今年の文化功労者に黒岩常祥東大名誉教授(70歳:立教大学特任教授)が選ばれました。おめでとうございます。黒岩東大名誉教授は、分裂・増殖の基本機構の解明など、ミトコンドリアに関して多くの研究業績を挙げてこられました。単細胞の酵母(パン酵母やビール酵母)のミトコンドリアが全部つながってしまうこと、その中の遺伝子もつながってしまうことを示し、世界を驚かせました。現在は、このHPの動画でも見られるように、人のミトコンドリアはつながったり、はなれたりすることが見えますが、当時は想像さえしなかったことでした。
ただ、黒岩名誉教授は、頻繁に「ミトコンドリアは奴隷のような状態にされている」と比喩をしましたが、あまり正しい表現ではありません。ミトコンドリアはエネルギー代謝だけをおこなって、そのエネルギーもすべてミトコンドリア以外で使われてしまうため、「奴隷状態」と比喩したのでしょう。しかし、ミトコンドリアはエネルギー代謝以外にも多くの役割が有り、細胞内で重要な役割を果たしていることが現在わかっています。当時は、ミトコンドリアがこんなに私たちの健康や老化と結びついていることは、想像さえしなかったことです。
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