心肺停止の患者さんへの水素ガス吸引治療の研究論文が発表されました。

By | 2016年9月1日

 もう1ヶ月になりましたが、5人の心肺停止患者さんへ水素ガスを吸引させた結果の論文が発表されました。論文の題名は、Feasibility and Safety of Hydrogen Gas Inhalation for Post-Cardiac Arrest Syndrome: First-in-Human Pilot Study(心肺停止患者の蘇生時に水素ガスの吸入させる治療の実現可能性と安全性:人を対象にした最初の予備的研究)。私も共著者のひとりですが、慶応義塾大学が中心となった研究です。
 この研究では、5人中4人が90日後で「意識は清明、普通の生活ができ、労働が可能である。」という結果がでました。一般には、心肺停止後は命を取り留めても大部分の方は社会復帰が難しいので驚くべき結果です。救急医療においては、命を護るだけでなく、普通の生活ができるようにと社会復帰を目指します。
 この論文では、論文の題目にもあるように、実際にこの手順で患者さんへ水素ガス吸引治療が可能なのか、また安全であるかを調べることが目的なので、水素ガスの効果があったことは結論していません。この研究では心肺停止患者さんへの最初の水素ガス治療なので、患者さんの選択の段階でバイアスがかかった可能性があるからです。
 2月20日の13時のNHKニュースで、本格的な水素ガス吸引治療研究が始まるニュースが流れたように、全国12の医療機関で心肺停止患者への水素ガス治療がはじまっています(本格的な心肺停止患者への水素ガス吸引治験が始まります 参照)。
 実際に水素が治療に使われるようになるには、手順を確かめ、安全性を確認しながら一歩一歩着実に進んでいくことが大切なのです。