国民生活センターの発表資料では、冒頭に、国立健康・栄養研究所の「健康食品の安全性・有効性情報」に記載された「ヒトに対する有効性については信頼できる十分なデータが見当たらない。」を引用しています。これが、水素水にはあたかも有効性を示すデータがないかのような誤解を誘導してしまったように感じます。
「国立健康・栄養研究所」の「ヒトに対する有効性については信頼できる十分なデータが見当たらない。」の記載については、わざわざ「注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。」と注意書きをしています。もちろん、「保証できないものを保証できない」と明記しているのは正直で好感がもてるし、テレビや雑誌のインタビューでは「まだ、わからないということです」と何度か明確に応えているので、これも正しい対応だと思います。
「信頼できる十分な」となると何をもって「信頼できる」のか、何をもって「十分な」なのか、基準をはっきりさせないことには、誤解が一人歩きしてしまいます。また、「データがない」ではなく、「データが見当たらない」としているところが、興味深いところです。少なくとも、ちゃんと研究をして統計解析をして有意であるというデータを示している研究に対して「信頼できない」とか「十分でない」という場合には、公的機関であるからには、誤解がないように配慮しなくてならないと思います。
水素水の商品としては、「病気の治療」のためではなく、一般の消費者に対してどうなのか という問題を取り上げる人がいるようです。
そこで、一般の消費者にとって、水素水の効果が「あるのか」「ないのか」を明確にするために、ここでは、健康な人に対する水素水の効果のデータを紹介します。発表論文名と発表場所は末尾に記載しました。
(1) 水素水を飲むことによってスポーツマンの運動後に乳酸の上昇が抑制され、筋肉疲労が低下していた(筑波大学のスポーツ科学の論文)。
(2) 水素入浴によって、運動後の筋肉痛が軽減した(早稲田大学のスポーツ科学の論文)
(3) 水素水を飲むことによって、脂質代謝異常の境界領域の人のコレステロールが低下した(中国の山東大学の論文)。これは動脈硬化に抑制につながることを示唆する。
(4) 水素水をボランティアが飲むことによって、血流依存性血管拡張反応が上昇した。これは動脈硬化の抑制につながることを示唆する(福岡県原土井病院のデータ)。
(5) 水素水を飲むことによって、日常的な疲労の程度が改善した(大阪市立大学と理化学研究所のデータ)。
(6) 6人の糖尿病発症前状態が改善した(統計的解析はおこなわれていない)(京都府立医科大学のデータ)
(7)(歯周病の人は健康な人に含めないかもしれませんが)、水素水を飲用することによって歯周病が改善した(岡山大学のデータ)。
以上のデータは、脂質代謝異常や歯周病の予防効果につながる改善を示唆するものであり、兆円オーダーの医療費の削減に大いに貢献することが期待されます。
なお、認知症発症前の軽度認知障害への水素水の飲用効果についても、論文を投稿中で、今後、次から次へと重要な論文が発表されるでしょう。
「有効性を示すデータがある」にもかかわらず、「保証できない」と断り書きをしている「信頼できる十分な有効データが見当たらない」というだけの情報を公の機関が発信するのは、いかがなものでしょうか?マスコミを含め各方面の関係者に、冷静な判断をすることを求めたいと思います。
文献
(1) Med Gas Res. 2012; 2: 12. Effects of drinking hydrogen-rich water on muscle fatigue caused by acute exercise in elite athletes.
(2) Jpn J Phys Fitness Sports Med, 2016; 65(3): 297-305. Effects of hydrogen bathing on exercise-induced oxidative stress and delayed-onset muscle soreness (https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/65/3/65_297/_pdf)
(3) J Clin Endocrinol Metabol, 2015; 100: 2724-2733. Hydrogen Activates ATP-Binding Cassette Transporter A1-Dependent Efflux ex Vivo and Improves High- Density Lipoprotein Function in Patients with Hypercholesterolemia: A Double-Blinded, Randomized, and Placebo- Controlled Trial.
(4) Vasc Health Risk Manag. 2014; 10: 591-597. Consumption of water containing over 3.5 mg of dissolved hydrogen could improve vascular endothelial function.
(5)https://www.osaka-cu.ac.jp/ja/news/pdfs/press_150522.pdf#search=%27大阪市立大学+水素+疲労%27 (論文投稿中)
(6) Nutr Res. 2008; 28:137-143. Supplementation of hydrogen-rich water improves lipid and glucose metabolism in patients with type 2 diabetes or impaired glucose tolerance.
(7) Antioxidants. 2015; 4: 513-522. Drinking Hydrogen-Rich Water Has Additive Effects on Non-Surgical Periodontal Treatment of Improving Periodontitis.