ミトコンドリアを増やすのに必要なタウリンはスルメから

投稿者: | 2011年11月16日

Topics17 (2011.09.13-TBS「教科書に載せたい」出演より)

9月13日(火)TBSテレビ・教科書にのせたい(19:56~21:54)『寿命の鍵はミトコンドリアが握っていた!』では、ミトコンドリアが増える食材として、スルメを紹介しました。タウリンは健康ドリンクに含まれているので、おなじみの素材です。タウリンは、タコやイカなどの軟体動物にたくさん含まれています。実は、タウリンはイカよりもタコに多く含まれているのですが、タコではなくスルメを紹介したのには理由があります。
スルメをよく見ると一面に粉がまぶしてあるように見えます。これは、何か粉をまぶしたのではなく、タウリンが吹き出たものなのです。テレビでは見せることが大切なので、タウリンが実際に見えるスルメを選んだのが第一の理由です。テレビの収録では、「この粉がタウリンです。」と紹介したのですが、残念ながら時間の都合でカットされてしまいました。
もう一つの理由としては、タウリンは水に溶けやすいことです。タコの刺身ならタウリンをたっぷり食べられるのですが、なかなか刺身にできるタコは手に入りません。ゆでると、タウリンが抜けてしまうのです。その点、スルメなら、茹でずに食べるので、タウリンは抜けませんので好都合です。ただし、焼きすぎるとタウリンが減ってしまいますので、かるくあぶる程度で食べるとタウリンがそのまま、しかも、おいしく食べられます。
ミトコンドリアを増やす食材として、その他にトマト、ニンニク、ニラ、ブロッコリースプラウトを紹介しました。トマトにはリコピンという抗酸化物質が豊富に含まれています。また、ニンニク、ニラには硫化アリルが含まれています。ブロッコリースプラウトはスルフォラファンが含まれています。硫化アリルもスルフォラファンも体内で作られるグルタチオンという抗酸化物質の材料となります。硫化アリルは臭いがきついのですが、スルフォラファンはおいしく食べられるので、お勧めです。
ところで、タコ、イカ、トマト、ニンニクは地中海料理が好んで使う食材です。大規模疫学研究によると、地中海料理を好んで食べる人はアルツハイマー病になりにくいという研究があります(Mediterranean dietは地中海料理)。
(1)Frisardi V, Panza F, Seripa D, Imbimbo BP, Vendemiale G, Pilotto A, Solfrizzi V. Nutraceutical properties of Mediterranean diet and cognitive decline: possible underlying mechanisms. J Alzheimers Dis. 2010;22(3):715-40.
(2)Sofi F, Macchi C, Abbate R, Gensini GF, Casini A. Effectiveness of the Mediterranean diet: can it help delay or prevent Alzheimer’s disease? J Alzheimers Dis. 2010;22(3):715-40.