水素の測定法

By | 2013年4月16日

topics68 (2013.4.16)

ガスクロマトグラフィーと水素電極の違い
水素(分子状水素、または水素分子、化学式はH2)の測定法には、主に2つの方法があります。ひとつは、ガスクロマトグラフィーという方法で、水素ガスを測定します。もう一つは、水素電極という方法で、水に溶けている分子状水素(溶存水素)を測定します。
ガスクロマトグラフィーは非常に感度がよく空気中に100万分の1(気体でいう1 ppm)くらいの分子状水素があれば検出可能です。また、気体の中に不純物がはいっていても、水素ガスと不純物を分離して測定するので、不純物と区別して水素だけを測定することができます。分子状水素測定のもっとも優れた方法と言えるでしょう。
水素電極は、溶液に溶けた分子状水素(溶存水素)を測定します。ただし、水素電極は、分子状水素の他に硫化水素(H2S)なども検出してしまうので、不純物があると正確には分子状水素の量だけを測定することはできないことになります。様々なイオンがあると少しですが値が異なってきます。温度が変わると少し値がかわります。また、水溶液を撹拌している場合と静置している場合にはやや値が異なってきます。特に隔膜型ポーラログラフ電極式の場合は水溶液を撹拌し続けなくてはなりません。撹拌すると水素が抜け出てしまうので、抜け出る前の値を外挿しなくてはなりません。水素水に溶けている分子状水素を測定するには便利なよい方法なのですが、溶液で0.02 ppm程度以上の溶存水素がないと測定できません。市販されている合格品の水素水では、0.02 ppm以下ということはないので、普通の水素水の溶存分子状水素の測定には、水素電極が便利です。
つまり、ガスクロマトグラフィーの方が不純物の寄与を除くことができるし、感度の点から言っても優れています。水素水測定には、一般には水素電極で十分です。
(その他、酸化還元電位やメチレンブルーを使う方法がありますが、これは簡易型と言うべきで、別の機会に説明します。)

水素水の分子状水素をガスクロマトグラフィーで測定する。
ここで、疑問がでてくるかもしれません。ガスクロマトグラフィーは、水素ガスを測定するのだから、水素水に溶けている分子状水素は測定できないのではないかという疑問です。素直に考えれば、サプリメントから発生する分子状水素は水に溶けてしまうのですから、水素電極で測定したほうがいいと思えるかもしれません。ある程度の分子状水素がすぐに発生してくれるなら、水素電極で測ってもよいのですが、長時間かかって分子状水素が発生する場合や、発生量が極々微量の場合は水素電極では測定できません。
水溶液に溶けている極々微量の分子状水素は以下のようにして測ることが可能です。この方法は、私たちがNature Medicineの掲載した水素の最初の論文でも使った方法です。
下の図を見てください。Aは、1気圧下で500 mLの液層(水素水)と500 mLの気相(水素ガス)があった場合です。気相では、500 mLのガスがあり、水素水では飽和水素水ができて、濃度では1.6 ppm(1.6 mg/L)となります。これは、ガスに換算すると約9 mL分の水素ガスです。つまり、1気圧下では液層と気相に占められる水素ガスの量は、9:500となり、ほとんど98%は気相にくることになります。
では、下の図のBのように500 mLの飽和水素水があって、それに500 mLの空気をいれた場合はどうなるでしょう。しだいに、Cのように8.8 mL分の分子状水素は気相にくることになり、0.2mL分の水素ガスに換算される分子状水素が液体に残ります。つまり、このような気相の水素ガスをガスクロマトグラフィーで測定することによって、水素水にあったはずの分子状水素も測定できることになります。
水素水を飲んだ後の血液中の水素の量をこのようにして測ることができます。また、極々微量の分子状水素しか発生しない場合も測定可能となります。
ただし、水素濃度が高いと水素ガスを希釈して測定することになるので、希釈する際に生じる誤差がでるかもしれません。純品の水素ガスですと1万倍にも希釈して測定することになります。ちゃんと水素ガスを発生するサプリから発生する水素を測定するときは、数千倍に希釈して測定します。
水素の測定法