水素はちゃんと残っています。厚生労働省は、食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで、使用を認めています。水素に関しては、とくに成分の規格や、使用の基準を定められていません。
また、米国のFDA(食品医薬品局)でもGRAS(generally recognized as safe=一般に安全と認識される)として承認しています。また、水素はガスとして体外にでますので、過剰摂取はできません。安全性の問題は決着済です。
水素研究は伸び代(のびしろ)が大きい発展途上の研究ですが、すべてが発展途上というわけではなく、安全性については決着済です。さらに、病気のモデル動物の治療効果と予防効果についても決着済と言ってもいいと思います。また、臨床試験のパイロット研究では、動物実験の結果をよく再現しています。これからの臨床試験の結果が次々と発表されます。大変楽しみです。

風邪をひく前に風邪薬を飲む人はいない?:対症療法と原因治療(2016.6.16)
「風邪をひく前に風邪薬を飲む人はいない」と言っている人がいます。たしかに、熱が出る前に解熱薬は飲みませんし、咳が出る前に咳止め薬は飲みません。これらの薬はとりあえずの症状を鎮めるので症状が出る前には飲まないのが当然です。これは対症療法だからです。つまり、一般的に対症療法では、病気になる前に、でるかもしれない症状に対応する薬を飲むことは普通ありません。別の言い方をするなら、対症療法では予防効果は期待できないということになります。
ところが、インフルエンザの薬としてオセルタミビルリン酸塩(製品名タミフル)が登場しました。これは、原因となるインフルエンザウイルスの増殖を抑制する薬です。これは、原因療法の薬です。この薬は、インフルエンザの治療薬に認可されているだけでなく、インフルエンザの予防としても処方可能です。つまり、風邪をひく前に風邪薬を飲むということです。
対症療法薬には予防効果はない。しかし原因療法の薬は治療効果だけでなく、予防効果も期待できるということです。私が目指している水素医学は病気の治療とともに病気の予防を目的としています。今日本の医療費を抑えるためには、予防がなりより大切です。多くの病気の予防に水素が使えるようになったら、すばらしい事です。また、救急医療では水素ガスの吸引、慢性疾患の予防には水素水の飲用と使い分けることが有効であると考えています。

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「体験談による部分が多い」ではなく、「体験談の部分もある」(2016.6.7)
最近、水素水の話題がマスコミでとりあげられる頻度が高くなりました。先週も週刊誌から取材をうけ、取材をうけた後に原稿を事前に見せてほしいと言うと、時間的に間に合わないので事前の原稿checkなしと言われてしまいました。事前に原稿を見せてくれないなら取材に応じないというのが私の基本スタンスですが、今回はうっかりしてしまいました。
その結果、今回の週刊誌の記事(6月6日発売)では、私の取材の話で誤解が生じたところがいくつかありました。

著書の『水素水とサビない身体』(小学館)には、シミやシワにも効果があると書いてありますが?
「ありますよ。ただ、これらはヒトに対して効果があったと書いているわけではなくて・・・。出版社が(勝手に)やったことです。」(168ページ)

この部分は、誤解が大きいです。実際には書籍には以下のように前書きされて、別の方がレポートされています。
「化粧品については、さすがに私はまったく知識がないので、ノンフィクションライターの方(書籍では実名)が取材した次の文章を紹介します。」(水素水とサビない身体23ページ)
そして、『水素水とサビない身体』では、そのレポートとして延べ3万人以上のエステの結果をまとめて紹介しています。もちろん、エステですから、ヒトに対する効果のレポートです。この3万人の結果は学術論文ではなく、体験談のひとつかもしれませんが、考慮にいれるべき結果だと思っています。
「実態として、『水素水の効能』とは、まだ個人の体験談による部分が多い—それが水素水の生みの親の証言だった」と例の週刊誌には書かれていますが(同168ページ)、私の真意は、『体験談による部分もある』ということです。
「体験談やいろいろな人から話を聞いて、これはひっくり返らないだろうと信じています。」と週刊誌には書かれていますが、私は研究者ですから、体験談ではなく、学術的な研究成果を基に「ひっくり返らない」と確信しています。
私が話をするときには、学術的な結果なのか、論文として発表された結果なのか、聞いた話なのかを区別するようにしているつもりですが、なかなか伝えるのが難しいです。
細かいことを言えば、「水素に関して言えば、論文発表から9年目で、基礎研究から動物実験の段階を経て、臨床試験を行っている。」は、9年目ではじめて臨床試験をはじめたわけではなく、「9年目くらいで大規模臨床試験がはじまった」という意味です。

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正しい水素医学と水素産業の理解ためにーーあの産經新聞の記事には、明らかな誤認がある!-この反論記事は5月24日の産経ニュースに掲載されたのでそれをこのブログにも載せます。(2016.5.25)

5月14日、Yahooニュースに産經新聞の記事が掲載された。
タイトルは、「話題の『水素水』 かつてブームを巻き起こした「あの水」と同じだった…」。私の名前も引き合いにだされており、あまりに誤認に基づく記事であり、看過できないと思ったので、産經新聞と連絡をとった。すると、「反論記事を書いてほしい。そのまま掲載する」との返事をいただいた。そこで、下記のような寄稿をさせていただくことにした。

1. 何が問題なのか?
最初にこの記事の問題点を整理して列挙する。
(a)水素水と活性水素水(電解還元水)は、全く別物であるにもかかわらず、混同している。しかも、正統的な科学をニセ科学と誤認している。
(b)根拠に基づかない水素水に対するコメントを掲載している。
(c)マスメディアとして、してはならない十把一絡げの論理展開をしている。

2. 水素水と活性水素は別物
まず、水素水と活性水素を混同して、水素水をニセ科学としている誤認がある。明治大学情報コミュニケーション学部の石川教授のサイトを引き合いに出して、「水素水(活性水素水、電解還元水)に一般に言われるような美容や健康への効果があるかを評定。『疑似科学である』と結論付け、運営するサイト「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」に1月、公表した。疑似科学は「ニセ科学」とも呼ばれ、科学的表現で科学を装っているが、とても科学とは呼べないものを指す。」としている。
しかし、石川教授のサイトでは、活性水素水(電解還元水)のみを対象としており、水素水を一切対象にしていない。さらに、質問コーナーでは下記のように活性水素水と水素水が別物である事を明記している。
>> 「話題の「水素水」 かつてブームを巻き起こした「あの水」と同じだった…」という記事に対しては、「水素水」および「活性水素水」については情報が混同しあっており、不明瞭な部分が多々あります。ただ、現在は「水素水」と「活性水素水」は”別物”と考えるのが妥当かと……。」「『水素水』と『活性水素水』は全く別物ですね。評定内で混同させるような記述はなかったと思いますが、「明確に」ということをもう少し強調する必要があるかもしれません。」<<
つまり、産経新聞の記事では、水素水(活性水素水、電解還元水)と書かれており、水素水と活性水素水が同一であると記載されているが、ひきあいにだされた石川教授のサイトでは、活性水素水と水素水は別物であると明記している。産經新聞の記事では別物にもかかわらず同一物と誤認しており、これが混乱を導き、誤報となった原因である。
しかし、産經新聞の記者だけでなく、国民生活センターのプレスリリースでも、活性水素と分子状水素の混同と誤認があるので、この記事を書いた記者だけを責めるだけでは、問題の解決にならない。これから、活性水素と分子状水素は別物であることを、もっと啓発していく必要がありそうだ。
活性水素は原子状水素(H)で、水素水は分子状水素(H2)が溶けた水である。HとH2は、同じHでも全くの別物である。この点は、後に解説する。
「活性水素水は、ニセ科学である。」という結論については私も異論はない。一方、分子状水素の医学的研究は、着々と正統的科学のプロセスを踏みながら進んでいる。

3. 根拠に基づかないコメント
「『高濃度の水素といっているが、それでも水素濃度が低過ぎる。飲んだ水素は胃の中で消えてしまうだろう。仮に、水素が血流に乗って体の組織に到達したとして、それがどのような作用を発揮して疾病治療につながるかの説明がない』とし、『水素には何かの効果があるかもしれない。しかし、市販の水素水に効果があるかと言われれば、ゼロだろう』と手厳しい。」というコメントを掲載している。
「濃度が低すぎる」というのは何をもって低すぎると言っているのか根拠がなく、「どのような作用かの説明がない」というのは、そのコメントした方が知らないだけだと推察する。もし、知っていたらこのようなコメントはでないはずだ。
なお、多くの臨床研究では市販品の水素水や水素発生装置が使用されており、有意な結果をだしており、「市販の水素水に効果があるかと言われれば、ゼロだろう」というコメントは明らかに間違いである。
ただし、分子状水素(H2)がほ乳類細胞で何ら効果を発揮しえないというのは、私たちが論文を発表した2007年以前では常識であり、その古い常識に基づけば、「水素水には効果があるはずはない。」ということになる。10年前の常識だけで話をしては、科学の発展と進歩はない。別の言い方をすれば、このような長年の常識を覆した研究をしたのであり、未来における研究成果の恩恵は計り知れないと自負している。

4. 十把一絡げの議論
「最もよく見かける水素水は、水素ガスが溶け込んだ水のこと。」「水素水の中には、水を電気分解するのでなく、濃度の高い水素水を水に溶け込ませるタイプもある(ママ)。」と記載し、電気分解によらずに水素を溶解する商品もあることを記している。それならば、「話題の『水素水』 かつてブームを巻き起こした『あの水』と同じだった…」を、「話題の『水素水』の一部は、『あの水』と同じだった」と書かなくてはならない(アンダーラインは太田による)。
水素水は、分子状水素が溶けた水なのだから、電気分解をしたかどうかは関係ない。分子状水素は、水の中でpHを変化させることはなく、イオン化もしない。水素水の多くはアルカリイオン水(電解還元水)というのは明らかな誤認である。
確かに、以前アルカリイオン水製造機として販売していたのをそのまま「水素水製造装置」として名前を変えて販売している会社が少なくとも2社あることは私も知っている。しかし、「今話題の水素水の多くは、電解還元水のことで、かつてアルカリイオン水と呼ばれたもの」と書いてはならないだろう(アンダーラインは太田による)。
例え話として適切かどうかわからないが、「某大学生がわいせつ罪で逮捕された」という報道が最近あったが、多くの大学生がわいせつ行為を行っているかと言えば、そうではない。マスメディアとしては、基本的に使ってはならない論理である。ある小学校の児童の一人が万引きをしたからといって、「その小学校の児童は万引きしている」と書いてはならないことは、マスメディアに携わる記者としては常識だろう。

5.活性水素と分子状水素の違い
活性水素(H)と分子状水素(H2)は、同じ水素なのだから同じような物だと思う人もいるかもしれない。しかし、物質は、ほんの少しの違いでも性質が全くことなることが多い。
例えば、鉄(Fe)を例にとれば、Feはいわゆる金属の鉄である。Fe+は通常の条件下では存在しえないし、Fe2+は黒く、Fe3+は赤い。このように同じ鉄でも、電子をひとつ持つか持たないかで性質が全く異なる。備長炭とダイヤモンドは、同じ炭素(C)であっても性質が全く異なる。
水素でいえば、水素ガスはH2である。最近開発された水素自動車のエネルギー源はH2であり、ロケットのエネルギー源として使われている液体水素もH2である。H2濃度をキチンと測定することも可能である。一方、H(活性水素)は、極めて特殊な状況でしか存在しえず、当然のことながら生体内では存在しえない。私は、その測定法を知らない。また、H+(水素イオン)は酸性の素であり、H2は水に溶けてもイオン化しない。
H2は水に溶けないという人もいるが、1気圧下では、水1リットルに1.6mgのH2が溶けることがわかっている。H2はこの80分の1の濃度で細胞に抗酸化効果を発揮したり、遺伝子発現を制御したりすることがわかっているので、水素水を飲んで何らかの効果がでるのは、別に不思議な事ではない。

6.水素医学の展開
2007年に私たちがNature Medicineに分子状水素が生体内で有害な活性酸素を除去し、水素ガスを吸う事で脳梗塞ラットを保護することを示した。その後、モデル動物に水素水を飲ませた効果も示し、現在は世界中から400報くらいの水素医学関連論文がでている。400報の論文がでているというと、少なくとも400の新しい発見があるということ意味しており、様々なことがあらゆる視点から検証されてきたことが理解できるだろう。
最初は培養細胞を用いて研究され、次に動物実験、小規模臨床試験と進み、現在は人を対象とした研究論文が20報程度報告されている。少人数でも統計的に有意な効果が示されているので、水素は大きな効果を発揮することが明らかにされている。このように動物実験で認められた水素の効果は人に対しても再現されることが示されている。現在は50人-200人を対象とする臨床試験が進められているので、近い将来、さらに明確になるだろう。研究は、水素ガスの吸引効果だけでなく、水素水の引用、水素溶液点滴など様々なH2の投与方法にて検証されている。
さらに、水素の効果を確信した医師たちは自らの責任で自由診療として水素を様々な治療に応用している。研究段階とはいえ、すでに一部は応用段階へ進んでいると言える。副作用が見られないというのが大きな理由だろう。
従来の常識とは異なり、多くの症状に対して水素の効果がでているのが特徴である。従来の概念では医薬品、特保や機能性表示食品が示す効果は対症療法的効果を意味する。水素のように多くの症状を緩和することは、現在の制度には当てはまらないことになる。対処療法ではなく、根本原因に作用するのが水素である。
メカニズムとしては、水素は体内の遺伝子発現を制御し、様々な機能が発揮されることがわかってきており、その最初の段階はフリーラジカル連鎖反応への水素の介入である事がわかってきている。基本的原理は理解できたと思うが、まだまだ研究の余地は残されている。未解決の問題はたくさん残されているが、それをいつまでも「わからない。わかっていない。」とだけ言い続けるのは、生産的ではないだろうし、正しい理解とは言えない。

7.私と産業との関わり
研究がいくら進んだといっても、産業化しないことには、研究成果の恩恵を人類へ及ぼす事はできない。私としても、できる範囲で適切な産業の育成にも力を注ぎたいと考えている。私の原稿の公平性を担保するために、私の経済的利益関連にも言及するようにとの産經新聞から依頼があった。
私の次男は、水素健康医学ラボ株式会社の代表取締役であり、水素発生素材を使った化粧品などの開発と販売を行っている。安全・安心な水素発生素材として唯一化粧品素材として承認・登録された素材を使っており、Auterというブランド名を名乗っている。さらに、水素医学の健全な発展のために企業へのコンサルタントを行い、医学研究のために大学や病院へ援助をし、難病患者への支援も行っている。執筆した書籍は水素入門書として定評がある。次に、株式会社機能性医学研究所とは「水の素」という名の水素発生サプリメントを共同開発している。これは、共同開発を私から依頼したため、私の名前を使用することを許諾した唯一の商品である。ただし、この2社への私の関与は無償で行っている。特許に関しては、「水素ガスによる虚血再灌流障害の軽減効果」という用途特許の権利者であり、医療器具会社へライセンスをしている。

8.最後に
先日のフジテレビの情報番組「直撃Liveグッディ!」の調査によると水素水を飲んだ事がある人は約50%だそうだ。驚くべき数字である。この番組でも取り上げたが、インチキ商品がかなり存在する。水素水と自称するインチキ商品が存在することと、水素水自体がインチキであることは全く別問題である。
正しい知識に基づき、正しい情報を発信する。これが、科学の発展にもつながるし、科学の成果の恩恵を人類が享受できることになる。知らないのに知ったかぶりして、間違った情報を発信するのは科学的でない。ましてや、正統的な科学とニセ科学を混同しては、正統的な科学の恩恵を人類が受ける機会を逃してしまうことになりかねない。
私の個人的なブログ「太田成男のちょっと一言」もあわせて読んでいただければ幸甚である。
最後に、産經新聞の記事に対する反論記事を掲載していただいた産經新聞に感謝する。

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水道水にも水素がはいっている?(2016.5.20)
昨日(5月18日)のフジテレビの情報番組直撃Liveグッディ!で、水素水を紹介するコーナーがありました。全体的には、きちんと取材や測定をするなど好感の持てる番組でした。
なかでも、水素が入っていない「水素水」を紹介していました。そこで、水素が入っていないインチキ水素水を取り締まれない理由として、「水道水やミネラルウォーターにもごく微量の水素が入っている」からとの紹介がありました。しかも、パネルに記載してあったので、印象に残るインパクトがあったと思います。
「ごく微量」というと視聴者は、どういうイメージを浮かべるでしょうか?ごく微量と言うと100分の1-1000分の1くらいと視聴者は想像するのではないでしょうか?実際は、水道水やミネラルウォーターに入っている水素の量は、市販の水素水の100万分の1から200万分の1くらいです。100万分の1しか入っていないのを「ごく微量入っている」という表現は、誤解を招くというより、まちがった情報と言ってもいいと思います。
角砂糖を10個、プールに投げ入れたら、そのプールの水を砂糖水と言ってよいのでしょうか?
「水道水やミネラルウォーターにもごく微量の水素が入っている」という表現は、インチキ商品を販売している詐欺師の言い分です。また、消費者庁が取り締まりを手抜きするための口実です。実は、消費者庁の担当官も私のところへ何度か訪ねてきたことがあります。当時「インチキ商品はわかっているけど、製造社は『もと水素がはいっていた水を水素水という』『極わずかには水素が入っている』とか強弁するので、なかなか取り締まれない」とぼやいていました。水素が入っていない商品に高いお金を払うことは消費者にとってたいへん迷惑な話なので、そんな屁理屈に臆する事なく取り締まってほしいものです。

追記:フジテレビ「直撃LIVEグッディ!」のHPに水道水の水素濃度について、正確な情報が加えられていました。担当者の真摯な態度に敬意を表し、番組のますますのご発展を祈念いたします。
http://blog.fujitv.co.jp/goody_corner/E20160518001.htm
活性水素水と水素水は別物です。(2016.5.20)
昨日(5月19日)のYahooニュースに
「過熱する「水素水」ビジネス うっかりニセ科学にだまされないために」という記事が掲載されていました。

困った事に誤認に基づく記事です。
まず、活性水素水と水素水を混同しています。活性水素は、原子状水素(H)で、水素水は分子状水素(H2)が溶けた水です。HとH2は、同じHでも全くの別物です。マスメディアに情報を発信される方としては、この程度の区別がチキンと出来ないのでは、恥ずかしいです。
活性水素水がニセ科学であることは、私も同意します。一方、水素水は正統的な科学のプロセスをキチンと踏んでいます。正統的な科学をニセ科学と混同させることは、科学の進歩の阻害要因になり、人類が科学の成果の恩恵を受ける事を阻害します。
この活性水素水について、明治大学の石川教授を引き合いに出していますが、石川教授のサイトをみると、以下のように、明確に活性水素水と水素水が別物である事を明記しています。

「話題の「水素水」 かつてブームを巻き起こした「あの水」と同じだった…」という記事に対しては、
「水素水」および「活性水素水」については情報が混同しあっており、不明瞭な部分が多々あります。ただ、現在は「水素水」と「活性水素水」は”別物”と考えるのが妥当かと……。と書かれていますし、
「水素水」と「活性水素水」は全く別物ですね。評定内で混同させるような記述はなかったと思いますが、「明確に」ということをもう少し強調する必要があるかもしれません。
(http://www.sciencecomlabo.jp/health_goods/active-hydrogen-water.html)

もうひとつは、「水素水の『宣伝』はニセ科学」という議論です。宣伝行為は商業活動で科学の範疇とは違いますので、宣伝に対しニセ科学とこじつけるのは、言葉の使い方としては違和感を感じます。
食品についての宣伝に対しては、医機法(旧薬事法)によっては規制されていますし、ひどい宣伝をした場合には逮捕されることもあります。もし、過剰な宣伝があった場合には、その事業者へ対し、行政側からすぐに指導されると聞いています。宣伝に記載された具体的な内容を科学的に吟味しないで、印象だけで決めつけるのは、科学的な態度ではありません。とくに、すでに論文として発表されている公表された結果を知らないだけで「ない」と決めつけるのは科学者の態度ではありません。事実に基づいて具体的に議論するというのが科学的な態度です。なんとなく印象で「悪いやつだ」みたいな情報を発信するのは、問題があります。
もちろん、活性水素やマイナス水素イオン、水素が入っていない水素水と称する商品が存在することは、私も十分承知しており、これらは問題のある商品であると私も警鐘をならしています。

事実に基づいて正しい議論をし、情報を発信する。これが大切なことではないでしょうか?

なお、活性水素水と水素水が混同される事が多くなってきたので、このブログの表紙の注意項目に、活性水素を上位に挙げることにしました。

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炭酸ガスは胃から体に取り込まれないのに、水素は取り込まれるのは何故?(2016.4.30)
水素水の効果を疑問視する根拠として、炭酸ガス(二酸化炭素)との比較を挙げる人がいます。
「水素よりはるかに大量に含まれている二酸化炭素ですら、胃腸からの吸収はわずかで体にほとんど影響しない」というものです。確かに、コーラやサイダーなどの炭酸ガスを多量に含まれる炭酸水を飲んでも、血液中に炭酸ガスが入って行く事はありません。水素水を飲んだ場合には、水素はちゃんと体内に取り込まれるのですから、どこがちがうのかという問題です。
二酸化炭素は、水に溶けると炭酸イオンになってしまいます。イオン化した物質は、胃の生体膜を通過できないので、胃から体内には取り込まれません。一方、H2はイオン化することはなく、専門用語でいうと極性もないので、どの生体膜も自由に通過できます。
また、CO2のイオン化していない状態でも分子量が大きいので、生体膜を通過しにくいのです。自然としみ込んでいくようなことを「拡散」といいます。拡散速度は、分子量の2乗に比例するので、水素の分子量は2、二酸化炭素は44ですから、22×22=484倍も遅いということになります。
つまり、H2とCO2を比べたら、はるかにH2の方が細胞内にはいります。もちろん、水素水を飲んだ後に、体内に吸収されることはモニターしており、科学的に実測されています。また、水素風呂の入浴では、皮膚から水素が通過し、7分間で飽和します。

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生体内での水素の効果は「説明できない」という人へ(2016.4.30)
水素(H2)が人の細胞内で様々な効果を発揮することは、私にとっても「too good!」で良すぎるがための長年の悩みの種でした。水素が酸化力の強いフリーラジカルを除去するだけでは、説明が出来ないことがたくさんあることがわかってきたからです。実は、水素は遺伝子発現を調節することもやってくれるのです。この遺伝子の調節は、電灯でしたら、スイッチをON/OFFするだけでなく、光の明るさも調節できるとの同じです。そのため、水素の効果は長い時間持続し、微妙な作用を発揮しながら多様な働きをしてくれるのです。ON/OFFのような極端な作用では副作用が生じてしまいます。
しかし、水素自身は、遺伝子発現調節機構を変化させることはできないので、水素が遺伝子発現を調節する場合には、間接的な作用になるはずです。では、水素が直接作用する場所はどこか?このメカニズムのアイデアを発想するまでに、5年、実際に証明して発表するまでに3年半かかりました。メカニズムを思いついたのが、2012年の年末でした。
ウィキペディア英語版の「水素分子は標準的な状況では非常に活性があるというわけではない」、日本語版でも「しかし何かしらの外部要因があればその限りではなく、・・・・」のですから、標準的な状況ではないところに作用すると考えればよいわけです。標準的な状況とは人体では健康な状態と考えれば、何か悪いとことがある状態で何らかの作用を発揮すると考えればよいのです。実際の論文は専門的なので、「悪いところ=活性酸素が発生しているところ」と単純に考えることにします。結論では、生体内でヒドロキシルラジカルなどによって発生したフリーラジカル連鎖反応に水素が介入して変化を生じさせる。その変化によって生じた物質が遺伝子発現調節をするというものです。
水素は不活性ガスで酸素が共存しても(触媒がないと)反応しませんが、585度C以上では燃焼や爆発します。水素は普通の状態では、おとなしいけれど、高温では激しく反応する。生体内でも、健康な場所では何もしないけれど、「悪いところ=活性酸素の害が生じたところ」では、水素は様々な反応に介入すると考えればいいと思います。私が発表したメカニズムの関する論文を今年になって2報発表しましたが、共通のメカニズムは、「水素は悪いところ(=フリーラジカル連鎖反応が生じたところ)に作用する」です。
http://www.nature.com/articles/srep18971
http://www.nature.com/articles/npjamd20168

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生体内での水素の効果は「考えられない」という人へ(2016.4.30)
水素水の人体への効果について「考えにくい」「説明できない」という方たちがいます。たしかに2007年以前は「水素(H2)は不活性ガス(反応性に乏しいガス)」というのが科学の世界では常識でした。この常識からすると、水素(H2)は人体内で反応しないのですから、何ら効果を発揮するとは考えられなかったのです。つまり、2007年以前は、「水素は人体で何ら効果を発揮しない」というのが常識でした。
2007年に私たちがNature Medicineに発表した論文は、従来の常識を覆すものでした。常識を覆す内容は、すぐには受け入れないことが多いのも確かでしょう。しかし、その後、沢山の論文がでても依然として「人体内での水素の効果は考えられないという人」は、失礼ながら勉強不足の人か、古い常識を変えられない頭の固い人だというのが私の印象です。
水素分子の性質について、古い常識(2007年以前)では反応性がないということになっていました。ウィキペディア(日本語版)では、このように記載されています。
「水素分子は常温で安定であり、フッ素以外とは反応を起こさない。しかし何かしらの外部要因があればその限りではなく、例えば光がある状態では塩素と激しい反応を起こす。」
しかし、英語版でのHydrogenについてのWikipediaの記載は以下のようです。
While H2 is not very reactive under standard conditions, it does form compounds with most elements. Hydrogen can form compounds with elements that are more electronegative, such as halogens (e.g., F, Cl, Br, I), or oxygen; in these compounds hydrogen takes on a partial positive charge.
訳:水素分子は標準的な状況では非常に活性があるというわけではないが、ほとんどの元素と確かに化合物を作る。
日本語版と英語版では少しニュアンスが違いますが、英語版の「水素分子は標準的な状況では非常に活性があるというわけではない」が正確な言い回しです。また、「非常に活性があるというわけではない」というのは、生体内で余計な反応を起こさないことを意味しますので、安全であると考えられます。

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「分子状水素が遺伝子発現を制御するメカニズムの解明」の論文第2弾発表(2016.4.30)
分子状水素が様々な効果を効率よく発揮する理由として、様々な遺伝子発現調節することがわかってきましたが、そのメカニズムは未解決でした。今年の1月にNature出版社のOnline JournalのScientific Reportsにメカニズム解明第1弾として論文を発表しました。
www.nature.com/articles/srep18971(本論文はクリックすれば誰でも無料で読む事ができます)
今回(4月28日)にNature出版社のOnline Journalのnpj Aging and Mechanisms of Diseaseに分子状水素が脂質代謝の関与する遺伝子発現を亢進するメカニズムの解明に関する論文を発表しました。
http://www.nature.com/articles/npjamd20168(本論文は誰でもクリックすれば無料で読む事ができます)
論文のタイトルは
Molecular hydrogen stimulates the gene expression of transcriptional coactivator PGC-1α to enhance fatty acid metabolism
水素の効果について、「考えられない」とか「説明できない」という方々は是非読んでください。
これで、私がNature出版社から出した水素関連論文は、5報となりました。

世界一受けたい授業(3月5日)の私が関与していない内容への訂正掲載(2016.3.24)
前にもブログで大人げなく不満を漏らしてしまいましたが、私が全く関与していないところで、明らかな間違いの内容が放映されてしまいました。この訂正は、 http://www.ntv.co.jp/sekaju/onair/160305/01.htmlに掲載されました。こんな間違いの内容を私の授業として放映されてしまったのですから、私の研究者生命と名誉にかかわります。
ただし、責任者3名が2度にわたって真摯な態度で謝罪と説明にきたのですから、このような事は例外的で頻繁におきていることはない証だと思いました。
なお、その他の内容についても説明がありましたが、納得できる説明はありませんでした。

訂正内容は以下のようです。
 http://www.ntv.co.jp/sekaju/onair/160305/01.html
ミトコンドリアを増やすメニューについて
従来製法の「ひじき」「切り干し大根」、及び「のり」は、ミトコンドリアを増やすのに必要な成分である鉄分を多く含む食材で、番組側で(注:太田教授が関与していないところで)調べて紹介しました。これらは、同じくミトコンドリアを増やすのに必要と紹介した栄養素ALA(アミノレブリン酸)を多く含む食材ではありません。放送では誤解を招く表現になっていたことをお詫びいたします。(※「納豆」にはALAが多く含まれます。)
なお、画像の「昔ながらの朝食」は、ALAや鉄分を多く含む食材が並んだ食卓の一例として紹介したもので、白米や鮭はALAや鉄分を多く含んでいるわけではありません。

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「効果がある」のに「効果がない?」(2016.3.12)
水素水の注目度が高まるにつれ、様々な議論がされるようになっています。その中で水素水には「効果(あるいは効果・効能)」があるのか、ないのかという議論があります。水素の研究を私たちがはじめたのは、2005年1月ですから、11年たち、最初の論文が発表されて9年です。現在、基礎医学の学術論文が400報、臨床試験の論文が20報も発表され、これからも次々と論文が発表されます。現状は、例外的に速いスピードで研究が進展していると言えます。
このように異例のスピードで、水素に関する研究が進むのは、科学的根拠に基づいて「水素にはすごい効果効能がある」と研究者が思うからに他なりません。人を対象とする臨床試験の場合は、多大な労力とお金がかかりますので、よほどの確信がないと臨床試験をはじめることはありません。また、医師として効果について確信がないのに患者さんの協力を求めることは、まずありません。
しかし、非常に早いスピードで研究が進められても、水素が医薬品として認可される段階には至っていません。また、水素水などの食品としても、特定保健用食品や機能性表示食品には指定されていません。私としては、水素を医薬品として承認され、水素水を機能性食品に指定されるようにと努力しています。
科学的には効果効能が明らかにされても、「効果効能を公的機関で認めるにいたってはいない」という段階になります。また、行政側からは、効果効能があるのは医薬品の範疇ですので、医薬品でないのは効果効能がないということになります。「公的機関で効果効能が認められていない=医薬品ではない=効果効能がない」という図式です。本来は「効果効能がまだ認められていない」のが正しい日本語だと思いますが、このように書くと、効果効能がない例でも効果効能があるのではないかと誤解されかねませんので、効果効能が科学的に明らかにされている場合もふくめ、行政側からは「効果効能がない」と言うのが妥当なのかもしれません。
(私の専門外の内容を含みますので、私に誤解がある場合はご指摘いただければ幸甚です)。

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(独)国民生活センターからの報道発表:正統的な水素水と非科学商品は無関係であり混同してはならない。(2016.3.11)
2016年3月10日に「活性酸素の1種を抑制する水をつくったとうたった装置」について、報道発表がなされました。
正統的な科学に基づく議論と、インチキ商品と混同・誤解することは、科学の進歩を阻害するものです。
「PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)には、水を電気分解して水素を発生させる装置の効果や活性酸素に関する相談が、2010 年度以降、2015年12月末までの5年間あまりに、220件(医療機器を除く)寄せられており、特に 2014年度は前年度までの2 倍近くに増えていました。」そこで、「水の中のヒドロキシラジカルを抑制する水をつくるとうたった商品について、ヒドロキシラジカルを消去する能力(以下、「ヒドロキシラジカル消去能」とします。)等を調べ、消費者に情報提供することとしました。」とのことです。
(1) まず、問題としているラジカルですが、hydroxyl radicalであり、日本語ではヒドロキシルラジカルです。そもそも、ヒドロキシラジカルと書かれており、用語の使い方から間違っていますので、科学的議論がなりたつのか疑問です。
(2) 消費者からの疑問として、(事例3)「活性水素生成器の購入を検討中。3日経ってもヒドロキシラジカル抑制率は変化なしと言うが本当か」(事例4)生成された水素水はペットボトルで 2日程度はもつと勧められた。」が紹介されていましたが、そもそも水素水と活性水素は全く別物です。また、水素(H2)は前にも指摘しているように、ペットボトルからはすり抜けてしまいますので、指摘の商品は水素水を作るものではありません。
(3) 国民生活センターが測定した装置の説明として、「72時間(3日間)保存してもヒドロキシラジカル抑制率はほとんど変わらない」「沸騰しても冷蔵してもヒドロキシラジカルの抑制率を維持する(ほとんど変わらない)」などと書かれています。これは、水素(H2)の性質とは全く違いますので、水素水とは全く別物で無関係です。
(4) そもそも水素水は水素が溶けた水です。砂糖がとけたのが砂糖水。食塩が溶けたのが食塩水。砂糖水が甘いのは水が甘くなったわけではなく、溶けている砂糖が甘いのです。また、食塩水が塩辛いのは水が塩辛くなったのではなく、食塩が塩辛いのです。水素水の場合は、水が変わった訳ではなく、水素の効果です。「水をつくる」という表記自体が、概念的に間違っています。

米国における水素医学の大反響(2016.3.10)
前述したように、1月22日に水素医学の総説が、International Journal of Clinical Medicine のOpen Access Online Journalに掲載されました。338論文を一挙にまとめた力作で、臨床研究もふくめ最近の水素医学の進歩がよくわかります。
http://www.scirp.org/Journal/PaperInformation.aspx?PaperID=62945
現在、論文のdownload数が2708(3月10日現在)で、2015年の論文を含めても、突出したtopです。国別では、米国が61.4%、中国が8.7%、日本が7.1%の順です。このdownload数は、日本、中国、アジアから出発して、米国でも水素への関心が広がっている事を物語っています。

虚偽の宣伝に注意(2016.3.5)
私は、サプリメント「HYDROGEN EX」を、推奨していません。虚偽宣伝です。
Yahooの宣伝広告に、「え、太田教授が推薦する水素水? sis-e.com」というのがあり、そこをクリックすると、「水素水を超えた抗酸化サプリメント HYDROGEN EX」がでてきます。私は、この商品を推奨していません。
「水素水を超えた抗酸化サプリメント HYDROGEN EX」は、マイクロクラスター水素を含んでいると記載されています。このマイクロクラスターは、シリカに水素を吸蔵しているとしていますが、実態はNaBH4(水素化ホウ素ナトリウム)です。消費者の方は、だまされないように注意しましょう。
私は、HYDROGEN EXを推奨するどころか、問題のある商品だと思っています。虚偽宣伝です。

「水の素(水素サプリメント)は、大丈夫、本物です。」
Yahooの宣伝に「水素研究・太田教授の水素サプリ mdfood.jp」がでてきますが、「水の素」についての記載は事実であり、虚偽宣伝ではありません。

水素水サーバー「CoolQoo」は知りません:悪質宣伝に注意。
Yahooの宣伝に「太田教授も驚いた高濃度水素水 | genki-smile.com」世界一受けたい授業で疲れにくいと評判!体内ミトコンドリアを増やす水素水/提携 と記載されています。
水素サーバー「CoolQoo」を私は全く知りません。知らないものを驚くことはできるはずがありません。これも、虚偽宣伝です。

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お詫びです(2016.3.3)
いつもこのページを見ていただきありがとうございます。
本当に多くの方々より、お問合せをいただいており、関心が大きい事を実感しています。
それぞれにご返事をさせていただくようにしておりますが、ネット上のトラブルがあったり、時間的な余裕がとれない時もあったりで、ご返事が遅れることが多くなったり、ご返事を差し上げられない方が出てきたりしてます。
返事がまだきてないという方でどうしても聞きたいという方がいらっしゃいましたら、お手数かけますが再度お問合せをいただけます様お願いします。

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米国を中心とした海外での様子(2016.2.24)
最近、水素医学の総説が、International Journal of Clinical Medicine のOpen Access Online Journalに掲載されました。338論文を一挙にまとめた力作で、臨床研究もふくめ最近の水素医学の進歩がよくわかります。
下記をクリックするだけで、誰でも無料で読む事ができます。
1月22日に発表され、1ヶ月しかたっていないのに、見た人が3,141回、downloadされたのが、1,636回で、他の論文に比べるとdownloadの数は桁が違い多いです。米国で読まれる方が多いようですので、これから水素医学は米国にも浸透しそうです。
水素医学の興味のある人は、是非クリックしたり、downloadしたりしてください。

Clinical Effects of Hydrogen Administration: From Animal and Human Diseases to Exercise Medicine
http://www.scirp.org/Journal/PaperInformation.aspx?PaperID=62945
著者
Garth L. Nicolson1*, Gonzalo Ferreira de Mattos2, Robert Settineri3, Carlos Costa2, Rita Ellithorpe4, Steven Rosenblatt5, James La Valle6, Antonio Jimenez7, Shigeo Ohta8
所属
1Department of Molecular Pathology, The Institute for Molecular Medicine, Huntington Beach, USA.
2Laboratory of Ion Channels, School of Medicine, Universidad de la República, Montevideo, Uruguay.
3Sierra Research, Irvine, USA.
4Tustin Longevity Center, Tustin, USA.
5Saint John’s Health Center, Santa Monica, USA.
6Progressive Medical Center, Orange, USA.
7Hope Cancer Institute, Playas de Tijuana, Mexico.
8Department of Biochemistry and Cell Biology, Graduate School of Medicine, Nippon Medical School, Kawasaki, Japan.

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インチキ商品に注意(2016.2.22)
最近、学会やマスコミで水素水が取り上げられる事が多くなりました。「今ブームになっている話題の水素」と言われる事が多いのですが、同時にインチキ商品も多く出回っていることに驚いています。「水素水を飲んでいます」とか「水素サプリメントを飲んでます」と言われる事が多いのですが、「何を飲んでいますか?」と聞くと、インチキ商品を飲んでいるかたが非常に多いのです。
困った事に、製造会社に問い合わせると、水素がはいっていないにもかかわらず、「当社のは水素がちゃんとはいっています」と答えます。また、有毒物質を使っているにもかかわらず、記載を隠しているところもあるのです。
今までいろいろ測定してきましたが、以下のものはほとんど水素がないか水素が発生しないなど、問題があります。
(1) ペットボトルの商品で水素がちゃんと入っている商品はいままでありません。
(2) フタをあけても、水素が抜けないというのは、水素ではありません。
(3) 沸騰させても水素が抜けないというのは、インチキです。
(4) サンゴカルシウムや牡蠣カルシウムに水素を吸蔵させたと称しているもので、ちゃんと水素を発生したものはありません。
(5) シリカ(二酸化ケイ素)には、水素を吸蔵させる事はできません。
(6) 入浴剤で、窒化ホウ素いりと書かれたものがありますが、窒化ホウ素では水素は発生しません。
(7) 化粧品成分として登録されているものは、MgH2(水素化マグネシウム)だけです。
もし、上記の記載に、製造会社の方で反論があるときは、商品を送ってください。測定します。

本格的な心肺停止患者への水素ガス吸引治験が始まります(2016.2.22)
2月20日の13時のNHKニュースで、本格的な水素ガス吸引治療研究が始まるニュースが流れました。
心筋梗塞などで心停止状態になった患者に水素ガスを吸わせることで、寝たきりになるなどの後遺症を減らそうという臨床研究を慶応大学病院など全国12の医療機関が始めることになりました。臨床研究を始めるのは、慶応大学病院のほか香川大学病院、熊本大学病院など全国12の医療機関です。
国内では毎年13万人が心停止状態になり病院に運ばれていますが、回復しても脳細胞がダメージを受け、寝たきりになったりことばが十分に話せなくなるなどの後遺症が残るケースが少なくありません。水素ガス吸引治療の大切なところは、単に命を救うだけではなく社会復帰させるのが医療の目的とするところです。
臨床研究では今後2年間にわたって、心停止状態となった患者180人に18時間、水素ガスを吸わせ安全性と効果を確認することにしています。

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論文発表のお知らせ(2016.1.8)
分子状水素が遺伝子発現を制御するメカニズムの解明についての論文が英国のNature出版社のOpen Access Online科学雑誌Scientific Reports 6, Article number 18971, 2016年1月7日に掲載されました。(本論文は誰でも無料で読む事ができます)
日本医科大学(玄間昭彦学長)大学院医学研究科細胞生物学分野の太田成男教授らは、2007年に分子状水素が新しい概念の抗酸化作用を示すことをNature Medicine (2007; 13: 688-694)に発表しました。その後、分子状水素には抗酸化作用にとどまらず多彩な機能があることが明らかにされ、現在様々な疾患に対する臨床研究が精力的に行われています。しかし、多様な機能を発揮するための遺伝子発現制御機構は謎として残されたままでした。同教授らは、本研究により分子状水素がフリーラジカル連鎖反応に介入し脂質メディエーターを改変し、その改変脂質メディエーターが遺伝子発現制御を行うことを解明しました。

本研究により、分子状水素の多彩な機能を発揮するメカニズムが解明されたので、分子状水素の医療への適用を促進することが期待されます。また、今回の発見は、新しい概念を提出するものであり、分子状水素の機能を発揮する詳細なメカニズムの研究を推進する手がかりになることが期待されます。論文の内容は以下のようになります。
水素の多彩な疾患への効果
要旨
日本医科大学大学院医学研究科細胞生物学分野の太田成男教授グループは、分子状水素(H2:以下「水素」という)がフリーラジカル連鎖反応に介入し酸化脂質メディエーターを改変することで遺伝子発現制御を行うことを解明しました。

2007年に太田成男教授らは、水素には新しい概念の抗酸化作用があることをはじめて示し、将来の医療に適用可能であることを提唱しました。現在、これらの基礎医学の研究を基盤として、臨床研究が精力的に行われています。その後、抗酸化作用だけでなく、炎症抑制効果、アレルギー抑制効果、細胞死抑制効果、エネルギー代謝促進効果など多様な効果を示す事が明らかにされました。これらの効果は、水素が様々な遺伝子発現を制御することによって生じることが明らかにされましたが、どのようにして遺伝子発現を制御するのかは謎として残されたままでした。
生体膜に多く含まれる不飽和脂肪酸の一種のリン脂質(PAPC:1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン) がフリーラジカル連鎖反応で酸化されると遺伝子発現制御を行う様々なメディエーターを生じることが明らかにされていましたので、本研究ではPAPCに注目しました。精製されたPAPCをフリーラジカル連鎖反応によって化学的に酸化するときに、1.3%以上の水素を存在させるだけで、酸化PAPCによる培養細胞への細胞内情報伝達を担うカルシウムの流入が低下しました。さらに、網羅的遺伝子発現解析によって、水素存在下で酸化されたPAPCは様々な遺伝子発現を変化させることを明らかにしました。とくに、NFATと呼ばれる転写因子の活性を低下させ、様々な遺伝子発現を制御しうることを明らかにしました。
さらに、培養細胞でフリーラジカル連鎖反応を人為的に生じさせる時に、水素濃度が1.3%以上存在する場合には、カルシウムの流入の低下とそれに伴うNFATの活性の低下が認められました。これは、上記化学反応によるフリーラジカル連鎖反応によるPAPCの改変による結果と一致していますので、細胞内でも上記の反応が生じていることを示唆します。
水素は、不活性であるが故に、酸化ストレスがないときは効果を発揮しませんが、フリーラジカル連鎖反応が亢進しているときのみに、効果を発揮することが示唆されました。このメカニズムの解明によって、従来説明できなかった水素の効果の多くが説明できるようになりました。
分子状水素が遺伝子発現制御を行うメカニズムのモデル
原論文情報
Katsuya Iuchi, Akemi Imoto, Naomi Kamimura, Kiyomi Nishimaki, Harumi Ichmiya, Takashi Yokota, & Shigeo Ohta. Molecular hydrogen regulates gene expression by modifying the free radical chain reaction-dependent generation of oxidized phospholipid mediators. Scientific Reports (2016) 6, 18971. (www.nature.com/articles/srep18971
井内勝哉、井本明美、上村尚美、西槙貴代美、一宮治美、横田隆、太田成男。分子状水素はフリーラジカル連鎖反応に介入して酸化脂質メディエーターを改変することを介して遺伝子発現を制御する。Scientific Reports (2016) 6, 18971.

より詳細な説明
1. 背景
本来、分子状水素(以下、「水素」という)は、不活性ガスとして認識されており、ほ乳類細胞では機能がないと信じられてきました。2007年に私たち本学太田成男教授グループは、水素は酸化力の強い活性酸素のみを消去し、酸化ストレスから細胞を保護し、虚血再灌流障害から組織を護ることを示し、Nature Medicine(2007; 13: 688-694)に論文を発表しました。
その後、水素には抗酸化作用に留まらず、炎症抑制効果、アレルギー抑制効果、細胞死抑制効果、エネルギー代謝促進効果があることが示されました。その効果を発揮するためには、水素は、細胞内情報伝達機構を変化させ、遺伝子発現制御をすることも明らかにされました。
そのような多彩な機能を水素はもち、さらに非常に効果的に疾患モデル動物を改善することが示され、現在は人を対象とした臨床試験が精力的に行われています。
現在までに、動物実験では350報程度、人を対象とした臨床試験の論文が20報程度報告され、水素の効果はゆるぎないものとなっています。また、最近は動物のみならず、植物への効果も明らかにされ、農業革命にも貢献しそうです。
水素は、水素ガスを吸引したり、水素を溶かした水(水素水)を飲んだり、水素を含む点滴液を注入するなど、用途に応じた摂取方が可能です。
しかし、水素は基本的には触媒がないと反応を示さない分子であり、いかにして細胞内情報伝達機構を制御するのか、遺伝子発現を制御するのかは、全く未知の課題でした。また、水素ガスの吸引においては、1.3%程度の低い濃度で効果を発揮し、水素水に含まれる少ない量の水素で効果を発揮するのも謎でした。
2005年に水素の研究を始めましたが、水素の効果は酸化力の強い活性酸素を消去することだけでは説明できず、長年頭を悩ましてきました。本論文では、水素がフリーラジカル連鎖反応に介入し酸化脂質メディエーターを改変することで遺伝子発現を制御することを明らかにし、水素が多彩な機能を発揮するメカニズムの一端が解明されたと考えています。

2. 結果
(1)水素が機能を発揮する部位
水素が酸化力の強いヒドロキシルラジカルを消去する場合でも、水溶液中では非常に遅いことが報告されています。そこで、水素の効果を発揮する場所は、脂質中ではないかと推論し、脂質と水溶液への水素の溶解度を調べると、水素は相対的に脂質に溶解することがわかりました。
さらに、不飽和脂肪酸を含む脂質からは相対的に離れにくいことを明らかにしました。

(2)水素の多価不飽和脂肪酸のフリーラジカル連鎖反応への介入
そこで、多価不飽和脂肪酸への水素の反応に注目しました。もっとも小さい多価不飽和脂肪酸であるリノール酸は空気酸化によって過酸化物を生じます。このプロセスは、フリーラジカル連鎖反応によることが知られています。
水素が1%程度存在するだけで、リノール酸の過酸化反応は体温レベルでも触媒なしに低下しました。

(3)水素のリン脂質のフリーラジカル連鎖反応への介入と脂質メディエーターの改変
生体膜で多く含まれる多価脂肪酸を含むリン脂質に1-パルミトイル-2-アラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジルコリン(PAPC)があります。PAPCは空気酸化(フリーラジカル連鎖反応)によって、脂質メディエーターを作り出すことが報告されています。そこで、水素存在下で、PAPCを空気酸化させ、酸化させたPAPCを培養細胞(モノサイト系)に加えて、細胞内のカルシウムの上昇を測定しました。すると、酸化PAPCでは、カルシウムの細胞内上昇が見られましたが、水素1.3%以上の存在下で酸化したPAPCではカルシウムの細胞内上昇が抑えられました。
カルシウムの上昇を亢進する脂質メディエーターが水素のよって低下したのか、カルシウムの上昇を抑制する脂質メディエーターが水素によって増加したのかは明確にはなっていません。しかし、水素が1.3%以上存在するだけで、メディエーターに何らかの変化をもたらしたことは確実です。
質量分析器で網羅的に解析した結果では、カルシウムの上昇を促進するメディエーターは水素によって増加しなかったので、カルシウムの上昇を抑制する新規メディエータイが水素存在下で生成したものと推測されます。現在、この新規メディエーターの解析をすすめています。

(4)酸化PAPCによる遺伝子発現制御
空気酸化したPAPCと水素存在下で空気酸化したPAPCを培養細胞に加えることによって、変化する遺伝子発現変化をすべての遺伝子において網羅的に解析しました。すなわち、酸化PAPCによって発現が上昇し、水素存在下で酸化したPAPCによって発現が下降した遺伝子を86遺伝子選択すると、細胞内情報伝達に関与する遺伝子が多数含まれていました。なかでも、カルシウムによって活性化するNFATとCREBという転写因子によって発現制御される遺伝子が含まれていました。
カルシウムは、Calcineurin(脱リン酸化酵素)とcalmodulin-dependent kinase(リン酸化酵素)をそれぞれ通じて活性化し、NFATとCREBを活性化させますので、水素によってNFATとCREBの活性が低下するのは合理的です。また、実際に酸化PAPCによって、NFATが活性化し、水素存在下の酸化PAPCではNFATの活性が抑制することを確認しました。
なかでも、TNFやIL-8などの炎症性サイトカイン、炎症に関与するPTGS2(COXII)が水素によって低下したので、水素によって炎症を抑制するメカニズムが理解できます。
また、血管縮小に関与するエンドセリンが水素によって低下することから、水素の血管拡張効果も説明できます。
水素は不活性ガス分子なので、触媒がないと反応性を示しませんが、フリーラジカル連鎖反応が進行している不飽和脂肪酸を含む脂質の過酸化反応に介入し、酸化脂質メディエーターを改変し、遺伝子発現を制御すると考えられます。

(5)培養細胞における水素の効果
培養細胞において同様の効果を示すために、ヒト培養細胞(THP-1)を使って、水素の効果を調べました。人為的にフリーラジカル連鎖反応を起こすためにAAPH加えフリーラジカル連鎖反応を引きこしました。水素が1.3%以上存在するときに、フリーラジカル連鎖反応は抑制されました。
また、AAPH存在下では、カルシウムの細胞内に上昇し、水素の存在下で抑制されました。同時にNFATの活性も水素によって抑制されました。また、NFATにより転写される遺伝子の発現もAAPHによって上昇し、水素のよって下降しました。
これらの結果は、上記の空気酸化によりPAPCをフリーラジカル連鎖反応で酸化させた結果と一致していました。

(6)水素による遺伝子制御機構
以上の結果より、基本的な概念として以下のメカニズムを提唱しました。
(a) 水素が存在しない時(何らかの病態時)
細胞内で何らかの異常が生じると活性酸素が発生して脂質フリーラジカル連鎖反応が生じる。それによって、脂質メディエーターが生じて、G−タンパク共役レセプターなどに結合し、カルシウムチャンネルが開く。カルシウムの上昇によって、カリシニューリンを活化し、脱リン酸化されたNFATが核へ移行し、炎症性因子など遺伝子を転写して、炎症を継続させる。
(b) 水素が存在する時(何らかの病態時)
水素が存在すると、細胞内で何らかの異常が生じて発生した活性酸素による脂質フリーラジカル連鎖反応を変化させる。何らかのメディエーターがG−タンパク共役レセプターなどに結合し、逆にカルシウムチャンネルの開くのを抑制する。そのため、炎症性因子など遺伝子の転写を停止して、過剰な炎症を鎮める。
(c) 酸化ストレスがないとき、またはなくなったとき
活性酸素が引き金となる脂質フリーラジカル連鎖反応がないので、水素の効果は発揮しない。病的状態から健常時になったときも、同様に水素の効果はないので、過度の水素の効果は生じない。

3. 今後の期待 too good!のわけ
水素が1.3%という極めて低濃度の水素ガスの吸引によって効果を発揮するメカニズムが解明されました。1.3%の水素ガス濃度は爆発限界以下ですので、安全に使用可能です。水素を医薬品または発生装置を医療器具として認可を得るためには、分子機構の解明が必須ですので、メカニズムの解明は非常に重要な意味をもちます。また、水素水を飲んだ場合には、水素ガスの1.3%吸引以上の体内の水素濃度となるので、水素水を飲んだときの効果も説明できます。
また、本研究では、水素は様々な遺伝子発現の制御をしますが、特に明確になったのは、NFATという転写因子の活性低下です。NFATの活性を低下させる医薬品にサイクロスポリンAなどがありますが、これらは免疫抑制剤として使われています。水素は免疫抑制剤に似た効果を示すメカニズムが謎として残されていましたので、今後は水素を免疫抑制剤の一部として使用できる可能性も生じてきました。また、NFATは、がん、アルツハイマー病、パーキンソン病、高血圧、骨粗鬆症、心筋肥大との関係が注目されている転写因子ですので、NFATを通じて水素の多彩な効果を説明することが可能で、水素の応用面も大きくなると期待されます。
もうひとつ、重要な点は、フリーラジカル連鎖反応が生じているときだけ、水素が作用するということです。フリーラジカル連載反応が生じているのは、何らかの病態があるときで、フリーラジカル連鎖反応が生じているときだけ、水素が作用するということは、悪い部位に悪い時だけ効果を発揮するということを示唆しています。従来の医薬品は、過剰な効果を発揮してしまうため、副作用が生じるわけですが、水素の場合は正常になると(フリーラジカル連鎖反応がなくなると)効果を発揮しないので、副作用がない医薬品の開発に新しい概念を提出したということもできます。

[用語の解説]
分子状水素:化学式はH2。いわゆる水素ガスで、1気圧では水に1.6ppm(0.8mM)溶解する。分子状水素を溶かした水は、H2のまま溶けておりイオン化しない。これを、水素水という。
脂質フリーラジカル連鎖反応:フリーラジカルが細胞膜中の脂質から電子を奪い、フリーラジカルの連鎖反応のメカニズムによって進行する。多価不飽和脂肪酸は特に反応性の高い水素を有するメチレン基に挟まれた複数の二重結合を有しているため、脂質過酸化反応は、通常、多価不飽和脂肪酸によって生じる。
脂質メディエーター:脂質メディエーターは生物活性(生理作用)を持つ脂質である。特に細胞外に放出され、他の細胞の細胞膜受容体に結合することによって作用する分子を指すことが多い。プロスタグランジン、ロイコトリエン、血小板活性化因子 (PAF)、内因性カンナビノイド、リゾホスファチジン酸、スフィンゴシン-1-リン酸などがその例である。
網羅的遺伝子発現解析:DNAマイクロアレイはDNAチップとも呼ばれ、細胞内の遺伝子発現量を測定するために、多数のDNA断片をプラスチックやガラス等の基板上に高密度に配置し、多数の遺伝子量を一度に計測する。これに検体を反応させれば、検体のDNA配列と相補的な塩基配列の部分にのみ検体のDNA鎖が結合する。結合位置を蛍光によって検出し、最初の配置から検体に含まれるDNA配列を知る事が出来る。遺伝子発現を調べるときには、mRNAをcDNAに変換する。
NFAT: (Nuclear factor of activated T-cells)転写因子の一つで、カルシウムに依存してカルシニューリンによって、脱リン酸化される。脱リン酸化されたNFATは、核に移行し転写因子として機能する。炎症性サイトカインなどの遺伝子を転写する。最近は、非常にがん、アルツハイマー、高血圧、心肥大、骨粗鬆症との関連で注目されている。
カルシニューリン:カルシニューリン(Calcineurin:CN)は細胞内シグナル伝達に関与するプロテインホスファターゼの一種で、一部の免疫抑制剤の標的であることが明らかにされている。これをきっかけに免疫系で重要な役割を果たすことが知られた。
AAPH:2,2′-Azobis(2-methylpropionamidine) Dihydrochloride。自然開裂によって、脂質アルコキシルラジカルを発生し、脂質フリーラジカル連鎖反応を開始する。

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「元気の時間」(TBS系12月13日7:00〜7:30)の水素入浴:有害物に気をつけて(2015.12.14)
13日の日曜日のTBS系の朝番組で水素水の紹介をしましたら、たいへん多くの方からメールを頂きました。とくに、アトピーの方からのメールが沢山ありました。いままでは、特定の商品を紹介するのを控えていましたが、今回のテレビ番組を見て、水素入浴製品と思って有害品をつかったために、かえってアトピーを悪化させてしまう懸念がありますので、例外的にお知らせします。

(1)まず、水素を発生させる素材で、化粧品成分として登録されているのは、MgH2(水素化マグネシウム)だけです。
新素材MgH2(水素化マグネシウム)で15分水素を発生させると、その後は体感できる濃度を8時間は維持できます。化粧品として登録承認されている素材を使っていて、危険な成分を使っていないので安全安心です。水素の泡は気をつけてみないとわからないくらい小さい泡です。なにより、余分な水素を発生させないので火事の心配がなく安心です。
7分間入浴すると全身を水素が巡ります。私も少なくとも週に一度は1時間くらい入浴しています。ぬるくして7分以上は、はいってください。
とくに、以下の二つは無香料・無着色なのでアトピーの方には適していると思います。
・未来入浴料AP いいものばかり (無着色無香料)
http://www.e-mono-shop.com/products/detail.php?product_id=26
・わたしの水素風呂(無着色無香料) 千代田薬品工業
http://www.naturath.jp/nyuyoku/
いろいろな香りがありますので、水素入浴で香りを楽しむことができます。
以下の商品は安心安全です(順不同)。
・水乃素湯(すずらんの香り) 水素健康医学ラボ
http://auter.jp/products/list.php
・水素入浴剤さくらキヨラビ (さくらの香り) KIYORAきくち
http://www.kiyora-kikuchi.com/products/
・しみこむ水素湯 (ひのきの香り) 健康家族
http://www.kenkoukazoku.co.jp/food/suisoyu/index.html
(会員限定の製品は記載してありません)。
ただ、MgH2製といっても不純物を含むものがあるので、注意してください。悪臭を発生させるのは不純物が多いものです。
また、アトピーの方や敏感肌の方は、入浴剤成分や汗などが体に残るとかえって赤みやかゆみの元になる方がいますので、お風呂から出る際に、シャワーで流してください。
(2)有害成分NaBH4(水素化ホウ素ナトリウム)を使って水素を発生させている商品もあるので、注意しましょう。悪質なことに、販売社は、有害成分の成分を表示しないので、消費者が見分けるのは困難です。現在の目安としては、「安かろう、悪かろう」です。MgH2と書かれてなのは、NaBH4の可能性が高いです。

(3)アルミニウムをつかって、ブクブク水素を発生させるタイプもありますが、アルミニウムであることに気をつけてください。皮膚と接しますので金属アレルギーになってしまう可能性も否定できません。たくさん、水素が発生するから、いいというわけではありません。水素ガスは爆発性であることを思い出してください。

(4)水素生成器
いろいろ販売されていますが、いいと思って推薦したら故障したとか、水素が出なくなったなどの苦情があり、一時的に調べただけでは、推薦できないとわかりました。そのため、個別の相談以外は、水素発生器は現在推奨しないことにしています。

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Gottried Schatz先生への追悼(2015.10.22)
2015年10月1日に私の恩師のGottried Schatz先生(80歳)が永眠されました。私の研究者としての基礎を築いてくださった方です。深く感謝するとともに、哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りします。
Schatz先生の教えとエピソードは、私の書籍にもたびたび書かせていただきました。

「水素水とサビない身体」(太田成男著)小学館 2013.11月出版 の159ページ より

次は何をするか?どう展開させるか?
独創性と言っても、ある日突拍子もないことを思いついて、ぱっとできるわけではありません。やはり、それまでの積み重ねが大切になってきます。
私は、1985年にスイス連邦のバーゼル大学のジェフ・シャッツ先生のもとへ留学しました。日本の職は辞して行きましたから、片道切符です。
バーゼル大学は、ミトコンドリア研究の中心のひとつで、日本人も多く希望していましたが、席がないということでほとんどの人が断られていました。ですから、シャッツ先生のもとへの留学は、周りの人からはうらやましがられました。
先に話しましたように、私は化学科で教育を受けましたから、生命科学については、自己流です。無手勝流といってもいいでしょう。
自己流で世界に通じるほど、この世界は甘くありません。
シャッツ先生からは、きっちりとトレーニングを受けることになりました。
独創的な研究をしたいとか、実用化できる研究をしたいとか、いきがっていても、実力が伴わなければ無理です。あるいは、自己流でやっていては時間ばかりかかって、競争相手に負けてしまうかもしれません。
シャッツ先生からは、週に1度1〜2時間、ふたりきりで指導を受けました。
「なぜ、これをやらなかったのか?」といった鋭い突っ込みが続きます。当時は英語もたどたどしいわけですから、地獄のような苦しみでした。
先生の指導後は、いつもふらふらでした。けれども、この指導によって、私の研究力は培われました。
シャッツ先生は、「シゲオはダイヤモンドの原石だ、ひとつひとつカットすることで、光り始めるのを見ているのは楽しいよ」と言ってくれました。
2013年のノーベル学医学賞を受賞したランディ・シェックマン博士も当時、シャッツ研究室に在籍しており、厳しいけれど楽しい研究生活でした。
次は何をしたらいいか。どう展開させるか。論文を投稿するときは、審査員たちを納得させるにはどうしたらいいか。
これらのトレーニングがなければ、水素の研究をはじめて2年足らずで「ネイチャー・メディシン」誌に最初の論文を発表できるはずもなかったのです。

水素研究でふつうにコーヒーを飲めるように

当時、研究室に所属する若い研究者たちで、夢を語りあったり、いろいろ討論したりすることがありました。
ミトコンドリアにこだわる私たちにシャッツ先生は「小さい、小さい。もっと大きなことを考えなくちゃ。もっと魅力的なテーマと遭遇したら、明日からいっさいミトコンドリア研究をやめろと私は言い出すかもしれないから、覚悟しておけ」と言い、私たちを驚かせました。
教授になって、研究内容以外でも、研究室運営などで困ることがあると、私には「シャッツ先生はなんて言うかな」といつも考える癖がついていました。
シャッツ先生と話をするときは、眠気などあってはなりませんから、コーヒーをガブガブ飲みながら話をする習慣になっていました。ところが、このコーヒーが条件反射の原因となってしまいました。
私は、パブロフの犬になってしまったのです。パブロフの犬とは、食事のときに、いつもブザーをならしていると、ブザーを聞いただけで唾液が出るというものです。
私はコーヒーを口にすると興奮してしまうようになってしまったのです。
カフェインなしのコーヒーでも同じですので、カフェインではなく、コーヒーなのです。
日本に帰ってからも、この状態が20年間も続きました。
ですから私はフルコースの料理では、必ずコーヒーではなく、紅茶をオーダーします。
けれども、時には訪問先でどうしてもコーヒーを飲まなくてはならないこともあります。すると、私の挙動から妻は「今日、コーヒー飲んだでしょう」と必ず当ててくるのです。
研究室でも、私がコーヒーを飲んだら注意警報です。何を言い出すかわからないので、皆が私とできるだけ接触しないようにします。
が、ある日、気がつくとコーヒーを飲んでも、妻が気づかないくらいになりました。
それは、水素の研究を始めてしばらく過ぎてからです。水素研究をして初めて、シャッツ先生を卒業したのだと思いました。

「ミトコンドリアのちから」(瀬名秀明、太田成男共著)(角川書店)2007年9月  125ページより

ミトコンドリアDNAは一九六八年にゴットフリート・シャッツ先生によって発見された。わずか四〇年ほど前のことに過ぎない。シャッツ先生はその後もミトコンドリアの膜輸送に関する研究で業績を上げた。シャッツ先生は筆の立つ人で、ミトコンドリアの研究の歴史を見事な総説論文にまとめて発表したこともあるし、学術雑誌に連載していた科学エッセイは好評のため書籍化されたりもしている。
思い出話になるが、定年前にリタイアするとの噂を聞いて、一九九八年、シャッツ先生が主催したスイスのレ・ディアブルレのゴードン会議に太田もかけつけた。定年前にもかかわらずリタイアするというので、なぜかと質問した。
「これからやりたいことがあるんだ」
と教授はいった。
「バイオリンだよ」
シャッツ先生はバイオリン弾きで、若いときにはウィーンの音楽学校を卒業している。ウィーンフィルのバイオリニストだった時期もあるという。そのような経歴を太田は人づてに聞いていた。シャッツ先生は研究者として一流だったが、彼はバイオリニストとしても一流になりたかったのだな、と太田はそのとき思ったものである。
シャッツ先生は世界中に多くの優れた研究者を育てた。日本人の弟子には、バーゼル大学在任中だけでも、太田の他に大橋彰、長谷俊治、大場雅行、遠藤斗志也らがいる。シャッツ先生は退任後、福岡、大阪、東京を訪れ、その弟子全員と旧交を深めた。退任後は「自分の実験結果に関する講義はしない」と宣言し、世界中からの依頼をすべて断っていたが、一度だけ例外的に九州大学で講義を引き受けてくれたのだった。

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卵子のもと移して若返り?米企業が赤ちゃん誕生と発表:水素水との関連は?(2015.5.12)

2015年5月11日の朝日新聞などによると、
卵子の素になる細胞から、細胞に必要なエネルギーを作るミトコンドリアを取って発育不良の卵子に移植する方法で「卵子や受精卵の質が悪い人の妊娠率を上げられた」と報道されました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150511-00000013-asahi-int
私への質問や相談で多いのは不妊治療についてです。ここでは、「ちょっと一言」と簡単に説明できないので、項目に分けて説明したいと思います。

(1) 「卵子の老化」と「卵子の素の総量は後から増えることはない」という常識
2012年2月のNHKのクローズアップ現代では、「卵子の老化」がとり上げられました。「男性と違い、女性の体には卵子の素がなく、新しく作られることはない。」というのが今までの常識でした。この常識は一般に知られていなかったので、大きな反響はあったわけです。
 http://35歳妊娠.net/reality/egg/number/などを参照
私もこのブログで卵子の老化をとりあげました。

(2)「卵子の素の総量は後から増えることはない」という常識の転換:卵子の素を作り出す
以前は、「神経細胞は大人になってから増えることはない。」というのが常識でした。しかし、現在は、大人になっても神経細胞は増えるというのが、新しい常識となっています。
卵細胞についても、近年常識がかわりつつあります。
インターナショナル・ステムセル社は、世界で初めて人間の未受精卵から幹細胞を作り出すことに成功したと発表しました。
http://www.lifelineskincare.jp/Contents/stemcell.cfm

(3)卵子の素があるという新常識
また、卵子にも素になる細胞があって、男性と同じように生殖細胞の素があって、ある程度は大人になっても増えるという新しい常識が確立されつつあります。
生殖年齢女性の卵巣から精製した分裂活性の高い生殖細胞による卵母細胞形成という論文がNatureに発表されました。ちょうど、NHKで「卵子の老化」という常識を報道した時期と同じです。
http://www.nature.com/nm/journal/v18/n3/full/nm.2669.html
http://www.nature.com/nm/journal/v18/n3/abs/nm.2669_ja.html?lang=ja
論文名は、「生殖年齢女性の卵巣から精製した分裂活性の高い生殖細胞による卵母細胞形成」 2012年2月26日
論文の要旨は、
「in vitro で卵母細胞を形成し、 in vivo で受精能を有する卵を形成する生殖幹細胞が成体マウスの卵巣中で同定され、単離されている。本論文では、原始生殖細胞と一致する遺伝子発現プロファイルと高い分裂活性を有する希少な細胞を精製するための、成体マウス卵巣ならびにヒト卵巣皮質組織の双方に適用可能な蛍光活性化細胞選別法(FACS)に基づくプロトコルを呈示し、検証する。このような細胞は、 in vitro でいったん樹立された後は何か月間も増殖可能であり、35〜50μmの細胞を自然発生的に産生し、これらは形態、遺伝子発現、一倍体(1 n )細胞を生じる状況から卵母細胞と判断できる。このヒト生殖系列細胞をGFPを安定的に発現するように改変し、ヒト卵巣皮質生検組織へ注入して免疫不全雌マウスに異種移植したところ、1〜2週間後にGFP陽性の卵母細胞を有する卵胞の形成が認められた。したがって、生殖年齢の女性の卵巣は、成体マウスと同様に、 in vitro で増殖可能であるとともに in vitro および in vivo で卵母細胞を産生する、分裂活性の高い希少な生殖細胞を有している。」
今回、卵子が卵巣の前駆細胞から補充され続けているとの新しい理論によって、「1人の女性が持つ卵子数は有限と考えられてきた」定説が覆されたと研究チームは述べています。

(4)ミトコンドリアの移植
以前このブログでも取り上げましたが、ミトコンドリアを卵子に移植することが技術的に可能になりました。
→ミトコンドリア遺伝子の交換後の受精
さらに、2015年になって、この方法を人間に使うことを英国では法律として認めることになりました。
「3人の親」からDNAを受け継ぐ子供の誕生を認める、世界初の「卵子核移植」を英上院が合法化
http://healthpress.jp/2015/03/dna.html
2015年2月24日
この法案の目的は、母系遺伝性難病のミトコンドリア病の予防です。「卵子核移植」によって生まれる子供は、父母とドナー女性の3人のDNAを受け継ぐことになります。卵子ではなく、受精卵の段階での移植も可能ということです。
この法案はミトコンドリア病を対象とするものですが、不妊治療にも使われるだろうと私は思っていました。若いミトコンドリアを移植することで、卵子が若返る可能性があるからです。

(5)卵子のもとを移植して若返り
ミトコンドリア病の治療に使うミトコンドリアは、第三者のミトコンドリアであり、ミトコンドリア遺伝子は母系遺伝ですので、遺伝的には一人の父親と二人の母親をもつことになります。
しかし、自分の卵子の素のミトコンドリアを老化した卵子に移植すれば、ミトコンドリア自体も本人のものであり、母親が二人になることはありません。
妊娠の確率が高くなったということは、ミトコンドリアを移植して若返ったということを意味しています。しかし、卵子の素は少なく、まだまだ技術的にも問題があります。卵子の素(卵幹細胞)を増やせたら、高齢になっても妊娠の確率が高くなるはずです。

(6)ミトコンドリアの若返り
ミトコンドリアでは、日々活性酸素が生まれ、ダメージをうけています。少しのダメージでしたら、ミトコンドリア同士を融合させ、お互いのダメージを補い合います。しかし、ダメージが補い合えないようになると、痛んだミトコンドリアだけを選んで分解してしまう装置が細胞にはあります。悪くなったミトコンドリアを排除して、新しい若いミトコンドリアを増やすのです。
ミトコンドリアはダメージを受けやすいのですが、若返る装置も備えているということです。この機構は、Mitophagyとよばれ、盛んに研究が行われています。

(7)水素による神経新生の促進と卵子生成促進の可能性
卵子の数は生まれてから変わらない、若返ることはない、という常識は、神経でも、あてはまっていました。「大人になると神経は増えない」というのが以前の常識でしたが、現在は大人になっても神経が増えるのが常識です。
ところが、強度で長期にわたるストレスにさらされると、神経の新生は低下します。うつ病の原因は、神経の新生の低下が原因と考えられ、抗うつ剤は神経の新生をうながします。
私たちは、実験でマウスに長期にわたるストレスを与え、記憶力、認知機能の低下と神経の新生の低下を促したのですが、水素水をのませると、記憶力、認知機能、神経新生の低下を改善することを発見し、論文として2008年にNeuropsychopharmacologyに発表しました。Neuropsychopharmacologyは、Nature出版社の高名な学術誌です。
Neuropsychopharmacology. 2009 Jan;34(2):501-8. doi: 10.1038/npp.2008.95. Epub 2008 Jun 18.
Consumption of molecular hydrogen prevents the stress-induced impairments in hippocampus-dependent learning tasks during chronic physical restraint in mice.
Nagata K1, Nakashima-Kamimura N, Mikami T, Ohsawa I, Ohta S.
Abstract
We have reported that hydrogen (H2) acts as an efficient antioxidant by gaseous rapid diffusion. (中略)Neural proliferation in the dentate gyrus of the hippocampus was suppressed by restraint stress, as observed by 5-bromo-2′-deoxyuridine incorporation and Ki-67 immunostaining, proliferation markers. The consumption of hydrogen water ameliorated the reduced proliferation although the mechanistic link between the hydrogen-dependent changes in neurogenesis and cognitive impairments remains unclear.(後略).
当時、読売新聞にも紹介されました。
http://www.fine-thanks.co.jp/suisotopics.pdf#search=’読売新聞+水素+記憶力’
ここまでは、科学的根拠のあることですが、これからは「我田引水」であり、科学的根拠の薄い私の妄想に近い話だと思って読んでください。
もし、水素が神経の新生を促すのであれば、卵子の素からの新しい卵子を作る事も促進してくれるのではないかという希望がもてます。今後の研究が待たれます。

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最近のトピックス(2015.1.7)
小柳衣吏子先生(アオハルクリニック院長)との対談をしました。
内容は下記のアドレスからどうぞ!
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20150421/204501/

このブログについての論点(2012.11.1)
このブログは、個人的な意見の表明のために開設しました。このブログの読者の方々は、主に科学的な知識を求めてアクセスされているのだと思います。しかし、いろいろな事項をひとつのブログに記載しているため、(1)科学的に確かなこと、(2)学術論文はあるけれど、さらに科学的な立証が必要なもの、(3)ある程度確からしいと科学的な根拠をもとにして判断したもの、(4)専門家としてではなく個人の体験によって感じた事、などが混在しています。すべて科学的に確実なものとして読まれると誤解を生じてしまいます。是非、ご了承ください。わかりやすくと正確に、を両立させるのは難しいことですが、断り書きを加えるなどして、少しずつこの点については整理していこうと思います。
もうひとつの問題は、商品の推奨についてです。表紙のページ(左側)に明記していますように、私の研究とは無関係なのに関係があるかのような誤解を促す非科学的便乗商品がかなり存在します。たいへん残念なことです。その解消法として消費者の人たちから、お勧めの商品を教えてほしいという強い要望が多かったので、すぐにアクセスできるように記載してきました。個人としてのブログであっても、特定の商品を推奨するのは、いかがなものかという意見もありましたので、私が推奨する商品を知りたい方は、お手間ですが、問い合わせからメールで「個人的」にお問い合わせください。どこまで、答えられるか現段階ではわかりませんが、努力してみます。ただし、問い合わせが特別多くなり対応ができなくなりそうな場合は、水素含有量や発生量を直接確認した複数の商品を時間限定で紹介することにします。

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謹賀新年:水素医学の10年の節目(2015.1.7)
私が水素医学の研究を開始したのが、2005年の1月ですので、ちょうど10年が過ぎさったことになります。研究をはじめて10年後に最初の論文を発表できたというのは稀ではないので、ゼロからスタートしたこの10年の進歩は著しいものと言えます。また、充実した10年でもありました。
私がこの10年間に発表した英文論文は、21報になります。世界中から水素医学に関連した論文は400くらいになりますので、論文数では5%程度の数の貢献になります。最初の論文(Nature Medicine)の引用数は450となりました。
今後の発展に決定的に重要となる論文として、あと7報くらいは2年内に発表できるのではないかと考えています。一つの論文を発表するためには、最低3回位は書き直すので、毎月1報ずつ書き上げなくてはならない計算になりますので、うかうかしてはいられません。
水素医学の認知度は、国内ではかなり高くなっていますが、米国やヨーロッパでは、まだまだ低いですし、国内でも一般社会では認知度はまだまだ低いなあという印象です。ヨーロッパでは、水素ガスの虚血再灌流への効果を中心とする特許が昨年成立し、ドイツ、フランス、イギリス、スイスで登録されました。ヨーロッパでも水素の普及を期待したいものです。
水素水をはじめとするマーケットが大きくなるにつれ、各社の都合もあり、差し障りがあることが生じ公表できないことも増えてきました。そのため、このブログにも、書いていいものか判断に困ることも多くなっています。また、他のしっかりしたブログなども立ち上がっていますので、その分は他のブログなどを参考にしていただければと思います(http://suiso-p.jp など)。
一昨年の1月に出版した水素の本「ウォルター先生の水素のはなし」(産学社:おおたふみあき著太田成男監修)は、韓国と台湾で翻訳され、「水素水とサビない体」(小学館:太田成男著)は今年中国で翻訳される予定です。

今年こそは飛躍の年になるのではないかと期待しています。

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認知症予防には、ダンスが一番(2014.12.18)
昨年から超多忙を極め、なかなか「ちょっと一言」が書けませんでしたが、再開します。

認知症予防についての水素水の動物実験での効果はいくつか論文がでており、今後は臨床試験の結果も発表される予定です。今回は、認知症を予防する生活習慣についてです。
8月5日の朝日新聞には、「認知症 ダンスで防ごう」という見出しで、予防効果としてダンスが最適であることが紹介されています。
テレビ朝日「みんなの疑問ニュースなぜ太郎」6:00~8:00
2014年8月16日(土) 防げる?認知症 最近の注目は「社交ダンス」で私が解説出演しました。
150925N-Engl-J-Med.-2003-2508-16s社交ダンスが認知症予防に効果があることは、2003年の医学誌「THE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE」に論文が発表されています。この論文では、ダンスとして分類されていますが、主なダンスは社交ダンスです。論文のタイトルは、「Leisure activities and the risk of dementia in the elderly(高齢者の余暇の活動と認知症にかかる危険度)です。2003:348;2508−2516。(Vergheese、J.博士ら。アルバートアインシュタイン医大)。この研究では、75歳以上の方469名を5年以上調べて、認知症になる確率と、余暇の活動の関係を調べています。その結果、ダンス0.24倍、チェスなどのゲーム0.26倍、音楽演奏0.31倍、読書0.65倍、ウォーキング0.67倍、水泳0.71倍で、ダンスが一位でした。
ちなみにTHE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINEは臨床医学誌としては、最も信頼と権威のある学術誌です。
最近の研究では、頭を使いながら、運動をすることが認知症予防に効果的であることが明らかにされています。社交ダンスは、姿勢を良くし、音楽を聞いて、適度な運動で、異性や回りに気配りをするなど、運動と同時に頭を使わなくてはならないので、効果があるのは当然と言えば当然です。
ちなみに、私も社交ダンスをしており、先日11月9日に日本社交舞踏教師協会創立70年記念晩餐会でワルツを披露しました。
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お知らせ(2013.11.10)
質問・お問い合わせなど、ありがとうございます。昨年11月より、個別の商品などへの質問については、個人的に回答するようにしてきましたが、現在超多忙でお返事さしあげられません。
すみませんが、12月10日以降に個別の商品及び一般質問をお願いします。
水素ダイエット(2013.5.1)
水素には、抗酸化作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用の他に、脂肪エネルギー代謝促進効果があることが示されています。
この水素の効果によって、ダイエットは可能でしょうか?それは期待大です。動物実験結果では、食欲を抑えられずに食べ過ぎて肥満になり、中性脂肪が高く血糖値も高くなるマウスの系統があります。このマウスに水素水を飲ませると同じだけ食べても同じだけ飲んでも体脂肪が減り、血液中の中性脂肪が減り、血糖値も下がることがわかりました。さらに、水素水を飲ませると同じだけ運動してもエネルギー代謝が活発になり、酸素の消費量もあがります。原因は、肝臓から分泌され、エネルギー代謝を活発にするFGF21というホルモンの分泌が盛んになるからだということもわかりました。では、何故FGF21の分泌を水素が促進するのかは、次回の論文で発表の予定です。
人間では、水素のお風呂にはいると、体温が上昇したり、血流が速くなったり、汗が出やすくなります。
また、運動選手に水素水を飲ませると、糖代謝ではなく脂肪代謝が盛んになり、疲れにくくなることもわかりました。
これらの結果は、水素がダイエットに有効であることを示しています。

なお、いままでに水素の医学研究は、高名なNature出版社から4報の論文が発表されていますが、このマウスの論文もNature出版社の学術誌Obesity(肥満症)に発表されました。
Molecular hydrogen improves obesity and diabetes by inducing hepatic FGF21 and stimulating energy metabolism in db/db mice.
Kamimura N, Nishimaki K, Ohsawa I, Ohta S.
Obesity (Silver Spring). 2011 Jul;19(7):1396-403. doi: 10.1038/oby.2011.6.
をご覧ください。

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韓国でもプチ断食(2013.4.8)
本日、韓国のSBSテレビからDVDが届きました。先日、韓国のSBSテレビ局からわざわざ私のところに取材にきて、そのインタビュー(日本語です)を3月10日と17日に放映したので、その番組のDVDを送ってくれたのです。SBSテレビ局は韓国での最大の民放テレビ局だそうです。「Stay Hungry・Stay Heathy」というタイトルの特別番組で、「視聴率は非常に高かった」とのお礼の文がついていました。
何故、わざわざ韓国からインタビューに来たのかと訪ねると、韓国翻訳版「体が若くなる技術(サンマーク出版)(太田成男著)」を読んだからだそうです。自分の著者を読んで、海外からわざわざインタビューにきてくれたとは、正直うれしいですね。

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溶液のppmと気体のppmの違い:週刊文春2月28日号(2013.2.25)
2月21日発売の週刊文春(2月28日号)に、水素の記事がでています。水素水(夢のアンチエイジング商品)論争に最終結論!誌上実験でわかった「本物」と「偽物」というタイトルです。
ここで、水素の量を計るのに、ppmという単位を使っており、「溶液と気体では1万1千倍も違う」と述べています。この説明を記者の方には長々としたのですが、読者には難しすぎるかも、とのことで掲載されませんでした。この違いをここで説明したいと思います。
ppmとは、parts of millionの略で、100万分の1という意味です。一般に溶液では、100万分の1の重さ、気体では100万分の1の体積を示します。例えば、1リットルの水は、1000グラムですから、その100万分の1の重さは、1ミリグラム(=0.001グラム)です。
気体では、1リットルの体積の100万分の1ですから、1マイクロリットル、(=0.001ミリリットル=0.000001リットル)です。
ところで、2グラムの水素(H2)は、22.4リットル(大気圧、0度C)です。つまり、1グラムは約11リットルです。(室温と0度Cは少し違いますが、無視できる違いなので、2グラム[H2の分子量]22.4リットルとします)。
(1) 1リットル内の水素を重さで比較すると、
溶液では1ppmは、0.001グラムの水素を含みます。
気体では1ppmは、1マイクロリットルの水素ガスを含みます。それを重さにすると0.09マイクログラム=0.000000009グラムなので、11,000倍違うことになります。
(2)  1リットル内の体積で比較すると、
溶液の1ppmは、0.001グラムの水素を含み、それは0.011リットルの水素ガスに対応します。
気体の1ppmは、0.000001リットルの水素ガスを含みますから、体積で比較しても、やはり11,000分の1です。
なお、飽和水素水は、1.6ppmですから、1リットルの水に1.6ミリグラム(0.0016グラム)の水素(H2)が溶けていることを意味します。
水素吸蔵サンゴのサプリメント(おはよう水素)では、島津総合分析試験センターで測定してもらったとインターネットで公表していますが、3ppmの水素ガスが発生したと記載。さらに、詳しい測定法を取り寄せた人から見せてもらうと、1グラムのサプリメントから、約0.2マイクロリットル(=0.0000002リットル)の水素ガスが発生すると書いてあります。これは、重さにすると、0.018マイクログラム(=0.000000018グラム)。飽和水素水は、1リットルで、0.0016グラム(1600マイクログラム)の水素を含むはずですから、約10万分の1リットル(10マイクロリットル)。水1滴は、50マイクロリットルですから、サプリメント1グラムから、水1滴の5分の1しか発生していないというのが、島津総合分析試験センターの測定結果です。私の測定結果の半分しか発生していないという結果でしたが、条件が違うので結果はほぼ一致していると言っていいでしょう。
つまり、島津総合分析センターの結果も私の結果も、水素吸蔵サンゴサプリでは、水素水の1滴にもみたない量の水素しか発生しないものを「水素が発生している」と強弁していることになります。10万分の1しかないものは、「ほとんどない」と言います。
週刊文春WEB

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2013年度の放送大学の講義の撮影が終わりました。(2013.1.28)
2013年度から4年間、講師として放送大学に出演します。「現代化学」という講義で、従来の枠組みではなく、(1)エネルギー(2)機能性素材(3)生命・健康の3本柱をたて、現代化学を論じるという非常に挑戦的な試みです。企画から1年半以上かかり、2013年1月24日に私の担当の番組の撮影が終わりました。ほっとして気が緩んだせいか、打ち上げでは日本酒を驚くほど飲んでしまいました。ただし、水素水を飲んだおかげで、二日酔いにはならずにすみました。
魅力的な講義にしようとはりきっていたのですが、なかなか思うようにならずに、極めて残念でした。大学の講義や一般の講演のように、ニコニコしながら溌剌とした口調で話をするつもりでしたが、テレビカメラへ向かって時間を合わせながらの話では、ひきつった顔で、もぞもぞと原稿を読むことになってしまいました。聴講生の皆さん、ごめんなさい。
1回目と5回目は5人講師が全員出演し、その他の12回を5人で担当し、私は3回担当します。私の担当は、化学と生命・健康で、(1)生命の本質は? 化学から見た生命(2)生体反応分子を見る (3)化学の医療への貢献の3回です。
教科書もとても魅力的な本に仕上がって、放送大学の受講生だけでなく、一般の方も購入できるとのことでしたが、1冊3000円ということで、買う人はいないだろうなあ、と少しがっかりです。教科書として正確に記述することと最新の進歩をわかりやすく説明することを両立させるのは、たいへんでした。でも、いい経験でした。

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週刊文春(11月8日発売)で、水素の紹介: 信頼できる学術研究(2012.11.7)
10月11日号の週刊文春で、水素をとりあげたら編集部に問い合わせの電話が殺到し、水素水販売関係各社もうれしい悲鳴で対応不能の状況が生じたそうです。そこで、週刊文春では、もう少し学術的側面からのレポートをするとのこと。11月8日発売号に掲載(予定)される学術面について、発表論文と学会発表を紹介します。いずれも優れた論文や学会発表で公表しており、信頼できる結果です。
(1)水素に関する最初の論文(培養細胞とラット)日本医科大学
Hydrogen acts as a therapeutic antioxidant by selectively reducing cytotoxic oxygen radicals. Ohsawa  I, Ishikawa M, Takahashi K, Watanabe M, Nishimaki K, Yamagata K, Katsura K.-I, (…), Ohta S, Nature Medicine. 2007;13 (6):688-694.

(2)心肺停止蘇生後の脳と心臓の障害の軽減の論文(ラット)慶応義塾大学
Inhalation of hydrogen gas improves neurologic and cardiac outcome in a rat model of cardiac arrest with ventricular fibrillation. Hayashida  K, Sano M, Kamimura N, Yokota T, Ohta S, Fukuda K, and Hori S. J. Am. Heart. Assoc. (2012)

(3)脳梗塞治療(患者)西島病院
A basic study on molecular hydrogen (H2) inhalation in acute cerebral ischemia patients for safety check with physiological parameters and measurement of blood H2 level. Ono H, Nishijima Y, Adachi N, Sakamoto M, Kudo Y, Kaneko K, Nakao  A, and Imaoka T, Medical Gas Research 2012, 2:21.
Improved brain MRI indices in the acute brain stem infarct sites treated with hydroxyl radical scavengers, Edaravone and hydrogen, as compared to Edaravone alone. A non-controlled study.Ono H, Nishijima Y, Adachi N, Tachibana S, Chitoku S, Mukaihara S, Sakamoto M, Kudo Y, Nakazawa J, Kaneko K, Nawashiro H, Medical Gas Research 2011, 1:12 (7 June 2011).

(4)リウマチ治療(患者)原土井病院
Consumption of water containing a high concentration of molecular hydrogen reduces oxidative stress and disease activity in patients with rheumatoid arthritis: an open-label pilot study. Ishibashi T, Sato B, Rikitake M, Seo T, Kurokawa R, Hara Y, Naritomi Y, Hara H, and Nagao T, Medical Gas Research 2012, 2:27.

(5)歯周炎抑制効果(ラット)岡山大学
Hydrogen-rich water attenuates experimental periodontitis in a rat model.
Kasuyama K, Tomofuji T, Ekuni D, Tamaki N, Azuma T, Irie K, Endo Y, Morita M, 2011;Journal of Clinical Periodontology 38 (12):1085-1090.

(6)パーキンソン病の治療効果(患者・二重盲検試験)順天堂大学
第6回パーキンソン病・運動障害疾患コングレス(2012.10.11-13)

(7)水素水による疲労予防効果(健常人)筑波大学
Pilot study: Effects of drinking hydrogen-rich water on muscle fatigue caused by acute exercise in elite athletes. Aoki K, Nakao A, Adachi T Matsui Y, Miyakawa S, Medical Gas Research 2012, 2:12 (20 April 2012)

(8)水素入浴による血流増加効果(健常人)国際医療福祉大学
日本未病システム学会(2012.10.27-28)
温泉物理医学会 2012.6.8-9 発表
http://onki2012.umin.ne.jp/program.html

#22図121108-1結果Ⅲ大腿部血流

発汗量

(9)水素入浴による抗がん剤治療の副作用軽減効果(患者)e-クリニック
日本未病システム学会(2012.10.27-28)
http://www.medisuppli.com/is-pm%20060212.pdf#search=’水素+入浴’
参考文献(マウス)
Molecular hydrogen alleviates nephrotoxicityinduced by an anti-cancer drug cisplatin without compromising anti-tumor activity in mice. Nakashima-Kamimura N, Mori T, Ohsawa I, Asoh S, Ohta S, 2009. Cancer Chemotherapy and Pharmacology 64 (4): 753-761.

(10)肥満マウスの肥満抑制・血糖値低下・中性脂肪低下・インスリン低下の研究(マウス)日本医科大学
Molecular hydrogen improves obesity and diabetes by inducing hepatic FGF21 and stimulating energy metabolism in db/db mice.Kamimura N, Nishimaki K, Ohsawa I, Ohta S, 2011.Obesity19 (7):1396-1403.  Nature出版社

(11)認知機能低下抑制効果(マウス) 日本医科大学
Consumption of molecular hydrogen prevents the stress-induced impairments in hippocampus-dependent learning tasks during chronic physical restraint in mice. Nagata K, Nakashima-Kamimura N, Mikami T, Ohsawa I, Ohta S,2009. Neuropsychopharmacology 34(2):501-508.  Nature出版社

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不妊治療と水素温浴(2012.5.15)
「卵子の老化」については、多くの人が強い関心をもっています。5月8日に、抗酸化力の弱いマウスでも、水素水を飲めば出産できるようになったデータを載せると、すぐに、「水素は老化した卵子を若返らせることができるのか?」という質問をいただきました。確かに、老化した卵子を簡単に若返らせることができるとは軽々しく言うことはできません。しかし、不妊治療では、抗酸化サプリ療法やホルモン補充療法などが積極的に行われています。
しかし、不妊治療で一番注目されているのは、血行をよくすることです。そのための治療には、遠赤外線療法や低周波医療用レーザー療法が行われています。もうひとつ注目したいことは、水素には血行をよくする作用があることがわかってきたことです。とくに、水素温浴によって血行をよくすることができ、20人の人を対象にモニターを行うと18人の人が「血行がよくなり、体が温まった」と体感有りと答えています。もちろん、サーモグラフィーなどのデータも特に足の指などの末端の体温があがることを示しています。さらに、最近では、若い健常人を対象にして、発汗量、血流、深部体温の変化を測定して学会発表されています。これから、気候は暖かくなってきますが、ぬるめのお風呂でゆっくり温まることはいつの季節でも大切なことです。 (商品についてお知りになりたい方は個人的に問い合わせのページよりお問い合わせ下さい)
大腿部血流と発汗量

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がん治療の副作用を軽くする水素入浴(2012.5.8)
がんは、誰でもかかる可能性がある病気です。がんが発生して闘病生活をおくっておられる方は非常に多いと思います。闘病生活でつらいのは、抗がん剤治療や放射線治療による副作用です。
「抗がん剤治療をうけており、医師から奨められて水素入浴をはじめた。すると、抗がん剤治療をしているにもかかわらず非常に体が楽になってきた。でも、水素によって体が楽になるのはいいけれど、抗がん剤の効果までなくなってしまったのではないか?」という質問をいただきました。
現在は、癌治療をしている病院でも水素入浴を勧めるところも増えてきました。たしかに、体が楽になっても、癌治療効果がなくなっては、意味がありません。
放射線治療については、水素水を飲むことによって、放射線治療の効果は減らさずに、副作用が軽くなったという患者さんを対象とした研究が報告されています。http://www.medicalgasresearch.com/content/1/1/11

抗がん剤と水素水

私たちの研究結果では、水素水を飲ませたマウスでは、確かにシスプラチンという抗がん剤の副作用が軽くなったことを示しましました。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19148645

さらに、がんを移植して、抗がん剤(シスプラチン)の効果がなくなるかどうかを調べました。CTスキャンで癌の固まりの大きさをみることができます。

 

上図の→の部分が癌の部分です。抗がん剤がないと癌は大きくなっていきますが(下図)、抗がん剤を投与することによって、たしかにがんは大きくなっていません。また、抗がん剤と水素水を同時にあたえると、がんは大きくなっていません。抗がん剤が水素を飲みながらも、ちゃんと効果があることを示しています。すべてのがんと抗がん剤について結論を言うのは早急ですが、この実験結果では、水素水は抗がん剤の副作用を軽減し(ここではデータは載せていません)、抗がん剤の作用も弱くしないことがわかりました。

医師と相談しながら、水素水や水素浴を試してみてはいかがでしょう。

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卵子の老化への水素の効果(2012.5.8)
NHKの「クローズアップ現代」(2012年2月14日放映)で「卵子の老化」(http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3158.html)について、放映されてから、私のところへもたくさんのお問い合わせがありました。なかでも、「水素は本当に卵子の老化に効果的なのか?」という質問がたくさんありました。水素の抗酸化作用が明確になってから7年しかたっていないので、人間で不妊治療に対する効果を明確にすることはできません。しかし、動物実験はおこなっています。動物実験の結果を鵜呑みにすることはできませんが、同じほ乳類動物なので、参考になる結果であることは、間違いありません。ここでは、ひとつだけ、私たちの実験結果をお知らせします。
マウスでは、遺伝子組み換えによSOD遺伝子欠損マウスと水素水って、活性酸素を消去する能力が半分に低下するマウスを作り出すことができます。人間もマウスも父親から半分、母親から半分遺伝子を引き継いでいます。そのひとつの遺伝子がないと思ってください。抗酸化遺伝子(SOD)があるのを+(プラス)、ないのを−(マイナス)とすると、+/−と+/−の親からは、+/+(正常)、+/−(抗酸化作用が半分)、−/−(抗酸化作用が弱い)となります。もし、何事もなく生まれるなら、その比率は 1:2:1となるはずです。これが中学か高校の生物学で習ったメンデルの法則です。ところが、−/−は抗酸化作用が弱いので、生まれる頻度は低くなります。

そこで、父親マウスが+/−で、母親マウス(+/−)の妊娠中マウスに水素水を飲ませて生まれた仔マウスの遺伝子を調べてみました。
すると、水素水を飲まない場合は、−/−の仔マウスは、2匹しか生まれてきませんでしたが(オレンジ色の棒)、水素水を飲んだ母親からは−/−の仔マウスは4倍の8匹も生まれるようになりました(青色の棒)。
このように母親マウスに水素を摂取させると活性酸素の害によって生まれなかったマウスも生まれるようになったのです。妊娠中に水素を摂取すると、胎児にまで水素の効果があらわれるのは、確かだと思います。

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卵子の老化:不妊治療と水素浴(2012.2.20)
先日のNHKの「クローズアップ現代」では、「卵子の老化」をとりあげていました。卵子の老化によって、妊娠したくてもできない女性が増えていて不妊治療をうけている人が増加しているとのことです。問題なのは、ほとんどの方が卵子の老化について知らない、あるいは、卵子が老化するとは思ってもいないことです。
私たちの細胞は年齢とともに老化します。ただし、若返る細胞と若返らない細胞があります。心臓の細胞は、生まれたときから同じ細胞を一生使っていて、新しい心臓細胞が生まれることはありません。神経は、最近は少しだけは新しい神経細胞ができることがわかってきましたが、大部分は生まれたときに作られた神経細胞を一生使っています。肝臓は、切り取ったときは2〜3倍には増えてくれます。ネズミの歯は、どんどん増えますが、人間は乳歯から永久歯へと一度だけ変わるだけです。皮膚の表皮細胞は、常に新しく生まれ変わり、古くなって死んだ細胞は垢として捨てられます。このようにいつまでも細胞分裂して新しい細胞ができるものと、できないものがあるのです。
精子は、皮膚の表皮細胞と同じように常に新しい精子が作られます。80歳でも子供ができるというのは、精子が80歳まで作られ続けるからです。
ところが、卵子は心臓の細胞と同じように新しく作られることはないのです。女性が赤ちゃんとして生まれたときには、すでに卵子の素(排卵の直前に卵子の素から卵子へと成熟します)が作られていて、細胞分裂によって新しい卵子の素が生まれることはありません。つまり、心臓や神経と同じように、年をとればとるほど、卵子の素も老化していくのです。卵子の素が老化するために、妊娠がむずかしくなっていきます。もし、このことを知っていれば、早く結婚したり妊娠したりするのだったと思う方も多くいらっしゃると思います。
では、卵子の素が少しでも老化しないようにするにはどうしたらいいでしょうか?
老化の主な原因は酸化です。卵子の素を保存している卵巣はできるだけ酸化しないようにしているため、むしろ酸素を運ぶ血液の供給が少なくなっています。そのため、困った事に一般の抗酸化物質は届きにくくなっているので、抗酸化効果はあまり期待できないのです。しかし、血流がなくても体内に運ばれる抗酸化物質があります。それは、水素(水素分子=H2)です。水素は、拡散によって体内の隅々まで浸透することが証明されていますので、水素を摂取することによって卵子の素の酸化も防いでくれるはずです。あるいは、少しは若返り効果も期待できるかもしれません。
水素は、一般の方は水素水として飲むことができます。しかし、私がもっとお勧めしたいのは、水素を溶かしたお風呂にゆっくり浸かることです。お湯に溶けた水素は皮膚を通って卵子の素まで大量に到達してくれます。同時に温浴によって体が温まり、その他のよい効果も期待できます。
週に一度は、水素温浴をしてみてはいかがでしょう。いくつかの不妊治療専門クリニックでは、水素浴を取り入れ始めたと聞きます。
(商品についてお知りになりたい方は個人的に問い合わせのページよりお問い合わせ下さい)

ただし、水素医学に便乗した商品も出回っていますので気をつけてください。マイナス水素イオン、プラズマ水素、水素吸蔵サンゴ、水素吸蔵ゼオライト、活性水素、は私たちの研究とは無関係です。

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迎春(2012.1.19)
本年もよろしくお願いします。新年の挨拶が遅くなりました。正月あけから、放送大学の「現代化学」の教科書を執筆していたので、「太田成男のちょっと一言」を書く精神的余裕がありませんでした。今年中に教材を作成し録画をして、来年から3年間、放送大学の講師を担当します。放送大学で学ぶ向学心に燃える学生さんたちが魅力を感じる講義をしたいと微力ながら努力したいと思います。

「ミトコンドリアのちから」増刷決定(2011.12.17)
2007年に出版した「ミトコンドリアのちから」は初版で、2万部を発行しました。このたび、ほぼ完売されて、増刷することになりました。このような専門性が高い本が2万部も売れることは珍しいそうで、ありがたいことです。なお、初版では、いくつか間違いがありましたので、2版では訂正される予定です。

正誤表

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ビタミンCの過剰投与によるがん治療(2011.12.17)
拙著「体が若くなる技術」では、ビタミンCの摂りすぎは危険ですよと、警告をならしました。一般にビタミンCは水溶性なので体内に蓄積しないのでいくらとってもよいと考えられていたのです。でも、抗酸化ビタミンでも強すぎると、活性酸素による遺伝子の傷を減らすどころか、傷をつけてしまうこともあります。消費者庁では栄養機能食品の栄養成分量としての上限値を1日1グラムに定めています。
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin89.pdf
また、過剰摂取すると、尿路にシュウ酸カルシウムの結石ができてしまう可能性がありますので、これも過剰には摂らないほうがいいという根拠です。
ところで、ビタミンCの大量投与ががん治療に用いられるようになりました。がん細胞は、正常細胞に比べて活性酸素に対する抵抗力が弱い性質を利用したものです。ビタミンCを大量に投与すると「体が若くなる技術」にも書いたように、活性酸素が発生して、がん細胞を相対的に殺すことができるのではないかという考えに基づき治療に用いられています。もちろん、がんになったからといって医師の処方なしに、ビタミンCをたくさんとってはいけません。あくまで医師による治療が必須です。抗がん剤とは違って薬として認可されたものではなく、高濃度ビタミンC点滴療法は代替医療(補助療法)で、すでに有効な抗がん剤に代わるものではありませんのでご注意ください。
ビタミンCの大量投与によるがん治療は、副作用が抗がん剤よりも軽いので、抗がん剤や放射線治療と併用する方、抗がん剤や放射線治療の副作用が強くて続けられない方に適していると考えられています。
(読者の方からの問い合わせに答えたものです)

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>リスベラトロールは人間でも効果有り(2011.11.2)
米国の科学誌Cell Metabolismにリスベラトロールの効果についての研究結果が報告されました。Cell Metabolismは、たいへん権威のある学術誌です。
Calorie Restriction-like Effects of 30 Days of Resveratrol Supplementation on Energy Metabolism and Metabolic Profile in Obese Humans.
Timmers S, Konings E, Bilet L, Houtkooper RH, van de Weijer T, Goossens GH, Hoeks J, van der Krieken S, Ryu D, Kersten S, Moonen-Kornips E, Hesselink MK, Kunz I, Schrauwen-Hinderling VB, Blaak EE, Auwerx J, Schrauwen P.
Cell Metab. 2011 Nov 2;14(5):612-22.
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要約はhttp://d.hatena.ne.jp/appleflower/20111105から拝借しました。

研究者らは11人の肥満の、それ以外は健康な男性に、レスベラトロール150mg/日またはプラセボ(偽薬)を、無作為化二重盲検クロスオーバーという試験デザインで30日間投与しました。 するとレスベラトロール投与時には、睡眠時代謝率と安静時代謝率が有意に低下しました(カロリー制限時と同様の反応です)。 筋肉では、レスベラトロールはAMPKを活性化し、SIRT1(サーチュイン長寿遺伝子)とPGC-1αタンパクレベルを高め、ミトコンドリア量を変えることなくクエン酸合成酵素活性を高め、脂肪酸由来の基質での筋肉ミトコンドリアの呼吸を改善しました(すべてミトコンドリアの機能が高まっていることを示します)。 さらにレスベラトロールは筋肉細胞内の脂質レベルを高め、肝臓の脂質含量、血中の糖、トリグリセリド、ALT(GPT)、炎症マーカーを低下させました(燃えやすい筋肉の脂肪が増え、肥満者の肝臓の脂肪が減るのは良いことです。また血中の糖や肝機能マーカー、炎症マーカーも良くなっています)。 またレスベラトロール投与で収縮期血圧は低下し、HOMA指数は改善しました(HOMAは糖尿病で高くなります)。 食後の脂肪細胞の脂肪分解、血中の脂肪酸、グリセリンは低下しました(脂肪の分解が進んでいることを示します)。
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リスベラトロールはワインに含まれる赤い色素で、長寿遺伝子を活性化することで有名で、ミトコンドリアを活性化することがわかっていました。フランス人は、あんなに大食いなのに動脈硬化が少ないのは何故?という疑問から、フランス人はワインを飲むからだ。リスベラトロールがワインに含まれているからだということで、注目された経緯があります。ところが、人間に対しての効果を調べた研究報告は不思議なことになかったのです。この9月に行われた国際学会でも、リスベラトロールに関する研究報告があったので、私は「どうも人間への効果を示した論文が見つからないのだが・・・」と質問すると、「ない」と返事が返ってきたので、他のかたからも非難ごうごうでした。今回の論文で、リスベラトロールは人間にも効果があることがわかり、一安心。ただし、150mgも摂らなくてはいけないとなると、ワインでは無理。サプリに頼らざるをえません。ミトコンドリアを活性化する素材がまたひとつ明らかになりました。

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女性セブンで、水素美容が紹介されました(2011.11.2)
女性週刊誌「女性セブン」で、水素美容が紹介されました。私も、そのなかでコメントし、水素美容への期待を強調しました。しかし、残念なことに、「マイナス水素イオンサロン」も同じページ内に紹介されてしまいました。このHPの冒頭にも明記していますように、「マイナス水素イオン」と水素は違います。水素はH2で、マイナス水素イオンは架空のものです。例えば、ダイヤモンドも備長炭も化学記号では同じ「炭素(C)」です。物質は、ほんのわずかな違いでも性質はまったく違うものになるのです。例えば、水はHとOからできていますが、水素と酸素の性質をもっているわけではありませんね。水素は、中学校でも習ったようにH2という分子です。どうも、「マイナスイオン」というイメージにあやかっているみたいですね。女性セブンの編集部より、あとでお詫びの電話がありました。消費者の方々は、だまされないように注意したいですね。

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ミトコンドリア研究:文化功労者に(黒岩常祥東大名誉教授)(2011.10.25)
今年の文化功労者に黒岩常祥東大名誉教授(70歳:立教大学特任教授)が選ばれました。おめでとうございます。黒岩東大名誉教授は、分裂・増殖の基本機構の解明など、ミトコンドリアに関して多くの研究業績を挙げてこられました。単細胞の酵母(パン酵母やビール酵母)のミトコンドリアが全部つながってしまうこと、その中の遺伝子もつながってしまうことを示し、世界を驚かせました。現在は、このHPの動画でも見られるように、人のミトコンドリアはつながったり、はなれたりすることが見えますが、当時は想像さえしなかったことでした。
ただ、黒岩名誉教授は、頻繁に「ミトコンドリアは奴隷のような状態にされている」と比喩をしましたが、あまり正しい表現ではありません。ミトコンドリアはエネルギー代謝だけをおこなって、そのエネルギーもすべてミトコンドリア以外で使われてしまうため、「奴隷状態」と比喩したのでしょう。しかし、ミトコンドリアはエネルギー代謝以外にも多くの役割が有り、細胞内で重要な役割を果たしていることが現在わかっています。当時は、ミトコンドリアがこんなに私たちの健康や老化と結びついていることは、想像さえしなかったことです。

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セロトニントランスポーターの登録番号は、2.A.22.1.1(2011.8.15)
世界一受けたい授業(8月13日、日本テレビ)では、酵素のひとつとしてセロトニントランスポーターを取り上げました。すると、視聴者のかたから、「セロトニントランスポーターは酵素でないはず?」との質問をいただきました。かなり酵素のことを良く知っているかたからの質問です。
酵素は、化学反応を進める(触媒する)はずで、セロトニントランスポーターはセロトンを回収するだけで、セロトニンを変化させない、だから酵素ではないはずということです。もっともなご意見です。しかし、別の見方をすれば、セロトニントランスポーターは神経細胞の外にあるセトロニンを神経細胞内へ回収する、つまり外側にあったセロトニンを内側にあるセロトニンに変化させます。「なるほど変化している」と思われる方もいるでしょうし、こういうのは、こじつけだと思われる方もいるかもしれません。
明確な場合はよいのですが、このように解釈が異なる場合がでてきます。そこで、酵素の名前と分類をして登録することが必要になってきます。この仕事をしているのが、国際生化学分子生物学連合(International Union of Biochemistry and Molecular Biology=IUBMB)の命名委員会(Nomenclature Committee)(NC-IUBMB)です。つまり、この委員会で認められて、登録番号がつけられて、初めて酵素であると認められるのです。
現在でも、この酵素登録が引き続き行われています。別の酵素だと別々に登録されていたものが、実は同じものだったことが分かると、登録番号を変えたり、削除したりしなくてはならないのです。そこで、毎年作業を続けて酵素を登録しているのです。現在登録されている酵素(2011年7月1日現在)は、4528種類。この4528種類の中には、人間にはない酵素がたくさんあります。
また、肝臓と心臓では同じ働きをしている別物(アイソザイムと言います)がたくさんあっても1種類としか数えません。また、化学反応だけで分類すると化学反応では全く同じものでも別の役割を果たしているものがたくさんでてきてしまいます。こうなると本来の酵素の分類は、化学反応だけで分類できないということになります。アイソザイムも含めると何種類人間には酵素の種類があるのかをNC-IUBMBに問い合わせると「わからない」という返事でした。でも、アイソザイムを含めるとゆうに10,000種類は超えるだろうということで、番組では10,000種類以上という数字を使いました。
つまり、本来の酵素の分類は、化学反応だけで分類できないということになり、酵素の分類をもう少しゆるやかなものにしようという意見もでています。
ところで、話は戻りますが、NC-IUBMBが登録したセロトニントランスポーターの登録番号は2.A.22.1.1です。
http://www.chem.qmul.ac.uk/iubmb/mtp/
http://www.chem.qmul.ac.uk/iubmb/mtp/class3.html#IIIB 参照
酵素の登録番号には、ECをつけることになっており、セロトニントランスポーターの登録番号には、ECがついていません。ということは、セロトニントランスポーターは、正式には酵素としては認められていないということになります。セロトニントランスポーターは酵素と同じく機能性たんぱく質であり、いろいろな性質で酵素と同じような性質をもつので、番組では広い意味での酵素として扱いました。

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酵素は食べたり飲んだりするものではありません!(2011.8.14)
日本テレビの「世界一受けたい授業」(8月13日)に出演して「酵素」について話しました。番組冒頭では、「酵素生活」「酵素美容」「酵素ダイエット」「酵素ドリンク」「酵素サプリメント」が最近話題になってますよという紹介がされましたが、私の授業内容とは全く無関係です。番組では「体の中で酵素を働かせることが大切である」「体のなかで作り出すことが大切である」ことを何度も強調しました。酵素は、体の中で作られ、体の中のすべての作用を司るものです。

調べてみると、「酵素を摂って健康な体作りをしていきましょう」などと書かれた最近の女性誌やインターネットで紹介されているのは「醗酵食品」のようです。バクテリア、酵母やカビの中には、私たちの体の中では作られないビタミンや必要な微量成分をつくってくれますので、バクテリア、酵母やカビによる醗酵は古くから利用されてきました。納豆や味噌、醤油、韓国のキムチも醗酵食品です。その醗酵食品を食べて健康に役立てようとする考えは、まちがっていません。
醗酵の過程では、バクテリア、酵母やカビの「酵素」によって、さまざまな有益な物質が作られます。しかし、その酵素を食べたり飲んだりしたからといって、私たちの体の中で醗酵作用が続けられるわけではありません。「酵素生活」「酵素美容」「酵素ダイエット」「酵素ドリンク」「酵素サプリメント」などと酵素を引き合いにされるのは、誤解を招くもとです。酵素の役割を誤解させるものです。基本は、酵素は食べたり飲んだりするものではなく、酵素によって作られた有益な醗酵物を食べましょう、ということです。

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「体が若くなる技術」のランキング100位以内(Amazon)(2011.8.14)
日本テレビの「世界一受けたい授業」(8月13日)に出演して私を紹介する画面で、一瞬だけですが、拙著「体が若くなる技術」(サンマーク出版)が映し出されました。本日の、インターネット書籍販売では、久々にランキング100位以内です。

テレビの影響の大きさには私もびっくりです。一瞬映りだされた画面を見て、本の購入をするのでしょうか?それとも「太田成男」という名前を検索して書籍にたどりついているのでしょうか?私には謎ですね~~。いずれにしても皆さんに、「体が若くなる技術」を読んでいただければ、うれしく思います。

韓国語にも翻訳され、中国語(本土用および台湾用)にも翻訳中です。
Amazon「体が若くなる技術」

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