新型コロナウイルスの特徴的な症状、肺の水浸しを水素ガスが軽減する可能性

投稿者: | 2020年5月11日

新型コロナウイルスへの対策としての水素の利用(その5)

 

新型コロナウイルスが急激に症状を悪化させる原因は
(1)免疫の暴走(サイトカインストーム)
(2)肺の水浸し状態
(3)血栓の出現
です。

肺が水浸し状態を改善する水素
 新型コロナウイルス肺炎の特徴として、肺が水浸しになっていたということがわかっています。肺の中が水浸しになってしまうとたちどころに呼吸ができなくなります。急激に症状が悪化するのは、肺の中が水浸しになってしまうことが大きな原因です。何故、肺の中が水浸しになるのかというと、肺包細胞あるいは肺の中にいる免疫細胞が溜まった水をくみ出す力が弱まってしまうからです。
細胞が水をくみ出せるのは、アクアポリンという水の通り道があるからです。ところで、都合が良すぎると言われるかもしれませんが、ラットで肺炎を起こしてサイトカインストーム状態になると、アクアポリンが減少してしまいます。ところが、水素にはアクアポリンを回復させる作用があります。

サイトカインストームを肺におこさせたときの血液中の酸素濃度は減少します。水素をいれると、血液中の酸素濃度が改善します。
水素を加えただけで、血液中の酸素濃度が回復しています。

 

 

左図は、肺にサイトカインストームを起こして、水浸しになった肺胞の写真です。水素を投入すると水浸し状態が改善します(右図)。

 

 

右から2番目のバーは、サイトカインストーム状態で肺のアクアポリンが減少することを示しています。水素をいれると、アクアポリンの量が回復します。

 

 

 

つまり、水素によって、アクアポリンの量の低下が改善し、水浸し状態が改善し、血液中に酸素がもどったということを示しています。中国で、水素ガスを吸入して、肺炎症状が改善したのは、このようなメカニズムによるものと考えられます。
論文は、Tao B, Liu L, Wang N, Wang W, Jiang J, Zhang J. Effects of hydrogen-rich
saline on aquaporin 1, 5 in septic rat lungs. J Surg Res. 2016;202: 291-8.

なお、その他にも水素がアクアポリンの回復を示す論文がでています。
Song D, Liu X, Diao Y, Sun Y, Gao G, Zhang T, et al. Hydrogen‑rich
solution against myocardial injury and aquaporin expression via the PI3K/Akt
signaling pathway during cardiopulmonary bypass in rats. Molecular Medicine
Reports. 2018;18:1925-1938.

ちなみに、2003年、ノーベル化学賞を、ピーター・アグレ教授が、この「アクアポリン」を発見した功績で受賞しました。