リスベラトロールは人間でも効果有り

投稿者: | 2011年11月16日

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米国の科学誌Cell Metabolismにリスベラトロールの効果についての研究結果が報告されました。Cell Metabolismは、たいへん権威のある学術誌です。
Calorie Restriction-like Effects of 30 Days of Resveratrol Supplementation on Energy Metabolism and Metabolic Profile in Obese Humans.
Timmers S, Konings E, Bilet L, Houtkooper RH, van de Weijer T, Goossens GH, Hoeks J, van der Krieken S, Ryu D, Kersten S, Moonen-Kornips E, Hesselink MK, Kunz I, Schrauwen-Hinderling VB, Blaak EE, Auwerx J, Schrauwen P.
Cell Metab. 2011 Nov 2;14(5):612-22.
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要約はhttp://d.hatena.ne.jp/appleflower/20111105から拝借しました。

研究者らは11人の肥満の、それ以外は健康な男性に、レスベラトロール150mg/日またはプラセボ(偽薬)を、無作為化二重盲検クロスオーバーという試験デザインで30日間投与しました。 するとレスベラトロール投与時には、睡眠時代謝率と安静時代謝率が有意に低下しました(カロリー制限時と同様の反応です)。 筋肉では、レスベラトロールはAMPKを活性化し、SIRT1(サーチュイン長寿遺伝子)とPGC-1αタンパクレベルを高め、ミトコンドリア量を変えることなくクエン酸合成酵素活性を高め、脂肪酸由来の基質での筋肉ミトコンドリアの呼吸を改善しました(すべてミトコンドリアの機能が高まっていることを示します)。 さらにレスベラトロールは筋肉細胞内の脂質レベルを高め、肝臓の脂質含量、血中の糖、トリグリセリド、ALT(GPT)、炎症マーカーを低下させました(燃えやすい筋肉の脂肪が増え、肥満者の肝臓の脂肪が減るのは良いことです。また血中の糖や肝機能マーカー、炎症マーカーも良くなっています)。 またレスベラトロール投与で収縮期血圧は低下し、HOMA指数は改善しました(HOMAは糖尿病で高くなります)。 食後の脂肪細胞の脂肪分解、血中の脂肪酸、グリセリンは低下しました(脂肪の分解が進んでいることを示します)。
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リスベラトロールはワインに含まれる赤い色素で、長寿遺伝子を活性化することで有名で、ミトコンドリアを活性化することがわかっていました。フランス人は、あんなに大食いなのに動脈硬化が少ないのは何故?という疑問から、フランス人はワインを飲むからだ。リスベラトロールがワインに含まれているからだということで、注目された経緯があります。ところが、人間に対しての効果を調べた研究報告は不思議なことになかったのです。この9月に行われた国際学会でも、リスベラトロールに関する研究報告があったので、私は「どうも人間への効果を示した論文が見つからないのだが・・・」と質問すると、「ない」と返事が返ってきたので、他のかたからも非難ごうごうでした。今回の論文で、リスベラトロールは人間にも効果があることがわかり、一安心。ただし、150mgも摂らなくてはいけないとなると、ワインでは無理。サプリに頼らざるをえません。ミトコンドリアを活性化する素材がまたひとつ明らかになりました。