水素水を飲む効果について、様々な観点から議論がされています。その中で、水素水として摂取できる水素の量よりも、腸内細菌が発生する水素量の方が多いのだから、水素水を飲んでも効果は期待できないのではないかという疑問が出されています。もちろん、水素医学の研究を始めたときから着目した問題点であり、水素医学の研究者は、この点についても検討を重ねています。
まず、水素水を飲むと水素は胃に入ります。胃からはグレリンというホルモンが分泌され、脳神経保護に働くことが知られています。水素水を飲むと、胃の水素濃度が高くなり、胃からグレリンが分泌されることが発見されました。このグレリンは血流にのって脳へ到達し、脳を護るということになります。この場合は、腸内細菌から発生される水素はあまり関係ないと考えられます。
この研究は、千葉大学・九州大学の共同研究で、Nature出版社から論文が発表され、九州大学からプレスリリースされています。このプレスリリースでは、「腸管内での細菌由来の産生を増大させても効果がないというこれまでの報告にも矛盾しない結果が得られました」と述べられています。
http://www.phar.kyushu-u.ac.jp/bbs/view1.php?S_Publ_Year=&word=&page=&B_Code=184
http://www.nature.com/srep/2013/131120/srep03273/full/srep03273.html
もう一つの重要な研究は名古屋大学で行われました。論文のタイトルは、「 Drinking hydrogen water and intermittent hydrogen gas exposure, but not lactulose or continuous hydrogen gas exposure, prevent 6-hydorxydopamine-induced Parkinson’s disease in rats」(水素水の飲用と断続した水素ガスの吸入はラットのパーキンソン病を抑制するが、lactuloseや継続した水素ガスの吸入では効果がない)です。
lactuloseは、私たちの消化酵素では分解できない糖で、分解されずに大腸へ到達しますので、腸内細菌の「餌」になります。そのため、lactuloseを飲むと腸内細菌が増殖し、この腸内細菌が水素を発生させます。この研究では、ラットだけでなく、28人の健常人と37人のパーキンソン病患者に対する水素水と腸内細菌の水素も調べています。
この研究では、体内の全体の水素量よりも、水素濃度の変化が大切だと結論しています。そのため、水素水の飲用は腸内細菌から発生する水素よりも効果的なのです。
また、腸内細菌を遺伝子操作で水素をつくれないようにして、腸内細菌から発生させる水素と飲用した水素の効果を調べた研究があります。腸内細菌から発せられる水素は炎症を抑制する効果が確かにありました。しかし、水素水を飲ませた方が、炎症を抑制する効果は強かったのです。
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X09011619
このように腸内細菌が発生する水素にも効果がありますが、水素水を飲んだ方が効果的である事が証明されているのです。