正しい水素医学と水素産業の理解のために ーーあの産経ニュースの記事には、明らかな誤認がある!

By | 2016年5月25日

正しい水素医学と水素産業の理解のために あの産經新聞の記事には、明らかな誤認がある!-
この反論記事は5月24日の産経ニュースに掲載されたのでそれをこのブログにも載せます。

5月14日にYahooニュースに産經新聞の記事が掲載された。
タイトルは、「話題の『水素水』 かつてブームを巻き起こした「あの水」と同じだった…」。私の名前も引き合いにだされており、あまりに誤認に基づく記事であり、看過できないと思ったので、産經新聞と連絡をとった。すると、「反論記事を書いてほしい。そのまま掲載する」との返事をいただいた。そこで、下記のような寄稿をさせていただくことにした。

1. 何が問題なのか?
最初にこの記事の問題点を整理して列挙する。
(a)水素水と活性水素水(電解還元水)は、全く別物であるにもかかわらず、混同している。しかも、正統的な科学をニセ科学と誤認している。
(b)根拠に基づかない水素水に対するコメントを掲載している。
(c)マスメディアとして、してはならない十把一絡げの論理展開をしている。

2. 水素水と活性水素は別物
まず、水素水と活性水素を混同して、水素水をニセ科学としている誤認がある。明治大学情報コミュニケーション学部の石川教授のサイトを引き合いに出して、「水素水(活性水素水、電解還元水)に一般に言われるような美容や健康への効果があるかを評定。『疑似科学である』と結論付け、運営するサイト「疑似科学とされるものの科学性評定サイト」に1月、公表した。疑似科学は「ニセ科学」とも呼ばれ、科学的表現で科学を装っているが、とても科学とは呼べないものを指す。」としている。
しかし、石川教授のサイトでは、活性水素水(電解還元水)のみを対象としており、水素水を一切対象にしていない。さらに、質問コーナーでは下記のように活性水素水と水素水が別物である事を明記している。
>> 「話題の「水素水」 かつてブームを巻き起こした「あの水」と同じだった…」という記事に対しては、「水素水」および「活性水素水」については情報が混同しあっており、不明瞭な部分が多々あります。ただ、現在は「水素水」と「活性水素水」は”別物”と考えるのが妥当かと……。」「『水素水』と『活性水素水』は全く別物ですね。評定内で混同させるような記述はなかったと思いますが、「明確に」ということをもう少し強調する必要があるかもしれません。」<<
つまり、産経新聞の記事では、水素水(活性水素水、電解還元水)と書かれており、水素水と活性水素水が同一であると記載されているが、ひきあいにだされた石川教授のサイトでは、活性水素水と水素水は別物であると明記している。産經新聞の記事では別物にもかかわらず同一物と誤認しており、これが混乱を導き、誤報となった原因である。
しかし、産經新聞の記者だけでなく、国民生活センターのプレスリリースでも、活性水素と分子状水素の混同と誤認があるので、この記事を書いた記者だけを責めるだけでは、問題の解決にならない。これから、活性水素と分子状水素は別物であることを、もっと啓発していく必要がありそうだ。
活性水素は原子状水素(H)で、水素水は分子状水素(H2)が溶けた水である。HとH2は、同じHでも全くの別物である。この点は、後に解説する。
「活性水素水は、ニセ科学である。」という結論については私も異論はない。一方、分子状水素の医学的研究は、着々と正統的科学のプロセスを踏みながら進んでいる。

3. 根拠に基づかないコメント
「『高濃度の水素といっているが、それでも水素濃度が低過ぎる。飲んだ水素は胃の中で消えてしまうだろう。仮に、水素が血流に乗って体の組織に到達したとして、それがどのような作用を発揮して疾病治療につながるかの説明がない』とし、『水素には何かの効果があるかもしれない。しかし、市販の水素水に効果があるかと言われれば、ゼロだろう』と手厳しい。」というコメントを掲載している。
「濃度が低すぎる」というのは何をもって低すぎると言っているのか根拠がなく、「どのような作用かの説明がない」というのは、そのコメントした方が知らないだけだと推察する。もし、知っていたらこのようなコメントはでないはずだ。
なお、多くの臨床研究では市販品の水素水や水素発生装置が使用されており、有意な結果をだしており、「市販の水素水に効果があるかと言われれば、ゼロだろう」というコメントは明らかに間違いである。
ただし、分子状水素(H2)がほ乳類細胞で何ら効果を発揮しえないというのは、私たちが論文を発表した2007年以前では常識であり、その古い常識に基づけば、「水素水には効果があるはずはない。」ということになる。10年前の常識だけで話をしては、科学の発展と進歩はない。別の言い方をすれば、このような長年の常識を覆した研究をしたのであり、未来における研究成果の恩恵は計り知れないと自負している。

4. 十把一絡げの議論
「最もよく見かける水素水は、水素ガスが溶け込んだ水のこと。」「水素水の中には、水を電気分解するのでなく、濃度の高い水素水を水に溶け込ませるタイプもある(ママ)。」と記載し、電気分解によらずに水素を溶解する商品もあることを記している。それならば、「話題の『水素水』 かつてブームを巻き起こした『あの水』と同じだった…」を、「話題の『水素水』の一部は、『あの水』と同じだった」と書かなくてはならない(アンダーラインは太田による)。
水素水は、分子状水素が溶けた水なのだから、電気分解をしたかどうかは関係ない。分子状水素は、水の中でpHを変化させることはなく、イオン化もしない。水素水の多くはアルカリイオン水(電解還元水)というのは明らかな誤認である。
確かに、以前アルカリイオン水製造機として販売していたのをそのまま「水素水製造装置」として名前を変えて販売している会社が少なくとも2社あることは私も知っている。しかし、「今話題の水素水の多くは、電解還元水のことで、かつてアルカリイオン水と呼ばれたもの」と書いてはならないだろう(アンダーラインは太田による)。
例え話として適切かどうかわからないが、「某大学生がわいせつ罪で逮捕された」という報道が最近あったが、多くの大学生がわいせつ行為を行っているかと言えば、そうではない。マスメディアとしては、基本的に使ってはならない論理である。ある小学校の児童の一人が万引きをしたからといって、「その小学校の児童は万引きしている」と書いてはならないことは、マスメディアに携わる記者としては常識だろう。

5.活性水素と分子状水素の違い
活性水素(H)と分子状水素(H2)は、同じ水素なのだから同じような物だと思う人もいるかもしれない。しかし、物質は、ほんの少しの違いでも性質が全くことなることが多い。
例えば、鉄(Fe)を例にとれば、Feはいわゆる金属の鉄である。Fe+は通常の条件下では存在しえないし、Fe2+は黒く、Fe3+は赤い。このように同じ鉄でも、電子をひとつ持つか持たないかで性質が全く異なる。備長炭とダイヤモンドは、同じ炭素(C)であっても性質が全く異なる。
水素でいえば、水素ガスはH2である。最近開発された水素自動車のエネルギー源はH2であり、ロケットのエネルギー源として使われている液体水素もH2である。H2濃度をキチンと測定することも可能である。一方、H(活性水素)は、極めて特殊な状況でしか存在しえず、当然のことながら生体内では存在しえない。私は、その測定法を知らない。また、H+(水素イオン)は酸性の素であり、H2は水に溶けてもイオン化しない。
H2は水に溶けないという人もいるが、1気圧下では、水1リットルに1.6mgのH2が溶けることがわかっている。H2はこの80分の1の濃度で細胞に抗酸化効果を発揮したり、遺伝子発現を制御したりすることがわかっているので、水素水を飲んで何らかの効果がでるのは、別に不思議な事ではない。

6.水素医学の展開
2007年に私たちがNature Medicineに分子状水素が生体内で有害な活性酸素を除去し、水素ガスを吸う事で脳梗塞ラットを保護することを示した。その後、モデル動物に水素水を飲ませた効果も示し、現在は世界中から400報くらいの水素医学関連論文がでている。400報の論文がでているというと、少なくとも400の新しい発見があるということ意味しており、様々なことがあらゆる視点から検証されてきたことが理解できるだろう。
最初は培養細胞を用いて研究され、次に動物実験、小規模臨床試験と進み、現在は人を対象とした研究論文が20報程度報告されている。少人数でも統計的に有意な効果が示されているので、水素は大きな効果を発揮することが明らかにされている。このように動物実験で認められた水素の効果は人に対しても再現されることが示されている。現在は50人-200人を対象とする臨床試験が進められているので、近い将来、さらに明確になるだろう。研究は、水素ガスの吸引効果だけでなく、水素水の引用、水素溶液点滴など様々なH2の投与方法にて検証されている。
さらに、水素の効果を確信した医師たちは自らの責任で自由診療として水素を様々な治療に応用している。研究段階とはいえ、すでに一部は応用段階へ進んでいると言える。副作用が見られないというのが大きな理由だろう。
従来の常識とは異なり、多くの症状に対して水素の効果がでているのが特徴である。従来の概念では医薬品、特保や機能性表示食品が示す効果は対症療法的効果を意味する。水素のように多くの症状を緩和することは、現在の制度には当てはまらないことになる。対処療法ではなく、根本原因に作用するのが水素である。
メカニズムとしては、水素は体内の遺伝子発現を制御し、様々な機能が発揮されることがわかってきており、その最初の段階はフリーラジカル連鎖反応への水素の介入である事がわかってきている。基本的原理は理解できたと思うが、まだまだ研究の余地は残されている。未解決の問題はたくさん残されているが、それをいつまでも「わからない。わかっていない。」とだけ言い続けるのは、生産的ではないだろうし、正しい理解とは言えない。

7.私と産業との関わり
研究がいくら進んだといっても、産業化しないことには、研究成果の恩恵を人類へ及ぼす事はできない。私としても、できる範囲で適切な産業の育成にも力を注ぎたいと考えている。私の原稿の公平性を担保するために、私の経済的利益関連にも言及するようにとの産經新聞から依頼があった。
私の次男は、水素健康医学ラボ株式会社の代表取締役であり、水素発生素材を使った化粧品などの開発と販売を行っている。安全・安心な水素発生素材として唯一化粧品素材として承認・登録された素材を使っており、Auterというブランド名を名乗っている。さらに、水素医学の健全な発展のために企業へのコンサルタントを行い、医学研究のために大学や病院へ援助をし、難病患者への支援も行っている。執筆した書籍は水素入門書として定評がある。次に、株式会社機能性医学研究所とは「水の素」という名の水素発生サプリメントを共同開発している。これは、共同開発を私から依頼したため、私の名前を使用することを許諾した唯一の商品である。ただし、この2社への私の関与は無償で行っている。特許に関しては、「水素ガスによる虚血再灌流障害の軽減効果」という用途特許の権利者であり、医療器具会社へライセンスをしている。

8.最後に
先日のフジテレビの情報番組「直撃Liveグッディ!」の調査によると水素水を飲んだ事がある人は約50%だそうだ。驚くべき数字である。この番組でも取り上げたが、インチキ商品がかなり存在する。水素水と自称するインチキ商品が存在することと、水素水自体がインチキであることは全く別問題である。
正しい知識に基づき、正しい情報を発信する。これが、科学の発展にもつながるし、科学の成果の恩恵を人類が享受できることになる。知らないのに知ったかぶりして、間違った情報を発信するのは科学的でない。ましてや、正統的な科学とニセ科学を混同しては、正統的な科学の恩恵を人類が受ける機会を逃してしまうことになりかねない。
私の個人的なブログ「太田成男のちょっと一言」もあわせて読んでいただければ幸甚である。
最後に、産經新聞の記事に対する反論記事を掲載していただいた産經新聞に感謝する。