クロレラは衰えた筋肉とミトコンドリアを回復させる

投稿者: | 2011年11月16日

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老化にしたがって、どうしても筋肉が衰えて活発に動き回ることが少なくなってしまいます。老後の生活には、筋肉の衰えを予防することが大切です。実は老化とともに筋肉の中のミトコンドリアがへって、筋肉繊維の数が少なくなって衰えてしまうのです。瞬発力のための筋肉にはミトコンドリアが少ないので、どうしても瞬発力に必要な筋肉が減りやすいのです。瞬発力が衰えると、ちょっとしたことで転びやすくなってしまいます。転んで骨折して寝たきりになってしまうことも少なくありません。では、どのような食事をすれば、老化による筋肉の衰えを防ぐことができるのでしょう。この課題の解決には、クロレラ工業株式会社との共同研究で挑みました。

私たちの研究室ではミトコンドリアの酸化ストレスの影響で筋肉が細くなってしまうマウスを遺伝子組み換えで作製しました。もし、そのマウスに何かを食べさせて、その筋肉が少しでも太くなってくれれば、老化や酸化ストレスによる筋肉の衰えを予防してくれることになります。

酸化ストレスによって筋肉が衰えるマウスに6ヶ月間クロレラを食べさせ、様々な面から検討を加えました。すると、明らかにクロレラを食べていた遺伝子組み換えマウスの筋肉は細くならなかったのです。また、同時にミトコンドリアを増やすこともわかりました。クロレラはミトコンドリアを増やす食べ物だったのです。クロレラは藻の一種で多くの成分がありますので、どの成分がミトコンドリアを増やし筋肉の衰えを予防してくれるかはまだわかりません。さらに研究をすすめることによって、クロレラのどの成分が必要なのかを明らかにしたいと思います。

この研究成果は、9月24日に京都で開催された日本生化学学会大会で発表し、たいへん好評でした。

このマウスに関する論文は、以下のとおりです。

Metabolic remodeling induced by mitochondrial aldehyde stress stimulates tolerance to oxidative stress in the heart.

Endo J, Sano M, Katayama T, Hishiki T, Shinmura K, Morizane S, Matsuhashi T, Katsumata Y, Zhang Y, Ito H, Nagahata Y, Marchitti S, Nishimaki K, Wolf AM, Nakanishi H, Hattori F, Vasiliou V, Adachi T, Ohsawa I, Taguchi R, Hirabayashi Y, Ohta S, Suematsu M, Ogawa S, Fukuda K.

Circ Res. 2009 Nov 20;105(11):1118-27.

Preventive effects of Chlorella on cognitive decline in age-dependent dementia model mice.

Nakashima Y, Ohsawa I, Konishi F, Hasegawa T, Kumamoto S, Suzuki Y, Ohta S.

Neurosci Lett. 2009 Oct 30;464(3):193-8.

Age-dependent neurodegeneration accompanying memory loss in transgenic mice defective in mitochondrial aldehyde dehydrogenase 2 activity.

Ohsawa I, Nishimaki K, Murakami Y, Suzuki Y, Ishikawa M, Ohta S.

J Neurosci. 2008 Jun 11;28(24):6239-49.