国立健康栄養研究所の「『健康食品』の素材情報データベース」に取り上げられた「水素水」

By | 2016年7月9日

 最近、国立健康栄養研究所の「健康食品」の素材情報データベースに水素水がとりあげられ、マスコミでも紹介されました。私のところにも一般の方々から質問がよせられていますので、このブログにも私の見解を記しておきます。
 じつは、6月29日に国立健康栄養研究所を訪れ、いろいろな話を聞いてきました。所長を含め4名の担当者が2時間ほど特別待遇で親切に対応していただきました。まず、感謝したいと思います。
 このデータベースでは、まず、水素水の定義をしています。「水素水とは、水素分子(水素ガス)の濃度を高めた水である。」とし、「水素水の調製法としては、(1)加圧下で水素ガスを水に充填する方法、(2)マグネシウムと水、あるいはアルミニウムと酸化カルシウムと水の化学反応により水素分子を発生させて溶存する水素分子濃度を高める方法、(3)水の電気分解により陰極側に発生した水素分子が豊富な水を利用する方法がある。電気分解により調製された水は、還元水素水、アルカリイオン水、電解水素水などと呼称されることがある。」としています。今まで、公的機関で、水素水の定義をしたところがなかったので、これからは、この定義を使う事になると思います。この点については評価し、御礼を申し上げてきました。
 有効性については、「ヒトでの有効性について信頼できる十分なデータが見当たらない。現時点における水素水のヒトにおける有効性や安全性の検討は、ほとんどが疾病を有する患者を対象に実施された予備的研究であり、それらの研究結果が市販の多様な水素水の製品を摂取した時の有効性を示す根拠になるとはいえない。」と書かれています。「信頼できる十分なデータが見当たらない。」というのは、このデータベースでの常套句ですので、特に水素水に関してだけデータがないというわけではありません。すでに信頼できる十分なデータがあるなら、研究する必要はないわけですから、納得できる表現です。
 しかし、一部マスコミでは「信頼できる十分なデータが見当たらない。」を「信頼できるデータが見当たらない。」「データが見当たらない。」として紹介しているところもあります。この点は大いなる誤解をあたえますので、この点を指摘すると、このデータをマスコミが使う事を許諾したかどうかは「答えない」との慎重な姿勢でした。一部マスコミのように、この内容を正確に伝えないで、意図的に水素水の悪口を言うだけの目的に利用される危険性がありますが、マスコミに正確に伝えてくれというのは、無理なことだとあきらめているとのことでした。「マスコミとは太田先生が喧嘩してください、当研究所は関与しません」とのことでした。
 安全性についての、「信頼できる十分な情報が見当たらない。」としていましたので、安全性に関するデータをいくつか指摘してきました。しかし、「そのデータは水素であって水素水ではない」とのこと。「水が安全で、水素も安全で、お互いに反応しないのだから、水素水も安全だと言ってもよいのではないか?」(太田)との問いには、「水は安全だとしても、一般の方はせいぜい2リットルくらいしか水は飲まない。しかし、水素水が健康にいいと思うと、4リットルも5リットルも飲もうとする人がでてくる。多くの被験者で水素水4リットルを何日も飲んで安全だというデータがない限り、安全だとは言えない。」との答えでした。1日4リットル飲ませる臨床試験については、倫理審査委員会で承認されることはないでしょうから、そのような試験はできません。
 また、水の安全性については、「水素水の製造工場では、食品工場として保健所が立ち入り、水の安全性を担保しているのだから、水素水の水自体の安全性については担保してもよいのではないか?」(太田)の問いには、「日本で流通している水素水を製造している工場を100%リストアップして所轄の保健所を100%リストアップして、そのすべての保健所から、使っている水は安全だと言うリポートをいただければ納得します。」という答えで、「もし、ひとつでも保健所の目をすり抜けて、安全でない水を使っている工場が一つでもあれば、水素水に使っている水も安全とは言えない。」という立場でした。もちろん、この要求に答えるのは不可能です。安全だと言い切るのは、不可能ということです。
 なお、水素水を1日1.5リットル〜2リットル飲んで、体調不良の訴えがあった件については、「マグネシウムスティックにより水素を発生させた水素水」と限定して正確に記載してあります。
 「有効性についても、データが揃いつつあるので、データがそろえば、今後は、有効性・効果・効能について記載するのか?」の問い(太田)には、「有効だという何らかの記載をすると、悪徳業者は、それを利用するだろう。悪徳業者を利して、消費者に不利益がでるようなことはできない。現状では、悪徳業者がいるので、水素水についての有効性については書けない状態だと認識している。」とのことでした。
 基本的な姿勢としては、「この素材情報エータベースは、消費者が有害な物質を摂取して健康被害が起きないように、また、効果がないものに妄信的に頼って通常の治療ができなくなることを防ぐことを目的としているので、医学情報とは違うスタンスで作っている。」とのことで、それはそれで、納得できる説明でした。
 一部だけの文言だけでなく、全体を見渡して、この情報を正確に利用することをさらに啓発していただきたいと思いました。