ビタミンCの過剰投与によるがん治療

投稿者: | 2011年12月17日

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体が若くなる技術(太田成男著:サンマーク出版)はおかげさまで、たいへん好評です。多くの一般の方々が興味をもって読んでいただくために執筆したこともあり、専門の方々を中心に「もう少し詳しく知りたい」「書かれた内容の根拠を知りたい」という声も寄せられています。そこで、拙書をもっとよく理解していただくためのコーナーを設けたところ、いろいろご質問をいただきました。

その中でビタミンCの過剰投与によるがん治療に付記しておきます。

拙著「体が若くなる技術」では、ビタミンCの摂りすぎは危険ですよと、警告をならしました。一般にビタミンCは水溶性なので体内に蓄積しないのでいくらとってもよいと考えられていたのです。でも、抗酸化ビタミンでも強すぎると、活性酸素による遺伝子の傷を減らすどころか、傷をつけてしまうこともあります。厚生労働省所轄の栄養機能食品としても、上限値を1日1グラムに定めています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/hyouziseido-3.html

また、過剰摂取すると、尿路にシュウ酸カルシウムの結石ができてしまう可能性がありますので、これも過剰には摂らないほうがいいという根拠です。
ところで、ビタミンCの大量投与ががん治療に用いられるようになりました。がん細胞は、正常細胞に比べて活性酸素に対する抵抗力が弱い性質を利用したものです。ビタミンCを大量に投与すると「体が若くなる技術」にも書いたように、活性酸素が発生して、がん細胞を相対的に殺すことができるのではないかという考えに基づき治療に用いられています。もちろん、がんになったからといって医師の処方なしに、ビタミンCをたくさんとってはいけません。あくまで医師により治療が必須です。抗がん剤とは違って薬として認可されたものではなく、高濃度ビタミンC点滴療法は代替医療(補助療法)で、すでに有効な抗がん剤に代わるものではありませんのでご注意ください。
ビタミンCの大量投与によるがん治療は、副作用が抗がん剤よりも軽いので、抗がん剤や放射線治療と併用する方、抗がん剤や放射線治療の副作用が強くて続けられない方に適していると考えられています。
(質問No.12)