日本トリムによる信用毀損・損害賠償訴訟、判決直前の一方的訴訟放棄のお知らせ

投稿者: | 2020年6月2日

 株式会社日本トリム(森澤紳勝社長)が、2017年4月に私個人を対象として謝罪文掲載と4400万円の損害賠償を求めた訴訟について、控訴審判決直前に日本トリムは全ての請求を一方的に放棄し、2020年5月28日に不本意にも裁判自体が終了してしまったので、お知らせします。

 国民生活センターは、水素水および水素水生成器によって作製された水素水、合計19社の水素濃度を測定し、2016年12月にその結果を公表しました。その中に、(株)日本トリムの主力製品も含まれており、その水素濃度はわずか0.2 ppm(0.2 mg/L)以下でした。この水素濃度は、溶けうる最大濃度(飽和濃度)の8分の1以下であり、19社中16番目の濃度でした(図5参照)。国民生活センターは、高濃度の水素水もある一方、水素が検出できない「自称水素水」や日本トリム製品のように低濃度の水素水もあったことより、「溶存水素濃度は様々です。」と揶揄的に記載しています。
 

 国民生活センターの公表などに対しては、私は、水素医学の第一人者として各方面から、見解を求められましたので、様々な観点から、このブログに私の見解を7回に分けて掲載しました。第二回目のブログでは、水素濃度についての見解を述べました。測定方法の妥当性から始まり、何社かの製品に対して、コメントしました。日本トリム製品に対しては、以下のように、見解を述べました。

「水素水生成装置のなかでは、アルカリイオン水生成装置の2社製品は、水素水としては、不十分な結果でした。その2社は大手なのですから、アルカリイオン水を電解水素水などと言わずに、ちゃんとした水素水製造装置をつくって販売してほしいものです(2016年12月25日掲載、後削除)」。

 日本トリムは、当時テレビCMやインターネット上で「水素たっぷりの」と、くりかえし宣伝しており、あたかも高濃度の水素を含むかのような宣伝をしていました。しかし、実際は、相対的にも19社中16番目で、飽和の8分の1以下の溶存濃度であることが明らかにされました。この結果自体は、日本トリムも否定していません。私の論評は、消費者保護の観点から、公益性のあるコメントだと思います。

  このブログ公開に対して、日本トリムは、謝罪文の掲載と4400万円の損害賠償を私個人に求め、大阪地方裁判所に提訴してきました。しかし、裁判が始まって1年近くになっても、4400万円の根拠または証拠となる書面を全く何も一切出してきませんでした。その後も証拠と言えるようなものの提出はなく、日本トリムへの証人尋問で、当方の弁護士が問いただしましたが、「証拠や記録を提出しろとは聞いていない。」と驚くべき返答です。さすがに、裁判長からも「あなた(証人)自身が、毎回公判に出席しており、(太田側)弁護士からの要求を何度も直接聞いているはずです。」とたしなめられた始末でした。最終的にも記録や証拠と言えるものは、提出されませんでした。

 日本トリム側は、ブログのタイトルに「本物の水素水とインチキ水素水」と記載したことで、日本トリム製品がインチキ呼ばわりされたと主張していました。しかし、「インチキ」は水素が全く検出されないペットボトルの「自称水素水」であることは、明確に明らかにしていました。日本トリム製品には名指しはしませんでしたが、「不十分な結果でした」と論評しているのですから、インチキ呼ばわりしていないことは明らかです。「インチキ」と「不十分」は別の意味をもつ言葉です。

 第一審では、訴訟費用負担99:1で(99が日本トリム、1が私)で、謝罪なし、有形損害賠償なし、ただし、無形の信用毀損は一部ありの判決となりました。
この判決に対しては、高等裁判所へ控訴しました。控訴審では、大阪高等裁判所の裁判官が心証を述べられ、99%ではなく100%勝訴となる判決となることを確信していました。私としては、判決に日本トリム側の訴訟提起自体が問題であるとの指摘をしていただくことを期待していました。つまり、言論を阻害するための「嫌がらせ訴訟(=SLAPP訴訟)」であることを認めて欲しいと期待していました。しかし、一方的な放棄によって、3年間にわたる訴訟が判決もなく終了してしまいました。

 日本の司法制度では、訴訟の提起も、その訴訟の請求の放棄も自由で、訴えられた側は訴訟の放棄を拒否できないことになっており、全く不条理な制度です。

 日本トリムは、テレビCMやインターネットでは「水素たっぷり」と宣伝しながら、水素は、わずか0.2 ppm以下しかなかったのですから、消費者保護の観点から論評を伝えなくてはならないのが専門家の役割です。自社に都合が悪い言論に対して、経済的に圧倒する企業が経済的に不利な個人を訴え、裁判を長々と引き延ばし、都合が悪くなると放棄するやり方がまかり通れば、正当な言論を萎縮させてしまい、消費者に不利益をもたらすことになってしまいます。
 なお、日本トリムは、国民生活センターには、提訴していません。

 長い裁判に関して、多くの方にご心配をおかけしました。御礼申し上げます。