腸内細菌の乳酸菌やビフィズス菌は、水素(H2)を作らない

投稿者: | 2017年8月18日

 最近、腸内細菌の役割が明らかにされ、乳酸菌やビフィズス菌(ビフィズス菌も乳酸菌の一つ)の健康効果が期待されている。また、一方、腸内細菌が水素(H2)を作るという話題もある。
 じつは、全ての腸内細菌が水素を作り出す訳ではなく、乳酸菌やビフィズス菌は水素をつくりだすことはできない。つまり、腸内の乳酸菌やビフィズス菌を増やしたからといって、体内の水素濃度を高くできるわけでない。
 水素を作り出す菌の種類は、Clostridium属、Eubacterium属、Clostridium属、Bacteroides属、Fusobacterium属などのいわゆる悪玉菌である。また、多くはないが日和見菌の大腸菌も水素をつくりだす。
 Clostridium属には、ボツリヌス菌、破傷風菌、ウェルシュ菌、ガス壊疽菌など、病原性のある菌が含まれる。Fusobacterium属やBacteroides属の菌は歯周病の原因であり、また、局所的な皮膚潰瘍等の人間の病気に関わっている。Eubacterium属、は、細菌性膣炎の原因菌である。これらの菌が水素を作り出すと同時に有害な物資も放出している。
 このような状況を考えると、腸内細菌が水素を作り出すことに手放しで歓迎する訳にはいかない。
 一方、以前、あるテレビ番組で、「腸内の水素は悪影響を及ぼす」という話をされた学者の方がおいででしたが「悪玉菌は水素をつくる。だから、水素は身体に悪い」のではなく、「悪玉菌は身体に悪い。悪玉菌は水素をつくるので、水素を検出することによって悪玉菌の増加率がわかる」ということです。
 それぞれの関係を正しく理解する事が大切です。