新型コロナウイルスへの対策としての水素の利用(その3)
水素ガス治療の治験の責任医師を務めたのは、中国国家衛生健康委員会の「ハイレベル専門家チーム」のトップに任命された鐘南山(Zhong Nan-shan)先生です。鐘南山先生は、SARSの発見者として知られています。
(資料3-1)https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/03/post-92734_1.php
(資料3-2)https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/03/post-92734_2.php
2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が猛威を振るった際、中国の公衆衛生当局と政府高官は国民の信頼を失った一方で、SARSウイルスの発見者の鐘先生の誠実さは、国民の英雄として称賛を浴びました。中国人では知らない人はいない有名人だそうです。
このたび、鐘南山先生は、武漢市において10日間で建設された火神山医院の院長となり、新型コロナウイルス肺炎の治療だけでなく、いち早く学術論論文を発表して、新型コロナウイルスの感染者の特徴をもっとも早く世界に発信しました(N Eng J Med 2020;382:1708-1720 資料3-3)。
鐘先生は、水素ガス吸入治療の結果について、ヨーロッパの呼吸器学会の学術誌(European Respiratory Journal)に以下のように紹介しています(資料3-4)。
「Covid-19の最も明確な特徴は、細気管支と肺胞で粘液が驚異的に多いことです。気道を加湿し、ムチン分泌の抑制を標的とする療法は、臨床症状の改善に役立つ可能性があります。気道の通気が有意に改善したことと安全性を考慮して、水の電気分解により生成される水素と酸素の混合ガスの吸入が臨床現場で適用されています。水素/酸素混合ガスの吸入により、予備的調査でCovid-19のほとんどの患者の呼吸困難が大幅に改善されたため、Covid-19の診断と管理に関する最新の勧告で承認されています。」