Monthly Archives: 11月 2011

水素医学の現状:臨床試験が進んでいます。


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水素は、様々な動物の病気において、めざましい効果をあげています。すでに、世界中から英文の原著論文が130以上も発表されています。

原著論文とは解説ではなく自分自身の実験結果に基づき、新しい結果を含む論文です。
水素医学の次のステップは、水素が効果を発揮するメカニズムを解明することと、人に適用できるかどうかを調べることです。人を対象にした研究を臨床試験といいます。
すでに、最近になって、3つの臨床試験の結果が発表されています。
(1)ミトコンドリア病に対する効果
(2)脳梗塞に対する効果
(3)放射線治療の副作用に対する効果です。
大学病院で本格的に臨床試験をはじめる時には、厳しい審査を受けます。専門家以外から見ても、妥当な方法で研究を進めていることを内外に理解していただくことが必要です。とくに、患者さんに迷惑をかけてはいけないので、倫理的に問題がないかを様々な方面から検討することになります。現在、どのような方法で臨床試験を行っているかは、UMINからインターネットで公開されています。UMINはUniversity Hospital Medical Information Networkの略語です。
UMINに登録されている水素の臨床試験は3件あり、詳しい内容を誰でも見ることができます。
(1)軽度認知障害を有する者に対する高濃度水素溶解精製水のランダム化比較試験(筑波大学)
(2)脳梗塞の水素治療(防衛医科大学)
(3)急性心筋梗塞患者への経皮的冠動脈形成術施行時における水素ガス吸入の安全性と有効性の検討(慶應義塾大学)
さらに、順天堂大学ではホームページで、パーキンソン病への臨床試験について公開しています。
臨床試験の最終的な結果をえるためには長い時間がかかりますが、その結果に期待したいものです。


放射性物質の安全基準:「積算500mSvでも大丈夫」の資料を参考


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2011年10月27日食品安全委員会は、厚生労働大臣に対し、「食品健康影響評価の結果の通知について」として、食品中に含まれる放射性物質の評価を行っています。
食品安全委員会のレポートを実際に読んでみると、いろいろな面から検討されていることがわかります。
結論だけでなく、その検討経緯も含めてわかりやすく説明していただきたいものです。
そのレポートのなかで、参考とした資料もリストアップされています。参考にしたものはA、参考のサポートとしたものをB、その他は(-)として51の報告を挙げていて、Aは9つだけです。そのAの中でも一番にあげられているのはインドのケララ地方の放射線量と健康の関連についてのレポートで、信頼できる結果としています。インドのケララ地方では、積算被曝量が500mSvにも達しますが、健康被害は全くないということです。もちろん、この地方には、子供も住んでいますし、妊婦もいます。それを含めて他の地方と比べて、なんら悪い影響が認められないという結果です。
食品安全委員会の結論としては、生涯の積算放射線量は、100mSvにおさえるべきであると答申していますが、一生で100mSvの放射性物質を食べても「がん」になることを意味しているわけではないと報告しています。500mSvでも、そんなに気にすることはないということですので、過剰な反応は「過ぎたるは及ばざるが如し」です。


リスベラトロールは人間でも効果有り


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米国の科学誌Cell Metabolismにリスベラトロールの効果についての研究結果が報告されました。Cell Metabolismは、たいへん権威のある学術誌です。
Calorie Restriction-like Effects of 30 Days of Resveratrol Supplementation on Energy Metabolism and Metabolic Profile in Obese Humans.
Timmers S, Konings E, Bilet L, Houtkooper RH, van de Weijer T, Goossens GH, Hoeks J, van der Krieken S, Ryu D, Kersten S, Moonen-Kornips E, Hesselink MK, Kunz I, Schrauwen-Hinderling VB, Blaak EE, Auwerx J, Schrauwen P.
Cell Metab. 2011 Nov 2;14(5):612-22.
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要約はhttp://d.hatena.ne.jp/appleflower/20111105から拝借しました。

研究者らは11人の肥満の、それ以外は健康な男性に、レスベラトロール150mg/日またはプラセボ(偽薬)を、無作為化二重盲検クロスオーバーという試験デザインで30日間投与しました。 するとレスベラトロール投与時には、睡眠時代謝率と安静時代謝率が有意に低下しました(カロリー制限時と同様の反応です)。 筋肉では、レスベラトロールはAMPKを活性化し、SIRT1(サーチュイン長寿遺伝子)とPGC-1αタンパクレベルを高め、ミトコンドリア量を変えることなくクエン酸合成酵素活性を高め、脂肪酸由来の基質での筋肉ミトコンドリアの呼吸を改善しました(すべてミトコンドリアの機能が高まっていることを示します)。 さらにレスベラトロールは筋肉細胞内の脂質レベルを高め、肝臓の脂質含量、血中の糖、トリグリセリド、ALT(GPT)、炎症マーカーを低下させました(燃えやすい筋肉の脂肪が増え、肥満者の肝臓の脂肪が減るのは良いことです。また血中の糖や肝機能マーカー、炎症マーカーも良くなっています)。 またレスベラトロール投与で収縮期血圧は低下し、HOMA指数は改善しました(HOMAは糖尿病で高くなります)。 食後の脂肪細胞の脂肪分解、血中の脂肪酸、グリセリンは低下しました(脂肪の分解が進んでいることを示します)。
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リスベラトロールはワインに含まれる赤い色素で、長寿遺伝子を活性化することで有名で、ミトコンドリアを活性化することがわかっていました。フランス人は、あんなに大食いなのに動脈硬化が少ないのは何故?という疑問から、フランス人はワインを飲むからだ。リスベラトロールがワインに含まれているからだということで、注目された経緯があります。ところが、人間に対しての効果を調べた研究報告は不思議なことになかったのです。この9月に行われた国際学会でも、リスベラトロールに関する研究報告があったので、私は「どうも人間への効果を示した論文が見つからないのだが・・・」と質問すると、「ない」と返事が返ってきたので、他のかたからも非難ごうごうでした。今回の論文で、リスベラトロールは人間にも効果があることがわかり、一安心。ただし、150mgも摂らなくてはいけないとなると、ワインでは無理。サプリに頼らざるをえません。ミトコンドリアを活性化する素材がまたひとつ明らかになりました。


女性セブンで、水素美容が紹介されました.


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女性週刊誌「女性セブン」で、水素美容が紹介されました。私も、そのなかでコメントし、水素美容への期待を強調しました。しかし、残念なことに、「マイナス水素イオンサロン」も同じページ内に紹介されてしまいました。
このHPの冒頭にも明記していますように、「マイナス水素イオン」と水素は違います。水素はH2で、マイナス水素イオンは架空のものです。例えば、ダイヤモンドも備長炭も化学記号では同じ「炭素(C)」です。物質は、ほんのわずかな違いでも性質はまったく違うものになるのです。例えば、水はHとOからできていますが、水素と酸素の性質をもっているわけではありませんね。水素は、中学校でも習ったようにH2という分子です。どうも、「マイナスイオン」というイメージにあやかっているみたいですね。女性セブンの編集部より、あとでお詫びの電話がありました。消費者の方々は、だまされないように注意したいですね。


ミトコンドリア研究:文化功労者に(黒岩常祥東大名誉教授)


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今年の文化功労者に黒岩常祥東大名誉教授(70歳:立教大学特任教授)が選ばれました。おめでとうございます。黒岩東大名誉教授は、分裂・増殖の基本機構の解明など、ミトコンドリアに関して多くの研究業績を挙げてこられました。単細胞の酵母(パン酵母やビール酵母)のミトコンドリアが全部つながってしまうこと、その中の遺伝子もつながってしまうことを示し、世界を驚かせました。現在は、このHPの動画でも見られるように、人のミトコンドリアはつながったり、はなれたりすることが見えますが、当時は想像さえしなかったことでした。
ただ、黒岩名誉教授は、頻繁に「ミトコンドリアは奴隷のような状態にされている」と比喩をしましたが、あまり正しい表現ではありません。ミトコンドリアはエネルギー代謝だけをおこなって、そのエネルギーもすべてミトコンドリア以外で使われてしまうため、「奴隷状態」と比喩したのでしょう。しかし、ミトコンドリアはエネルギー代謝以外にも多くの役割が有り、細胞内で重要な役割を果たしていることが現在わかっています。当時は、ミトコンドリアがこんなに私たちの健康や老化と結びついていることは、想像さえしなかったことです。


朝日ニュースターの「ニュースの深層」に出演しました


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2011年10月10日(月)CS放送 朝日ニュースター 20:00~21:00  ☆生放送☆☆
CS放送のテレビ局・朝日ニュースターの「ニュースの深層」に生出演しました。
「体が若くなる技術」について、キャスターの金慶珠(東海大学国際学科准教授)さんとお話をしました。
1時間の生放送番組なのですが、ちょっとした打ち合わせだけで、台本なし。すべて、アドリブです。あとで、DVDを見たら、まるで台本があったかのような番組の進行で時間配分もバッチリです。金慶珠さんの頭の切れには感心するばかりです。


水素水によるミトコンドリア病改善の論文が発表


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ミトコンドリア病は一昨年に特定疾患に認定された難病です。ミトコンドリアは私たちに必要な大切な細胞小器官ですので、ミトコンドリアでエネルギーが作られなくなるといろいろな面で症状がでてきます。私は21年前にミトコンドリア病のなかのメラスという病型の原因遺伝子を決定しました。私の研究成果が朝日新聞・読売新聞などの全国紙に大きくニュースとして掲載されたのは、初めてでした。原因はわかったのですが、まだ病気は治せません。その後、なんとか少しでも改善できる治療薬が見つからないかとミトコンドリア病についての研究を続けています。このような難病の患者さんは全国で1000人くらいなので、新薬ができても利益にならないため、製薬会社では新薬の開発が難しい状況です。このような難病には大学や公的研究所の研究者が努力しなくてはならないのだと思います。
10月3日についに、水素水がミトコンドリア病の改善に効果があることを示唆する論文が、Medical Gas Research(医学ガス研究)に発表されました。名古屋大学、愛知医科大学などの共同研究です。まだまだ、不十分な面はあるのですが、水素水が病気の改善に寄与できることを示したたいへん重要な論文です。以前から、もうすぐ発表になることは知っていましたので、発表を心待ちにしていました。
少なくとも長期にわたって水素水を飲んでも副作用がないことは、明確になりました。
英文論文ですが、インターネットで読むことができます。


クロレラは衰えた筋肉とミトコンドリアを回復させる


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老化にしたがって、どうしても筋肉が衰えて活発に動き回ることが少なくなってしまいます。老後の生活には、筋肉の衰えを予防することが大切です。実は老化とともに筋肉の中のミトコンドリアがへって、筋肉繊維の数が少なくなって衰えてしまうのです。瞬発力のための筋肉にはミトコンドリアが少ないので、どうしても瞬発力に必要な筋肉が減りやすいのです。瞬発力が衰えると、ちょっとしたことで転びやすくなってしまいます。転んで骨折して寝たきりになってしまうことも少なくありません。では、どのような食事をすれば、老化による筋肉の衰えを防ぐことができるのでしょう。この課題の解決には、クロレラ工業株式会社との共同研究で挑みました。

私たちの研究室ではミトコンドリアの酸化ストレスの影響で筋肉が細くなってしまうマウスを遺伝子組み換えで作製しました。もし、そのマウスに何かを食べさせて、その筋肉が少しでも太くなってくれれば、老化や酸化ストレスによる筋肉の衰えを予防してくれることになります。

酸化ストレスによって筋肉が衰えるマウスに6ヶ月間クロレラを食べさせ、様々な面から検討を加えました。すると、明らかにクロレラを食べていた遺伝子組み換えマウスの筋肉は細くならなかったのです。また、同時にミトコンドリアを増やすこともわかりました。クロレラはミトコンドリアを増やす食べ物だったのです。クロレラは藻の一種で多くの成分がありますので、どの成分がミトコンドリアを増やし筋肉の衰えを予防してくれるかはまだわかりません。さらに研究をすすめることによって、クロレラのどの成分が必要なのかを明らかにしたいと思います。

この研究成果は、9月24日に京都で開催された日本生化学学会大会で発表し、たいへん好評でした。

このマウスに関する論文は、以下のとおりです。

Metabolic remodeling induced by mitochondrial aldehyde stress stimulates tolerance to oxidative stress in the heart.

Endo J, Sano M, Katayama T, Hishiki T, Shinmura K, Morizane S, Matsuhashi T, Katsumata Y, Zhang Y, Ito H, Nagahata Y, Marchitti S, Nishimaki K, Wolf AM, Nakanishi H, Hattori F, Vasiliou V, Adachi T, Ohsawa I, Taguchi R, Hirabayashi Y, Ohta S, Suematsu M, Ogawa S, Fukuda K.

Circ Res. 2009 Nov 20;105(11):1118-27.

Preventive effects of Chlorella on cognitive decline in age-dependent dementia model mice.

Nakashima Y, Ohsawa I, Konishi F, Hasegawa T, Kumamoto S, Suzuki Y, Ohta S.

Neurosci Lett. 2009 Oct 30;464(3):193-8.

Age-dependent neurodegeneration accompanying memory loss in transgenic mice defective in mitochondrial aldehyde dehydrogenase 2 activity.

Ohsawa I, Nishimaki K, Murakami Y, Suzuki Y, Ishikawa M, Ohta S.

J Neurosci. 2008 Jun 11;28(24):6239-49.


地球アステク(9月22日「若返りの謎をトコトン科学」に出演しました。


Topics18

2011年9月22日(木)BSジャパン 地球アステク  22:00〜22:30
「若返りの謎をトコトン科学!」に出演しました。経済アナリストの伊藤洋一さんと蒼あんな&れいなの姉妹と楽しい話ができました。蒼姉妹はいつもニコニコしてて、かわいいですね。すぐに熱烈ファンになってしまいました。
紹介した光るマウスは私の研究室で作製した世界で初めての遺伝子組み換えマウス。光るマウスは世界にたくさんありますが、酸化還元状態を感知して色が変わるマウスは世界で初めて。酸化状態はサビる方向。還元状態はそれを修復する方向です。しかも、ミトコンドリアの中と外を区別して、酸化還元状態を感知できる優れもの。今後の応用は非常に広いものになるでしょう。何を食べたらよいかも、すぐにわかる時代がくるかもしれません。
では、どうやって作ったかというと、ノーベル賞受賞した下村博士が発見したオワンくらげの緑色蛍光蛋白質の遺伝子を遺伝子組み換えで、酸化還元状態で蛍光の色が変化するようにして、遺伝子組み換え技術を使ってその遺伝子をマウスに組み込んで、光るようにしました。また、この緑色蛍光蛋白質はミトコンドリアに入るようにしたのと、ミトコンドリアの外にあるようにしたものを作製。さらに、筋肉やいろいろな臓器で光り方も違うように工夫してあります。番組では、このマウスは毛が生えていませんでしたが、毛の生えなくて、しかもメラニン色素が黒くならないマウスと掛け合わせました。こうすると皮膚の様子が直接観察できます。
酸化還元状態を感知して蛍光の色を変化させる方法として以下の工夫がされています。この緑色蛍光蛋白質の光る部分の近くに-S-S-結合(イオウとイオウの結合)ができるように遺伝子を操作しました。酸化した場合には-S-S-でしっかり固定されているけれど、還元されると-S-Sが切れて、-SH HS-となります。すると、固定していた糸が切れたようになり緑色蛍光蛋白質の性質が変化します。そして、その結果、蛍光の色が変わるというもの。ちょっと説明が難しいですが、今までの研究の英知と様々な工夫と、ものすごい労力と研究費とチームワークで作り出した物です。今後の成果をご期待ください。


ミトコンドリアを増やすのに必要なタウリンはスルメから


Topics17 (2011.09.13-TBS「教科書に載せたい」出演より)

9月13日(火)TBSテレビ・教科書にのせたい(19:56~21:54)『寿命の鍵はミトコンドリアが握っていた!』では、ミトコンドリアが増える食材として、スルメを紹介しました。タウリンは健康ドリンクに含まれているので、おなじみの素材です。タウリンは、タコやイカなどの軟体動物にたくさん含まれています。実は、タウリンはイカよりもタコに多く含まれているのですが、タコではなくスルメを紹介したのには理由があります。
スルメをよく見ると一面に粉がまぶしてあるように見えます。これは、何か粉をまぶしたのではなく、タウリンが吹き出たものなのです。テレビでは見せることが大切なので、タウリンが実際に見えるスルメを選んだのが第一の理由です。テレビの収録では、「この粉がタウリンです。」と紹介したのですが、残念ながら時間の都合でカットされてしまいました。
もう一つの理由としては、タウリンは水に溶けやすいことです。タコの刺身ならタウリンをたっぷり食べられるのですが、なかなか刺身にできるタコは手に入りません。ゆでると、タウリンが抜けてしまうのです。その点、スルメなら、茹でずに食べるので、タウリンは抜けませんので好都合です。ただし、焼きすぎるとタウリンが減ってしまいますので、かるくあぶる程度で食べるとタウリンがそのまま、しかも、おいしく食べられます。
ミトコンドリアを増やす食材として、その他にトマト、ニンニク、ニラ、ブロッコリースプラウトを紹介しました。トマトにはリコピンという抗酸化物質が豊富に含まれています。また、ニンニク、ニラには硫化アリルが含まれています。ブロッコリースプラウトはスルフォラファンが含まれています。硫化アリルもスルフォラファンも体内で作られるグルタチオンという抗酸化物質の材料となります。硫化アリルは臭いがきついのですが、スルフォラファンはおいしく食べられるので、お勧めです。
ところで、タコ、イカ、トマト、ニンニクは地中海料理が好んで使う食材です。大規模疫学研究によると、地中海料理を好んで食べる人はアルツハイマー病になりにくいという研究があります(Mediterranean dietは地中海料理)。
(1)Frisardi V, Panza F, Seripa D, Imbimbo BP, Vendemiale G, Pilotto A, Solfrizzi V. Nutraceutical properties of Mediterranean diet and cognitive decline: possible underlying mechanisms. J Alzheimers Dis. 2010;22(3):715-40.
(2)Sofi F, Macchi C, Abbate R, Gensini GF, Casini A. Effectiveness of the Mediterranean diet: can it help delay or prevent Alzheimer’s disease? J Alzheimers Dis. 2010;22(3):715-40.