中国では、水素治療の治験(公的承認をえるための臨床試験)が2020年2月から開始されました。その治験は、国際的標準に基づいたプロトコールで行われ、英文でも公表されています(登録番号CTR2000029739)。この治験の責任医師は、中国国家衛生健康委員会の「ハイレベル専門家チーム」のトップに任命された鐘南山(Zhong Nan-shan)医師です。鐘南山先生については、次回のその3で紹介します。また、水素ガス吸入治療については、その他の治験も国際的標準にそって進行中です(ChiCTR2000030258)。
1ヶ月間で、武漢市を中心に1500人の新型コロナウイルス肺炎患者に使用され、胸の痛み、呼吸困難、息切れ、咳、痰、肺炎の重篤化で有効性が認められ、重症のリスクを軽減し、入院期間を短縮し、肺線維症を改善しました。この水素発生装置は、肺機能改善治療を適用とした医療器具として薬事承認されています(資料2-1)。
2020年3月3日、国民健康委員会が公表した「新コロナウイルス肺炎診断・治療プログラム(第7版)」Diagnosis and Treatment Protocol for Novel Coronavirus Pneumonia (Trial Version 7)では、治療方法として水素治療があげられています。中国語は(資料2−2の2頁)、英文は(資料2-3の8頁)。日本医師会のホームページでも日本語訳が紹介されています(資料2-4の6~7頁)。
新型コロナウイルス肺炎診断・治療プログラム(第7版)の「9.治療」部分の日本語訳は以下のようです。
9.治療
(1)一般治療における酸素療法対策「水素と酸素の混合吸入ガス(H2 / O2:66.6%/ 33.3%)による条件付き治療」を追加。
(2)抗ウイルス療法。
「ロピナビル/リトナビル関連の下痢、吐き気、嘔吐、肝機能障害およびその他の副作用」を削除し、「上記の薬物の副作用、禁忌および他の薬物との相互作用に注意を払う」に置き換えます。 「妊娠中の女性の治療では、妊娠週数を考慮し、胎児への影響が最も少ない薬を選択し、治療前に妊娠を終了するかどうかを通知し、情報を提供する必要があります。」
(3)重篤かつ重大な症例の治療。
1.病理学的気道内の粘液および粘液栓の形成によると、換気を改善するために、侵襲的な機械的換気が増加します。
2.「体外膜肺酸素化(ECMO)関連指標」を増やします:①FiO2> 90%の場合、酸素化インデックスは80mmHg未満であり、3〜4時間以上持続します。
3.循環サポートの強調は、「非侵襲的または侵襲的な血行動態モニタリングの場合、治療プロセスでは、過剰および不足を回避するための輸液バランス戦略に注意を払う」ことを強調しています。
4.「腎不全と腎代替療法」を追加:腎機能障害の原因を見つけることに加えて、重度の腎不全患者は継続的な腎代替療法(CRRT)を選択し、治療の適応を示すことができます。
5.サイトカインストームの重症で重篤な患者の場合、炎症性因子を排除するために、「サイトカインストーム」をブロックし、「血液浄化治療」を増やします。
6.免疫療法のために「トシリズマブ」を追加します。適応症は、「広範な肺病変と重篤な患者、および検査室で検出されたIL-6レベルの上昇を伴う人々」です。具体的な用法・用量を記載し、アレルギー反応に注意すること結核などの活動性感染症の方は禁止します。
7.他の治療法では、「重度および重度の症例の小児に適切なガンマグロブリンの静脈内注入。重度または非常に重度の妊娠の患者は積極的に妊娠を終了すべきであり、帝王切開が最初の選択肢です。」
(4)伝統的な中国医学の治療は、腹部の膨満または便秘または不十分な便を伴う重度および重度の機械的換気の場合、ならびにマンマシンが同期していない場合の伝統的な漢方薬の使用を増やしました。
さらに中国政府は、全土の医療機関に対し、水素を使うようにと通達を発しているそうです(資料2-5)。
その1で、新型コロナウイルスが怖い理由を述べましたが、水素ガス吸入治療によって、胸の痛みの緩和をはじめとする大幅な改善が臨床試験によって認められました。