ミトコンドリア病はミトコンドリアの異常によって生じます。そのため、身体のいろいろな場所に症状がでてきます。また、ひとりひとり症状や身体の悪くなりやすさの進行度も違います。そのため、身体の不調を訴えたときに、主治医が「ミトコンドリアの異常ではないかな?」と疑ってくれないと、原因不明で終わってしまうことになります。ミトコンドリア病は、1985年くらいに見つかった病気ですが、一昨年にやっと特定疾患(難病)に指定された病気です。
ところで、ミトコンドリア病の患者数ですが、日本では、欧米諸国に比べて、とても少ないのです。難病情報センターでは、「日本では全国レベルの調査はまだ行われていませんが、小児科・神経内科・循環器内科などにかかっている患者さんが、合わせて数百 人いると推定されています。」と記載されています。
11月28日にオーストラリアのDavid Thorburn先生のミトコンドリア病に関する講演を聴く機会がありました。その講演では、欧米では、10万人あたり15.4人の発症という報告がされました。大人になって発症する人は、10万人あたり9.2人だそうです。日本では、全部で患者の数がせいぜい1000人という推定ですし、大人になって発症している人は非常に少ないので、日本人はミトコンドリア病になりにくいのか?という疑問を出しました。すると、埼玉医大の大竹教授からは、「実は丁寧に患者さんをみて診断すると、ちょうど海外と同じくらいの患者さんがいる」という意見をきくことができました。まだ、その結果は論文にしていないので私も初めて聞く話だったのですが、日本では1割しか、診断がついておらず、その他は原因不明としてしまっているようです。
是非、ミトコンドリア病という病気があることを医学会や社会で共通認識にしていただきたいと思います。そうすれば、原因不明の患者さんの病名がわかり、わずかでも対処ができるようになるようになると思います。何事も、病気を社会が理解するということがなければ進歩がありません。
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